
ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ (字幕版)
「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」の感想です。
映画「死霊館のシスター」(2018)で知られるタイッサ・ファーミガ主演のホラーコメディー。
80年代B級スプラッターホラーの再現性がすごくて、めちゃくちゃ面白かった。
日本ではDVDスルーだったらしいですが、これ公開していたらまあまあウケていたんじゃないだろうかという気もします。
本記事は2025年11月25日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
死んだ母の出演作(ホラー映画)の中に入ったら、若かりし頃の母がそこにいた。
作品情報
| タイトル | ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ |
| 原題 | The Final Girls |
| ジャンル | ホラー、スリラー、コメディー、ファンタジー |
| 監督 | トッド・ストラウス=シュルソン |
| 上映時間 | 91分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 製作年 | 2015年 |
| 公開年(米) | 2015年 |
| レイティング | 不明 |
| 個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
かつて俳優として活動していた母を交通事故で亡くしたマックスは、喪失感を乗り越えられずに日々を過ごしていた。母の死から3年ほどが経ったある日、母が出演していた有名なホラー映画のリバイバル上映に参加することになる。しかし、上映中、観客の不注意で火事が起きてしまう。炎に包まれようとしている会場から逃げたマックスとその友人たちは、気がつくと見知らぬ場所にいた。そこはどうやら、今し方観ていたホラー映画の世界のようで――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
マックス・カートライト
(演:タイッサ・ファーミガ)
3年前、交通事故で母を失った。親友の兄に誘われしぶしぶ映画のリバイバル上映に参加するも、火事に巻き込まれてんやわんや。必死に逃げるも、その先はリバイバル上映していた映画の世界だった。
アマンダ・カートライト
(演:マリン・アッカーマン)
映画の中では「ナンシー」。マックスの母親で、交通事故で命を落とす。かつて俳優として活躍していた。
ガーティ・マイケルズ
(演:アリア・ショウカット)
マックスの親友で、ダンカンの義妹。ダンカンのことは嫌いではないが、鬱陶しそうにすることもしばしば。
ダンカン
(演:トーマス・ミドルディッチ)
ガーティの義兄。映画館の副支配人で、とあるホラー映画のリバイバル上映をするにあたり、その作品に出演していた俳優を母に持つマックスをゲストとして招待する。
クリス・ブリッグス
(演:アレクサンダー・ルドウィグ)
マックスに恋心を抱いており、絶賛アプローチ中。
ヴィッキー・サマーズ
(演:ニーナ・ドブレフ)
マックスとガーティの友人で、派手な生活を送っている。
カート
(演:アダム・ディヴァイン)
映画の登場人物。見栄っ張りな性格で、女性と見ればアプローチをかけまくっている。
ポーラ
(演:クロエ・ブリッジス)
映画の登場人物。映画ではファイナル・ガールだった。
ティナ
(演:アンジェラ・トリンバー)
映画の登場人物。セクシー担当。
映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」の感想
映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」の感想です。主演のタイッサ・ファーミガ、とてもいいですね!
主演はタイッサ・ファーミガ
先日「死霊館のシスター」(2018)を観たばかりだったんですけれど、最近タイッサ・ファーミガに出会う率がやや高めです(本作のほうが先に出た作品だけど)。
いや、いいですね。彼女。
見ているだけで引き込まれるような演技をしてくれます。しかも、劇中にはめちゃくちゃふざけたシーンもありますからね(笑)。それでもしっかりシリアスな顔をして演じてくれるタイッサ・ファーミガ。
他の作品も観たくなります。
ファイナル・ガールのメタ設定
「ファイナル・ガール」とは、文字通り「ホラー映画で最後まで生き残る女性」のこと(簡単に言うと)。例えば「ハロウィン」(1978)のローリー・ストロードとかがそれに当たると思います。ただ生き残るだけじゃ駄目で、自立した若い女性で、最後には敵を打ち倒す強さがなければならないんですよね。
個人的には、最後まで生き残った女性というと「スクリーム」(1996)のシドニーが思い浮かぶんですが、彼女は唯一の生存者ではないため、ファイナル・ガールじゃないという人も多いみたい。まあ、あれはそもそもWヒロインですしね。
でも、中には「あれはまさしくファイナル・ガールだ」という人もいるようなので、ファイナル・ガールの定義も時代と共に変わっていっているのかもしれませんね。
ちなみに、ファイナル・ガールは処女である場合が多いので、本作にもその条件がもれなく付けられていました。ホラーあるあるとして、セッ……(略)をした人は死ぬというのがありますね。なので、本作でもしっかり「セッ……(略)はしちゃ駄目!」と映画の中のキャラたちに言い聞かせるのが面白かったです。
そう言えば、本作のタイトルは「ファイナル・ガールズ」。ガールズ。複数形。「ファイナル・ガール」とは言うけど、言葉の定義は変わりゆくものだし、必ずしもひとりじゃなくていいはずだよねと言っているようにも感じられます。
条件を利用する
劇中、セクシー担当のティナに「あなたがストリップを始めたらあいつ(犯人)が来るから、絶対に脱いでは駄目(映画ではティナが脱ぐのをきっかけに犯人が現れる)」と言い、ティナが脱がないよう目を光らせるという展開になりますが、この条件を利用するのがとても斬新で良かったです。
犯人をおびき寄せるため、見通しの良いところでティナにストリップしてもらうという(笑)。この考えはなかった。
劇中では、犯人の行動のきっかけは元の映画をなぞるようになっているので、マックスたちがどうしていようと犯人の行動は変わらない。予定調和(?)で予測が立てやすい。ただ、スプラッターホラーあるあるとして、犯人は人間離れした強さを持っているため行動がわかったところでというところはありますね。
で、本来のファイナル・ガールはポーラだったわけですが、この子が早々に退場してしまうというまさかの展開! さて、じゃあファイナル・ガールは誰にする!? この中で処女なのは誰!? と。処女かそうじゃないかをみんなの前で発表するのってなかなかしんどいですよねえ。
別にどちらでもいいんだけど、普通ならあえて言うことでもないし。大人になったら気にならないことでも、この年代で経験がないと、経験ありの子に置いていかれたような気がしてしまったりするんですよね。そんなことはないんだけど。絶対にないんだけど!
アダム・ディヴァインが「ピッチ・パーフェクト」すぎる
と、ここで内容とはまったく関係ない話なんですが(笑)。
カート役のアダム・ディヴァインがあまりに「ピッチ・パーフェクト」シリーズ(2012~)のバンパーすぎて笑いました。こういうちょっとダサい男の役が本当に似合う(ご本人がダサいという意味ではないのであしからず)。
もう、「ピッチ・パーフェクト」を観てこの役に起用したとしか思えないほどのキャラ設定。バンパーもまったく同じこと言いそうだもん。見た瞬間「え、これバンパーでは!?」と思ってしまったほど。
アダム・ディヴァインの他出演作を観たことがないので、完全にこのイメージになってしまった(笑)。
回想シーンの演出
あとは、回想シーンの演出も良かったですね。
ナンシーが語り出すと回想シーンが始まるというのを利用して、犯人を惑わせたり(笑)。回想シーンでは周囲が白黒になったり。こういう芸がとても細かかった。
こういうの含め、馬鹿馬鹿しくて笑えるんだけど、そうだよね、ホラー映画(特に80年代の低予算映画)ってこういう構成のやつ多かったかもね、とある種のノスタルジーを感じられる映画でもありました。
時代的な表現も
個人的に一番80年代を感じたのは、実はティナがヴィッキーの持っていた向精神薬をドカ飲みしてしまうところ。
自分の気のせいだったら申し訳ないんですが、ティナって向精神薬のことをあまり知らないような感じだったと思うんですよね。オレンジ色のカプセルの中に入っているそれが、正確になんであるか知らなかった。だからドカ飲みしてしまった(これ、めちゃくちゃ怖いことですよ……)。
で、ハイになる(笑)。
……というのはいいとして、この向精神薬についてですが、例えば現代の日本では、心療内科や精神科にかかる人もそこら辺にいますよね。薬を飲みながら日常生活を送っている人も多いと思います。でも、精神科領域で気軽に受診できるようになったのって割と最近の話な気がする。
アメリカの事情はちょっとわからないんですが、それでも80年代にはそこまでポピュラーな存在じゃなかったのではないかなと想像しています。だから、ティナもそうとわからず勝手にドカ飲みしてしまった。現代とのジェネレーションギャップを感じたシーンでした。
それで、ハイになったティナが身動きできないよう、ガッチガチに固められるのは面白かったですね(笑)。
ファイナル・ガールの戦い
自立した若い女性で、処女。
ということで、見事ファイナル・ガールに抜擢されたマックス。本来、ファイナル・ガールとは戦った末に生き残った女性であるはずですが、今回に限ってはその逆。ファイナル・ガールに選ばれたマックスを生かすためにみんなで戦うといった展開でした。
最初は「相手が凶悪な犯人といえども人殺しなんてできない!」と弱気になるマックスですが、マックスを生かすために周りが犠牲になっていくのを見て、次第にファイナル・ガールとしての役目を果たそうとするようになります。それすなわち、犯人を倒すこと。
この戦闘シーンが素晴らしかった。
といっても、だいぶ極端な演出になっているので、泥臭い戦いみたいなものを求めている人にはあまり向かない展開だったかなという気はします。個人的には好きでした。
母の死を乗り越える
と、メタ要素がいっぱいあってめちゃくちゃ面白い内容だったんですが、本質的には母の死を引きずっているマックスがメインのお話。
一見、母の死から立ち直り、日常生活を楽しく送っているようではあるけれど、ダンカンに母の出演作のリバイバル上映に来てくれないかと言われた時には実にしぶしぶといった感じでしたよね。母の死から立ち直ったのではなく、目を逸らし続けてきたマックス。
上映中、火事が起きる前にも、スクリーンに映る若かりし頃の母を見て席を外そうとしていました。
大事な人との別れをどう乗り越えるか。
このあたりもしっかり描かれていて、ナタリー(アマンダ)とマックスが語り合うシーンは非常に感動的でした。
映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」が好きな人におすすめの作品
映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ハッピー・デス・デイ(2017)
- ハッピー・デス・デイ 2U(2019)
- タイムカット(2024)
- ルール(1998)
映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月25日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:メタ要素がたっぷりで楽しいホラー
メタ要素がいっぱいあって、ホラー映画好きにはたまらない作品でした。
怖さもグロさもそんなにという感じなので、ホラー系統の映画が苦手な人でも観やすいのではと思います。ただ、メタ発言もあるので、ホラーあるあるを理解していたほうが楽しめるとは思いますが!
なににしても、コメディー寄りでクスッと笑える(感動もあり!)。そんな映画でした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 76% Popcornmeter 71%
IMDb
6.5/10
Filmarks
3.6/5.0

