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漫画「天は赤い河のほとり」篠原千絵著|あらすじ・感想

天_タイトル ファンタジー


天は赤い河のほとり(1) (フラワーコミックス)

王道ファンタジーロマンスの金字塔といえば、「天は赤い河のほとり」。

少し前の作品だからと読まず嫌いしているのはもったいないほどの名作です。王道ながらもその世界観は一切壊さず、人間性というものに深くこだわった作品といえます。

最新刊:28巻(全完結)
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作品情報

あらすじ

みごと高校入試に合格した夕梨(ゆうり)は、ずっと好きだった氷室君とファーストキスまでして、嬉しいことばかり。でもそんなある日、彼女の目の前でコップの中の水が勝手にわきあがるという奇妙な出来事が!!さらに、水槽の中から手が出てきたり風呂の中に引き込まれそうになったりと、おかしな事は続く。初めは錯覚だと思っていたのだが、しだいに怖くなっていく夕梨。そしてある日、氷室君とのデートの途中で、夕梨は水たまりから出てきた手に捕まって、水の中に消えてしまう。やっとの思いで水から逃れた夕梨だが、辺りにはさっきまでとは全く別の風景が広がっていた。なんとそこは古代ヒッタイト帝国 で…!?

(引用元:小学館eコミックストア「天は赤い河のほとり」1巻

こんな人におすすめ!

  • 王道ファンタジーが好き!
  • 昔の作品は絵柄的にちょっと避けてきたんだよね……
  • 残酷シーンもどーんと来い!
  • 現トルコやエジプトの遺跡に興味がある
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「天は赤い河のほとり」を読んだ感想

もか
もか

昔の絵柄ってちょっと苦手なんだよね……。

ついジャケ買いをしてしまう人の中には、昔の作品はちょっと苦手、――そんな人も多いかもしれません。が、食わず嫌いならぬ読まず嫌いはなんとももったいない話! 王道ファンタジーは読み飽きたと思っている人でもまだまだ楽しめるのが「天は赤い河のほとり」という作品です。

残酷描写も包み隠さず

平和な現代日本から一転、内外問わず諍いが繰り広げられているヒッタイト帝国に突然飛ばされてしまう主人公。好きな相手とファーストキスをして幸せ絶頂にいるときに異世界トリップしてしまうという展開は切なくもありがちですが、意外にもそこに重きを置いていないのがすごいところです。

主人公の夕梨が異世界に飛ばされてからそこに残ると決断するに至る残酷な事件は、最終巻まで心に残り続けるショッキングなシーンのひとつでもあります。


天は赤い河のほとり(9) (フラワーコミックス)

主人公の夕梨がこちら。

異世界に飛ばされて直後、素敵な人と出会い残留を決意するというのはある種王道ファンタジーのセオリーですが、この部分だけが少し王道から外れているので、1巻の冒頭からその残酷で、けれども心打たれる世界観にグッと惹き込まれます。

理由がないというのがリアル

異世界に召喚されて巫女になる、あるいは勇者になる。なんらかの役割を持って転生する。ゲームの悪役令嬢になってバッドエンドを回避する。

そんな話はたくさんあります。

でも、主人公の夕梨が呼び出された理由は呪いの生贄として捧げられるため。つまり、必ずしも夕梨でなくとも良かったというわけですね。

もか
もか

何度も死にそうになるのに、自分でなければいけない確固たる理由がないってのが一番怖い~!

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勇気がもらえる

前述のとおり、夕梨はただ生贄になるため(=殺されるため)に呼ばれたわけで、もともと転移先の世界での居場所が用意されていたわけではありません。

そんなとんでもない逆境にあるにもかかわらず、まわりを巻き込みながら自身の力で未来を切り拓いていく強さには勇気づけられるものがあります。

最終的にはいろいろな意味でオンリーワンになってしまうんですから、たいしたものです。

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ただし主人公に落ち着きは皆無

ただし!

自らの力で居場所を獲得する――代わりに、主人公の落ち着きは皆無。

人の言うことを聞かないわよかれと思ったら勝手に行動するわで、結局のところすべて丸く収まっているからいいようなものの、この落ち着きのなさを自分勝手と取ることもできます。

中にはそんな夕梨に「イライラする!」と感じる人もいるようですね。

史実の使い方が実に絶妙

「天は赤い河のほとり」は単なるファンタジー……と思いきや、史実が土台になっているのがこの作品の面白さのひとつです。

そういった意味では、現トルコやエジプトの史実/遺跡に興味がある人にとってはたまらない作品ですね。

主人公の夕梨が飛ばされたのは、ヒッタイト帝国(Hittites)。ヒッタイトとは、現トルコに高度文明を築いた民族およびその帝国のことを指します。

また、エジプトの歴史にも微妙に触れているのが歴史好きの心をくすぐってくる!

たとえば、若くして即位したツタンカーメンが何者かによって殺害され、未亡人になった王妃アンケセナーメンと結婚するためザナンザ(主人公の相手カイルの兄)がエジプトに向かおうとしたり。本作を読めばわかりますが、実際に「キックリ文書(キックリは人名)」というものが残っていたり。


天は赤い河のほとり(6) (フラワーコミックス)

こちらが主人公の相手、カイル。

ほとんどファンタジーなのに、絶妙な具合に史実を絡めてくる手腕がすばらしいですね。

なお、ヒッタイトの首都「ハットゥシャ」の遺跡は1986年にユネスコの世界遺産に登録されています。漫画の聖地巡礼が好きな人は海外規模でぜひここまで足を伸ばしてみてくださいね。

少女から女性へと成長する主人公のたくましさが美しい

夕梨がヒッタイト国に飛ばされたのは、高校受験が終わっていよいよこれから青春というとき。結果的に戦乱の世に巻き込まれ青春どころではなくなってしまったわけですが、壮絶な経験をしながらも人間として、また女性として徐々に強さを身に付けていく様子からは目が離せません

なにも持たぬ自分でなにができるのか。

多少向こう見ず(見切り発車)な部分はあれど、崩れ落ちそうになっても寸でのところで踏みとどまって力強く前を見据えるその姿は非常に美しく思えます。

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本作読まずしてファンタジーは語れない!

異世界に召喚されるという王道ファンタジーには違いないのに、どこか新鮮な感覚も味わえる本作読まずして、(日本漫画の)ファンタジーは語れません。

最近ではさまざまなファンタジー作品が世に出回っていますが、ドラマCDになっていたり宝塚歌劇団の舞台になっていたりするほどの名作なので、一度読んでみることをおすすめします。

※文庫版もあるよ!

※本記事の情報は2020年11月時点のものです。

もか
もか

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