エコール(字幕版)
今、このご時世に撮影しようと思ったらなかなか難しいだろうなと思わせられる作品です。
といっても、これだって2004年製作の映画。……と思ったら、もう20年も前のことなんですね! 驚きです。
……まあ、好き嫌いに分かれる作品であることは間違いないでしょう。
本記事は2024年05月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
羽ばたいていく少女たち。
作品情報
タイトル | エコール |
原題 | Innocence/École |
原作 | ミネハハ/フランク・ヴェデキント 著 |
ジャンル | ヒューマン |
監督 | ルシール・アザリロヴィック |
上映時間 | 122分 |
製作国 | ベルギー、フランス |
製作年 | 2004年 |
レイティング | PG-12 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
ある日、棺桶に入った6歳の少女が、寄宿学校に運ばれてきた。棺桶を取り囲み、少女の到着を歓迎する他の少女たち。色違いのリボンに、謎めいた学校、不思議な規律、バレエの授業。大人は数名、それも女性のみである。そんな寄宿学校で、少女たちは共に生活をしている……。
▼DVD▼登場人物
(敬称略)
イリス(演:ゾエ・オークレール)
棺桶に入ったまま運ばれてきた少女。
ビアンカ(演:ベランジェール・オーブルージュ)
イリスが懐いている年上の少女。
エヴァ(演:マリオン・コティヤール)
先生のひとり。バレエを教えている。
エディス(演:エレーヌ・ド・フジュロル)
先生のひとり。厳しいタイプ。
映画「エコール」の感想
映画「エコール」の感想です。基本的に、すべては「性的象徴(アピール)」と考察することができそうですが、それだけでもない作品です。
好き嫌いに分かれる世界観
正直、かなり好き嫌いに分かれる世界観ではあると思います。
それぐらいわかりやすい匂わせ描写が多数。
ただ、その“わかりやすい何か”がすべてだという話に持っていきたくない美しい作品でした。そんな穿った見方だけじゃなく、他にも見ようと思えばいろんな見方ができるよね、と。
今、この時代ではなかなか作れなそうな映画ではあるし、そのあたり賛否両論あると思うんですけれども、大人になる前の危うい繊細さみたいな描写がとても上手だったと思います。
説明不足が作り出すミステリアスな雰囲気
本作の何が特にミステリアスに見せているかを考えたときに、個人的には、何も説明がないことかなと思いました。
一切の背景が不明なんです。
最年少の子どもはどこから運ばれてくるのか、なぜ棺に入っているのか、なんのための学校(寮)なのか、なぜ少女だけなのか、規則はなんのためにあるのか、先生は何者で、なぜ女性だけなのか。
何も詳しく説明されません。
舞台が森の奥ということもあり、神秘的というか、なんともいえないミステリアスさがある作品でした。
約束されない未来
作中、以下のような台詞がありました(正確じゃないかもしれませんが)。
チョウになれない青虫もいるけど、みなさんは立派な青虫になって。
確か、こんな感じ。
状況的にもめっちゃ不穏。
どうしてもチョウ=大人、少女=青虫という見方をしてしまいますからね。エディス先生だったか、エヴァ先生だったか、どちらだったか忘れてしまったんですが(ごめんなさい)、チョウの標本を作っていたのもかなり不安になる要素。
中には大人になれない子どももいるし、大人になれたとしても、(この標本のように)捕らわれたまま逃げ出せない人もいる。
かなり穿った見方かもしれませんが、そんなふうに受け取りました。
規律に反抗してみたくなる気持ち
この中でも特に覚えがあったのは、
駄目と言われるとやってみたくなるよね
ということ。
理由を説明されて、納得したうえで「駄目」と言われたなら従うでしょうけれども、なんの説明もなく、ひたすら「駄目」だと圧力をかけるように言われ続けたら、反抗のひとつもしてみたくなるものです。
このあたりは、少女たちの気持ちがちょっぴりわかるところでした。
芸術的雰囲気
この作品がいったい何を表したかったのか、いろんな見方ができるんだけれども、まずは雰囲気だけでも十分に楽しめる作品だと思いますね。
動く絵画を見ているような感覚が味わえます。
考察はそのあと。なんなら別にしなくたっていい。
見たままに感じて楽しむのが一番な作品ではあるような気がします。
映画「エコール」が好きな人におすすめの作品
映画「エコール」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ミネハハ 秘密の森の少女たち(2005)
- レベル16 服従の少女たち(2009)
- 籠の中の乙女(2009)
- 小さな悪の華(1970)
まとめ:雰囲気で楽しむべき作品
かなり好き嫌いに分かれる内容だとは思いますが、耽美で謎めいた雰囲気の映画を探している人におすすめです。
どこか気怠い感じもあって、なんともいえない気持ちにさせられます(褒め言葉)。
とにかく純真無垢なイリスも可愛いですよ。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 71% AUDIENCE SCORE 75%
IMDb
6.8/10