
ザ・ミスト(字幕版)
「ザ・ミスト」の感想です。
映画「オブリビオン」(2013)にも出ていたオルガ・キュリレンコが出演しています。どこかで見たことあると思ったら!
ご都合主義盛りだくさん! 雰囲気はまあまあ! な映画でした。
本記事は2025年06月05日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
家に置いてきた娘を助けるために。
作品情報
タイトル | ザ・ミスト |
原題 | Dans la brume |
ジャンル | SF、スリラー、パニック |
監督 | ダニエル・ロビィ |
上映時間 | 89分 |
製作国 | フランス、カナダ |
製作年 | 2017年 |
公開年(仏) | 2018年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
自己免疫疾患の難病を患った娘を持つマチューとアナ。医療用装置のポッドに娘を隔離しつつ、大事に育てていたある日、大地震がパリの街を襲った。地震の直後、ものすごい勢いで流れ込んでくる謎の霧。マチューとアナは、なんとか上の階の老夫婦の家に避難することができたものの、娘のサラを部屋に置いてくるしかなかった。ポッドの中にいる限り安全だが、10時間もすればバッテリーが底をつく。サラを助けるため、マチューとアナは奔走するが――。
主な登場人物
(敬称略)
マチュー
(演:ロマン・デュリス)
アナの夫で、サラの父親。ポッドの中に取り残された娘を助けるため奔走する。
アナ
(演:オルガ・キュリレンコ)
マチューの妻で、サラの母親。人一倍娘を心配し、助けるため奔走する。
サラ
(演:ファンティーヌ・アルドゥアン)
マチューとアナの娘。自己免疫疾患の難病を抱えており、医療用装置の中に隔離されている。謎の霧がパリを襲った際には、両親と一緒に逃げることができず、一人部屋の中に取り残される。
映画「ザ・ミスト」の感想
映画「ザ・ミスト」の感想です。先述したように、雰囲気は好き! ただ、無視できないツッコミどころはまあまあ多かったです。
あの「ミスト」とは違う
まず、口コミを読む限り、胸糞で有名なあの映画「ミスト」(2007)と間違えて見始めてしまった人も結構いる模様(笑)。私も一瞬「あ、これ『ミスト』じゃん! ……いや、あらすじを見ると違うな」となりましたし。
あの「ミスト」とは内容がまったく違います。
そもそも、本作のオリジナル言語はフランス語ですしね。
原題は「Dans la brume(直訳:霧の中で)」で、英語のタイトルは「Just a breath away」なので、邦題がちょっとややこしかったという感じ。
妻のアナ役にオルガ・キュリレンコ
妻のアナ役を務めていたのはオルガ・キュリレンコ。
「どこかで見たことあるなあ」と思っていたら、映画「オブリビオン」(2013)に出演していたあの人だったんですね!
そういえば、この感想記事でもオルガ・キュリレンコをウクライナ出身の女優さん(元モデル)と書いていた(笑)美しい人です、本当に。
娘サラの難病
オルガ・キュリレンコが出ているだけで、まあまあ見ごたえはあるんですけど、もうね、絶対に無視できない矛盾点(ご都合主義とも言う)が多々あって、劇中ずっと「どういうこと?」を繰り返していました。
まず、一つ目が。
娘ちゃんの自己免疫疾患についての説明があまりに少ないこと。
彼女は医療用装置であるポッドの中に入っているわけだけど、いったいどんな難病なのか。たぶん無菌室的な感じなんだよね、あれ。
あ、これは別に矛盾点じゃないか。単純に気になったところというか、個人的にもう少し詳しく知りたかったところ。無視できない矛盾点は下記からです。
肌に触れて大丈夫なのか
序盤に、マチューがそっと霧に触れるシーン。
あそこで「え、それ大丈夫なの!?」と思ってしまった人は私だけじゃないはず(笑)。
霧の正体がわからず、けど本人的には「吸い込んだらやばいもの」と思っているのにもかかわらず、なんで素手で触れるかなあ! って。触れたら一発アウトの何かだったらどうするんだろう。その可能性もあるよね、全然。
実際、吸い込んだら数秒でダウンするやばめの何かだったわけですが、肌に触れるのは大丈夫みたい。私だったら、今は大丈夫でもあとあと後遺症的になにかしらの症状が出るんじゃないかと思って、かなり不安になると思うけどなあ。娘を助けるためならなんでもするという状況だったとしても。
それに、マチューが怪我をした時も、「これ、傷口から霧が入っちゃうんじゃない?」と思った。呼吸はアウトで、触れるのはセーフ。ここら辺の説明も欲しかった。
生きられる犬と生きられない犬
そのうえ、霧の中でも生きていられる犬と死んでしまう犬がいるらしい。
あれは本当にわからなかった。
それぞれ別のシーンに出てきたなら(別のシーンでも出てきたけど)、ああ、自分で作った設定を忘れちゃったんやなと無理矢理思い込むことができるけど、霧の中で犬に遭遇したあとに、その犬が来たほうを辿ってみたら死んでいる犬がいたという謎すぎる状況でしたもんね。うっかりではありえない演出なので、裏設定で何かあるのかな。
そう思わないと、意味がわからなすぎるので。
軍人に助けを求めないマチュー
あとは、せっかく市民を非難させている軍人がいたのに、マチューが助けを求めないのにもとんでもない違和感を覚えました。
「体感、パリの3分の2は死んだだろうから、すべてのサービスがストップすると思う」みたいなことを言っていたから、自分が助けを求めても無駄だろうと思ったのかもしれないけど、だとしても一回ぐらい「家族があっちにいるんです! 助けてください!」ぐらい言ってみてもいいと思わない? と。
軍人のほうも、なぜすんなり去って行くのか。明らかに困っている市民を置いて。
当然、軍もまともに機能していなかったということだとは思う。ただ、「本部に連絡はしておきます」ぐらい言ってくれてもいいと思うんだけども!
そのうえ、せっかく酸素が手に入るところだったのに、そこで娘の分しかもらわないのはなんなのか。あの感じだと、「妻の分もお願いします」と言ったらきっとくれたような気がする。本当に助かろうとする気はあるの? と聞きたくなるほどのうっかりさんでした。
霧が襲いくるシーンは良い
と、ツッコミどころ満載の内容でしたが、冒頭で霧が襲いくるシーンは迫力があって良かったです。
「あっ、あれはやばいヤツだ」と一瞬でわかる感じ。もしかしたら、劇中で一番ハラハラしたのがそこだったかもしれない。
いやあ、私だったら一瞬でジ・エンドだったと思う。
でも、ああいう状況においては、もしかしたら何もわからないうちに一瞬でやられたほうが楽かもしれない、なんて思う根性のなさです。
自分がもしそうなってしまったら
世の中には、難病を抱えていたり障がいを持っていたり、自分とは違うと感じる人たちのことを下に見る人もいますよね。悲しいことに。
現に、マチューとアナが避難した家の老夫婦の奥さんも、娘ちゃんの疾患について結構失礼なことを言っていました。アナは「昔はそう思われていたけど、今は違うんですよ」みたいな感じでやんわり否定していたけど。
こう、自分は差別的な人間でないと信じていても、無意識にそうしてしまうことってあると思うんですよ。良いか悪いかは別にしてね。
でも本当は、自分がそうならない保証なんてない。
例えば、サラの疾患が生まれつきのものでなく、幼少期に患った病気のせいだというのもそう。ある日突然、自分がその立場に置かれることもある。サラがポッドの中でしか生きられなくなったように。
そういう意味では、本作は、何をもってして健常者と言うのか? を問いかけるような作品でもありました。状況や環境、条件が違えば、あなたも健常者とは言えないかもしれないよと。ある日突然「あなたは今日から普通の生活はできません」と言われたらどうする? って。
不思議なメッセージ性のある物語ではありましたね。
映画「ザ・ミスト」が好きな人におすすめの作品
映画「ザ・ミスト」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ピンク・クラウド(2020)
- アポカリプスZ ~終末の始まり~(2024)
- グリーンランド―地球最後の2日間―(2020)
- カリフォルニア・ダウン(2015)
まとめ:やっぱりフランス映画っぽかった
フランス映画って、どこかにフランス映画っぽさがあるんですよね。もちろん、私的には良い意味です。
本作も例に漏れず、ちょっと鬱々とした皮肉的な感じなのが、非常にフランス映画味を含んでいるなと感じました。ただ、矛盾点があまりに大きすぎるというところだけが気になったかな。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 50% Popcornmeter 41%
IMDb
5.9/10
Filmarks
2.8/5.0