クワイエット・プレイス (字幕版)
音を立てたら駄目、という意味では「ドント・ブリーズ」も似たようなものですが、本作「クワイエット・プレイス」で相手にするのは謎のクリーチャー。
静かに――を超えて、音を立てないようにしながら生活するなんて、ほぼ不可能に思えますね。
本記事は2024年06月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
この世界での出産は可能なのか。
作品情報
タイトル | クワイエット・プレイス |
原題 | A Quiet Place |
ジャンル | ホラー、SF |
監督 | ジョン・クラシンスキー |
上映時間 | 90分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2018年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
地球外からやって来た謎のクリーチャーにより、地球は人類滅亡の危機にあった。クリーチャーは極めて発達した聴覚を持っているため、音に反応する。ある家族は、音を立てないよう細心の注意を払いながら、そんな厳しい世界を生き抜くために戦っていた。
登場人物
(敬称略)
リー・アボット(演:ジョン・クラシンスキー)
夫であり、父親。冷静なタイプで、空回りすることがありつつも、基本的には家族を一番に考えている。
イヴリン・アボット(演:エミリー・ブラント)
妻であり、母親。妊娠中。
リーガン・アボット(演:ミリセント・シモンズ)
リーとイヴリンの娘。聴覚障がいがあるが、そのおかげで、家族は手話で意思疎通ができる。
マーカス・アボット(演:ノア・ジュープ)
リーとイヴリンの息子で、リーガンの弟。神経質で怖がり。音を立てることを異様に怖がる場面も。
映画「クワイエット・プレイス」の感想
映画「クワイエット・プレイス」の感想です。口コミを読んでみると、高く評価している人のほうが多い印象の本作。ですが、正直、かなり人によるところが大きいと思います。
多才すぎるジョン・クラシンスキー
まず、声を大にして言いたい。
ジョン・クラシンスキーの多才さよ……!
本作で、ジョン・クラシンスキーは監督・脚本・製作総指揮・出演の4役を務めています。いや、もうびっくりというか、アッパレですよね。
しかも、出演といっても、たまにある監督の遊び心でチラッと登場する……みたいなあれではなくて、アボット家の父親リー役を演じているという。
ちなみに、妻(母親)役を演じたエミリー・ブラントとは実生活でも夫婦です。
またエミリーとの共演については、彼女の次回作である『メリー・ポピンズ リターンズ』(2019年2月1日公開)を手がけたロブ・マーシャル監督とのエピソードが語られた。「撮影が始まる前の週に編集スタジオで彼に会って、いつから撮影なのかと訊かれたんだ。1週間後だと答えたら、彼は『楽しみだね!じきにわかるよ』と言うから僕は『知っています。僕は彼女の1番のファンですから』と答えたんだ。すると彼はこう言ったんだ。『同じ空間で体験するまでは、君の奥さんがどれほど素晴らしい女優かわからないと思うよ』と」。
(引用元:『クワイエット・プレイス』監督が語る、“音が無い”ことへのこだわりとは?|MOVIE WALKER PRESS)
こんなエピソードもあって、「んー! 誰も不幸にならないハッピーなエピソード!」とちょっとキュンとしてしまいました。妻の一番のファンは自分と自信を持って言えるのって、とても素敵ですよね。
単純な設定(褒め言葉)
細かい説明がなくても状況がわかる、というのが本作のすごいところ。
冒頭から荒れた店内を映し出し、そこで世界――もしくは国に何か起きたのではないかということが想像できる。手話で会話をしていたり、物が落ちそうになった時には必死でそれを掴んだり、音が出る玩具からは電池を抜いたりと、音を立ててはいけない状況なのだということもすぐにわかる。
その後に現れる謎のクリーチャー。
なるほどこれは、音に反応して襲ってくるクリーチャーの意識から逃れて、家族みんなで生き延びようとしている人たちを中心とした物語なんだと。
シンプルでわかりやすい始まりになっています。
この状況での妊娠
だが、しかし。
ツッコミどころがないわけじゃない。
本作では、妻イヴリンは妊娠しています。
その時点で「ああ、きっと出産をどう乗り越えるかが最大の見所なんだろうな」となんとなく想像できるわけですが。
そもそも、なんでこの状況で妊娠?
正直、このあたりが結構謎でした。
クリーチャーが地球に降り立った時にはすでに妊娠していて、というのならわかるんですけれども、この世界になってから妊娠するという不思議な状況。
赤ちゃん、泣くよ?
出産の痛みにイヴリンが声を出したらアウト、赤ちゃんが産声を上げてもアウト――。まあ、仮にこの辺がどうにかなったとしても、その後の生活もあるわけですからね。
イヴリンとリーは自分たちの決断だからまあいいとして、この赤ちゃんのために、リーガンとマーカスの命も懸けさせるのかい? とは思ってしまいました。
両親の言葉の矛盾
本作では「家族の絆」みたいなものを描こうとした痕跡(?)はあるんですけれども、個人的にはあまりそういったものは感じられませんでした。
それらしいセリフはある。
でも、それだけ。
リーガンが家を飛び出しても気がつかない母親。怖がりな息子に危険なことをさせる父親。それで「愛している」という雰囲気を出されても、本当に? と思ってしまうのが正直なところでした。
言葉に行動が伴っていないというか。
とはいえ、大人チームだって極限状態ではあるはずなので、この状況になったらみんなこんなものなのかもしれませんが。
当たり判定の曖昧さ
音を立てたら即アウト。
これが基本のルールですよね。
でも、外の自然音のボリューム次第なところもあるにはあるんですが、当たり判定が厳しめなところと緩めなところがあって。
シナリオを円滑に進めるためのご都合主義な部分もあるかなと思いました。
クールなクリーチャー(大好き)
なんだかんだと言いましたが。
クリーチャー大好き!
ええ、このクリーチャーの造形が好みでした。
あまり強くないのも可愛くて逆に良い◎
音を立てないようにして、いかに相手に気付かれないかがテーマなので、通常のクリーチャーものと異なりアクションらしいアクションはないんですけれども、エイリアンっぽい見た目なのに意外と弱いクリーチャーでした。
クールな(二度目)エミリー・ブラント
あとはね、ジョン・クラシンスキーの妻エミリー・ブラント。
彼女がとても格好良かったです。
なんていうか、やったったぜ! みたいな顔がめちゃくちゃクール。
出来る女というか、頼れる女という感じなのに、どこか色香の漂う表情で、同性ながらもドキドキしてしまいました。
それ以上に、出産シーンの演技は本物でした(当然)。
え、本当に出産した? みたいな。さすがというべきか、迫真の演技でした。
無音の格好良さ
本作で特に惹かれたのは「無音」の演出。
無音って、演出としてうまく取り入れられるとめちゃくちゃ格好良いんですよね。
完全にジャンルが違うんですけれども、「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」を観た時も無音の使い方に感動したのを覚えています。
リーガンが聴覚障がい者なので、彼女の視点になった瞬間フッと消える音。
最高にクールでした。
(聴覚障がい者である)リーガンのおかげで、家族が手話を使ってコミュニケーションを取れるというのも、なんともすごい設定ですよね。
映画「クワイエット・プレイス」が好きな人におすすめの作品
映画「クワイエット・プレイス」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ドント・ブリーズ(2016)
- バード・ボックス(2018)
- イット・カムズ・アット・ナイト(2017)
- ヴィレッジ(2004)
まとめ:登場人物が少なくて覚えやすい
基本的に、メインで出てくる登場人物はアボット家だけ。
数人だけで完結する物語なので、とても覚えやすいです。登場人物が多すぎると「あれ、これ誰だっけ?」となってしまいがちな人にも観やすい作品だと思います。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 96% AUDIENCE SCORE 83%
IMDb
7.5/10