
フランケンシュタイン(字幕版)
「フランケンシュタイン」の感想です。
先日、Netflixにてギレルモ・デル・トロ監督の「フランケンシュタイン」が配信公開されまして、それを観ようと思っていたところ、ふと思い出したんですよね。
私にとって「フランケンシュタイン」(1931)は、人生で始めて観た白黒映画。
唐突に懐かしくなったので、こちらのほうを先に観てみました。何度観ても名作ですね!
本記事は2025年11月12日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
人間の傲慢により生み出されたのは怪物だった。
作品情報
| タイトル | フランケンシュタイン |
| 原題 | Frankenstein |
| 原作 | フランケンシュタイン/メアリー・シェリー著 |
| ジャンル | ホラー |
| 監督 | ジェームズ・ホエール |
| 上映時間 | 70分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 製作年 | 1931年 |
| 公開年(米) | 1931年 |
| レイティング | 不明 |
| 個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
裕福なフランケンシュタイン家の嫡男として生まれたヘンリーは、しかし新たな生命を創る研究に没頭していた。ヘンリーは助手のフリッツと共に他人の墓を暴き、死体を集め、接合する。最後に大学から人間の脳を盗み出し、ついには命を蘇らせることに成功したのだった。喜ぶヘンリーだが――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ヘンリー・フランケンシュタイン
(演:コリン・クライヴ)
フランケンシュタイン男爵家の嫡男。エリザベスとの結婚を控えていたが、本人は研究に没頭。
エリザベス
(演:メエ・クラーク)
ヘンリーの婚約者。研究に没頭するヘンリーを心配している。
ヴィクター・モーリッツ
(演:ジョン・ボールズ)
ヘンリーとエリザベスの共通の友人。エリザベスに好意を寄せている。
ウォルドマン
(演:エドワード・ヴァン・スローン)
大学教授で、ヘンリーの恩師。ヴィクター、エリザベスと共に、研究中のヘンリーを訪ねる。
フリッツ
(演:ドワイト・フライ)
ヘンリーの助手。
フランケンシュタイン男爵
(演:フレデリック・カー)
男爵。ヘンリーの父親。一刻も早く、研究に夢中になっている息子と婚約者を結婚させようとしている。
怪物
(演:ボリス・カーロフ)
ヘンリーが生み出したモンスター。
映画「フランケンシュタイン」の感想
映画「フランケンシュタイン」の感想です。自分の中での「フランケンシュタイン」は完全にこれ。今観ても面白い。
原作はメアリー・シェリーだけど
今まで、幾度となく映像化されてきた「フランケンシュタイン」。
それらの多くはメアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」に基づいたものです。
本作も当然そのひとつではあるんですが、聞いた話によるとどうやら他の映像化作品とは毛色が違うらしい。というか、原作をちょっと変えてあるみたいですね。
そもそも主人公がヘンリー・フランケンシュタインではなくヴィクター・フランケンシュタインだと知った時には「ええ、そうなの!?」ってなりましたし。私にとっての「フランケンシュタイン」はこれだったので。本作にもヴィクターは登場しますが、ヘンリーの友人的立ち位置でしたね。なぜわざわざ変えたんだろう?
フランケンシュタイン=博士
ちなみに、私も本作を観るまではそうだったんですけれど、フランケンシュタイン=怪物の名前と思っている人は多いんじゃないかなって。
フランケンシュタインは博士の名前です。ヘンリー・フランケンシュタイン(小説ではヴィクター・フランケンシュタイン)。
悲しきかな、怪物の名前は最後まで出てこないし、英語のテロップにも「The Monster」としか書いてありませんでした。名前さえ与えられないまま人間の排除対象になってしまうなんてという気持ち。やっぱりあれは人間が生み出した哀しきモンスターなんですよね。
ちゃんと怖い
白黒映画って、物語が淡々と展開するイメージが強くて(※個人の感想です)、作品によってはあまり感情移入できないなみたいなものもあるんですけど、そんな中でもこのホラーは割としっかり怖い。
現代ホラー(映画)の演出ほどバラエティに富んでいるわけではないものの、引きの画で、誰かの後ろから忍び寄る怪物を見るとちゃんとハラハラします。ヘンリーの婚約者エリザベスが襲われるシーンとか、「ひえー!」ってなりますね。
周りに誰もいない時に力尽くで押さえつけられることの絶望感。でも、怪物自身に悪気はないから、やっぱり心が痛くなるシーンでもあるのだけど。あれも、近付いたら悲鳴を上げられて思わずといったふうでした。
人間の傲慢が生み出した……
人間が神になろうとしたことを発端に生み出された存在。それが怪物。死体を蘇らせる(新たな生命を創る)なんて、神以外のなにものも触れてはいけない領域です。某漫画でも言っていますし。「等価交換だ」って。つまり、それぐらいしないと手を出してはいけないこと。
そもそも、墓を暴いて死体を盗み出してくるという時点で、神を冒涜しているも同然。それなのに神に成り代わろうとするのですから、罰が当たるのも当然……なはずなんですが、勧善懲悪的な物語ではないので、ヘンリーは悪役として描かれていません。ヘンリーの場合、「神」同然の行為をしていながらも本人にそのつもりはなく、好奇心が行き過ぎたが故の行為だったからというのが大きいのかもしれませんが。
いやしかし、それにしても人間は傲慢ですよ。
利己的な理由で新たな生命を生み出しておきながら、それが思ったのとは違うと感じた途端、排除にかかるのですから。
少女マリアとの衝撃的なシーン
個人的に一番衝撃的かつ印象的だったのは、湖の畔で出会った幼い少女マリアとのシーン。
突然現れた怪物の手を引き、一緒に座らせるマリア。花を摘んで怪物に渡す。マリアが花を湖に投げ、浮く様子を見て楽しむ。それを眺めていた怪物、マリアを抱き上げたかと思うと湖にポシャーン! 浮き上がらず溺れるマリアを見てパニックに! と、この流れ。
ここ、とても切なくなりました。
これでさえ悪気はないんですよね。怪物は生まれてすぐ殺されそうになり、誰も周りにいなかったので感情というものがわからなかった。そこで出会った無垢な少女に(初めて)優しくされ、ここでは少し微笑むような描写もあります。
マリアが花を愛でるのと同じように、怪物もマリアに対して似たような感情を抱いたんじゃないかと思う。そのマリアが、愛でる対象である花を湖に投げては浮かべ、楽しんでいる。だから見よう見まねで同じことをマリアにしてしまった。
でも、自分がどうしてそのようなことをしたのかすらわからず、パニックになってその場を立ち去ることしかできなかったという。
ああ、哀しきモンスター……(二度目)。
仲良くしたいのに、その方法がわからない。
何もしていないのに
怪物、全体的に攻撃的ではあるんですが、自分から誰かを傷付けるようなことはしていないんですよね。いや、そう言うと多少語弊があるかもしれませんけれど、こう、初手から攻撃的なわけじゃないというか。
ただ近付いただけ、声をかけただけなのに、悲鳴を上げられる。だからパニックになって攻撃してしまう(マリア以外)。
そんな感じ。
そもそも、最初なんて本当に何もしていないのに「こいつを殺せ!」ムーブをかまされて、人間の傲慢さが顕著に表れています。怪物からしたら「産んでくれなんて頼んでねーよ!」といったところでしょう。
産んでくれと頼まれてもいないのに産んで、自分が欲しかったものとは違ったから責任を持って(!?)処分する。
この怪物、実際に最初は「仲良くなりたいな」みたいな感じで近付いているから、なお切ないんですよね。ただ、相手が怪物に優しくしてくれたとしても、情緒が未発達な怪物だからうまくいくとも限らない。むしろマリアのようになる可能性のほうが高い。
哀しきモンスターです(三度目)。
というか、殺人鬼の脳が入っているにしては大人しめじゃないか? とすら思います。
映画「フランケンシュタイン」が好きな人におすすめの作品
映画「フランケンシュタイン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- モルグ街の殺人(1932)
- 午前2時の勇気(1945)
- そして誰もいなくなった(1945)
- ロープ(1948)
映画「フランケンシュタイン」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月12日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:取っつきやすい白黒映画
白黒映画に親しみのない人でも比較的観やすい作品だと思います。
怪物が憐れで、でも時にちょっぴり可愛く見えたりもして。上映時間も70分ほどで、サクッと観られるのが良いですね!
Rotten Tomatoes
Tomatometer 94% Popcornmeter 87%
IMDb
7.7/10
Filmarks
3.5/5.0


