ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン1 エノーラ・ホームズの事件簿 光沢プリント(写真に余白あり) (ポスター)
エノーラ・ホームズ。
まず「ホームズ」と聞いて「ん?」と思う人は多いはず。
そうです。エノーラ・ホームズは、かの有名なシャーロック・ホームズの妹(架空)! 聡明な少女が、培った知識を総動員して活躍します。
本記事は2024年04月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
母をたずねて三千……いや、その前に助けたい人がいるんだけども。
作品情報
タイトル | エノーラ・ホームズの事件簿 |
原題 | Enola Holmes |
原作 | エノーラ・ホームズの事件簿/ナンシー・スプリンガー著 |
ジャンル | ミステリー |
監督 | ハリー・ブラッドビア |
上映時間 | 123分 |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2020年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
舞台は1884年のイギリス。母によって大事に、しかしちょっとばかりお転婆に育てられてきたエノーラ・ホームズは、16歳の朝、母の姿がないことに気付く。長兄のマイクロフトと次兄のシャーロックという二人の兄を呼び戻すが、歳の離れた兄たちと共に過ごした記憶はほとんどなく、そのうえ、淑女とは言い難い妹を見たマイクロフトが、エノーラを花嫁学校に入れると言い出した。しかし、エノーラはそんな兄の手を逃れ、母が残した暗号を手掛かりにロンドンへ向かうことにするのだった……。
登場人物
(敬称略)
エノーラ・ホームズ(演:ミリー・ボビー・ブラウン)
16歳の少女。誕生日の朝、母が行方不明になってしまったことから兄二人を呼び戻すも、花嫁学校に送られそうになり、母を探すために家を飛び出した。母からは護身術をはじめ、多才な教育を受けていた。
ユードリア・ホームズ(演:ヘレナ・ボナム=カーター)
エノーラたちの母。知識豊富で、エノーラを徹底的に教育した人だが、誰にも言わず姿を消す。何かに関わっていたような形跡があるが……。
シャーロック・ホームズ(演:ヘンリー・カヴィル)
エノーラの兄。探偵として名を馳せている。
マイクロフト・ホームズ(演:サム・クラフリン)
エノーラの兄。厳しく、お転婆なエノーラを見て花嫁学校に出すことを決める。
レストレード警部(演:アディール・アクタル)
スコットランド・ヤードに所属する警部。シャーロックとはライバル関係にある。
テュークスベリー卿(演:ルイス・パートリッジ)
エノーラが家を抜け出し、ロンドンへ向かう際の列車の中で知り合った貴族の青年。世間知らずなところがある。
映画「エノーラ・ホームズの事件簿」の感想
映画「エノーラ・ホームズの事件簿」の感想です。流石シャーロックの妹(という設定)なだけあって、16歳にしては聡明で、度胸もピカイチ。
シャーロック・ホームズの架空の妹
本作のタイトルを目にした時、まず「ホームズ? ホームズといったらイギリスのあの人だなあ……」とぼんやり思いました。
それでも直接関係があると想像しなかったのは、シャーロックに妹などいないと知っていたからですね。
シャーロックに妹がいたなんて話、聞いたことあります? ないですよね?(圧)
ところが、いざ観ようと思ってあらすじを読み込むと「兄のシャーロック」の文字が目に飛び込んでくる。
どういうことかと思って調べてみると、どうやらこのエノーラ・ホームズ、大本の原作小説には登場しない架空の存在。基本的な登場人物(シャーロックやマイクロフト)や設定を使ってはいるものの、それだけで、エノーラ自体は小説「エノーラ・ホームズの事件簿」に出てくるキャラクターとなっています。
めちゃくちゃ歳が離れているので、兄二人とはほとんど(まったく?)一緒に住んだことがないという設定。
ちなみに、エノーラというより、エノーラを演じたミリー・ボビー・ブラウンが弓を構えている姿を見て、「ハンガー・ゲーム」とかのキャラにいてもあんまり違和感なさそうだなと思いました。
ルイス・パートリッジの上品な佇まい
本作で「若きお貴族様」を演じたルイス・パートリッジ。
いやあ、すごかった。
かっちり洗練された雰囲気の服装だったからというのもあると思うんですけれども、あの衣装が似合うってすごい。
中世~近世ヨーロッパの貴族顔負けの上品な佇まいでしたね。格好良すぎる。
たまに話しかけてくるエノーラ・ホームズ
本作には、映画としてはやや特殊な演出がありました。
それは、映画の中の登場人物であるはずのエノーラが、時折振り返って、こちらに話しかけてくるということ。
正直、このあたりは賛否両論だと思います。むしろ、この演出があったから、より好き嫌いに分かれる作品にならざるを得なかったというか。
私個人としては、嫌いではありませんでした。
ただ、どんな演出にも言えることだと思うんですけれども、ものは使いようだなと。
この演出について、ミリー・ボビー・ブラウン本人は、
「初めての体験だったのですが、新しいことを試すのは好きです。カメラに話しかけることで、観客をエノーラの旅に連れて行ってくれる発想が良いと思いました」
(引用元:シャーロック・ホームズに“妹”がいた!ミリー・ボビー・ブラウンが明かす、主演映画に込めた想い|MOVIE WALKER PRESS)
と語っていますし、それはその通りだと思うんですけれども。
シリアスなシーンでこの演出を多用されると、ややコミカルな印象になるので、そのたびにふと現実に引き戻される感覚を味わいました。
強引な無理ある設定
まあ、ここらへんは原作自体がヤングアダルト向けなので、仕方ないんでしょうかね。
設定的に「どう考えても無理あるやろ……」という場面がいくつか見受けられました。……嫌な大人になっちまったぜ。
例えば、エノーラが未亡人になりすまそうとするシーン。
もう一度。
16歳になったばかりの、エノーラが、未亡人。
いや、無理でしょうと。
エノーラ本人によると、未亡人を選んだのにはしっかり理由があって、その理由自体は聡明なエノーラらしくもある。それに、当時(1884年)の女性の初婚平均年齢などを考えれば、まあ、まったくあり得ないことではないんだとは思う。
とはいえ、ミリー・ボビー・ブラウンはやっぱり年相応に見えて、結婚してすぐに夫が亡くなったというぐらいじゃないと筋が通らないし、仮にそうだとすれば、一応出戻りとなって(特に仕事をするとか言いながら)ひとりでフラフラできるような時代ではないような気がします。
そう難しく考えるストーリーじゃないことはわかっているんですけれども、中世~近世ヨーロッパが好きで! 気になって! しまったんです!(許して)
解釈一致と解釈違い
エノーラ・ホームズ自体は大本の原作に登場しない架空の存在だとは言っても、長兄のマイクロフトや次兄のシャーロック、レストレード警部は違います。
なので、やっぱり解釈が一致することと「解釈違いだ!」と思うことがあるわけです。
私個人としては、シャーロックはおおむね解釈一致。
基本的に興味があるのは謎解きだけで(もしかしたらワトソン君も)、母に置いていかれたエノーラのことを「意外と賢い子っぽいな」と思いはしても、直接的に助けるようなことはしない。暗号があれば別ですが、世の中のニュースや社会情勢の移り変わりにもさしたる興味はない。
そうそう、シャーロックはそうでなくっちゃ! というところ。
ですが。
完全に解釈違いだなと思ったのが、長兄のマイクロフトです。
なんか、めっちゃ嫌な奴だった。
個人的には、シャーロックと肩を並べるほど(もしくはそれ以上)に優秀で、だが非アクティブなためにあんまり自ら動いたりはしないけれど、人嫌いというだけで悪役的な感じではなかったイメージでした。
もちろん本作でも悪役というポジションではないんですが。
エノーラの話には一切耳を貸さないし、無理に連れ戻そうとするし、とっても嫌な奴に見えました。なにをもってして淑女とすべきなのかは、時代背景的なことを考えると当然なので、「手に負えないから学校に入れてしまえ」と思ったところまではいいとしてですね。
今までまったく見向きもしなかった唯一の妹が困っているのだから、他にもやりようがあるでしょう、と。
もう少しマイクロフトの性格をうまいこと導いてほしかった気がしますね。
時代背景には女性の権利向上
本作の舞台は1884年のイギリス。
そして、シャーロックが活躍していたのが19世紀末という設定(だったはず)。
イギリスで初めて女性の参政権が認められたのが1918年(しかも30歳以上という条件付き)だそうですから、確かに女性の権利がまだ低かった時代ですね。
なので、「女性とはかくあるべし」という基準が今とは大きく異なっていたと思うので、例えば先述した通り、マイクロフトがエノーラをさっさと花嫁学校に押し込んで、性格を矯正してもらおうと考えること自体は、なにも不思議なことじゃない。
従順で大人しく、弁えた女性であれ。できるだけ良い男性に嫁ぐことこそが女の幸せである。……みたいな。この時代に考えると、思わず「うへえ」と言ってしまいたくなりますが。
昔の女性たちがどれだけ頑張って声を上げてきたか、ですね。尊敬します。
なので、「結婚なんて考えていない」「一人で生きていくのもアリ」と堂々と言ってのけるエノーラは、なかなか珍しいタイプの女性だったんでしょう。これも母ユードリアの教えが生きている証拠。
このあたり、時代背景を考えれば当然の流れだし、映画作品のひとつとして考えれば私は全然アリなんですけれども、そこはかとないフェミニズム臭がするので、苦手な人はいるかもなという印象です。こう、エンタメ作品の中で思想を感じたくないタイプの人とかは特に。
映画「エノーラ・ホームズの事件簿」が好きな人におすすめの作品
映画「エノーラ・ホームズの事件簿」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- エノーラ・ホームズの事件簿2(2022)
- シャーロック・ホームズ シャドウゲーム(2011)
- ウエスト・エンド殺人事件(2022)
- ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015)
まとめ:とにかくルイス・パートリッジが素敵な作品
若き貴族を演じたルイス・パートリッジがとにかく美しく、格好良い。
役柄的に頼りない部分がほとんどなんだけれども、それがまた可愛く見える。この、女性であるエノーラを強く、男性であるテュークスベリー卿を頼りなく描いたのも、(作中の)時代に逆らう感じで良かったです。
ルイス・パートリッジが出演している他の作品も観たくなりました。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 91% AUDIENCE SCORE 71%
IMDb
6.6/10