
ファンタジー・アイランド (字幕版)
映画「イマジナリー」(2024)で知られるジェフ・ワドロウ監督が手掛けた「ファンタジー・アイランド」。
……まあ、やりたいことはなんとなくわかった! という感じでした。内容としてはいまいちだったけど、雰囲気は好き。
本記事は2025年05月16日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
過去に、やり直せることがあるとしたら?
作品情報
タイトル | ファンタジー・アイランド |
原題 | Fantasy Island |
原作 | ファンタジー・アイランド/テレビドラマ |
ジャンル | ホラー |
監督 | ジェフ・ワドロウ |
上映時間 | 109分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2020年 |
公開年(米) | 2020年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
海に浮かぶ孤島「ファンタジー・アイランド」を訪れた、グウェン、メラニー、パトリック、JD、ブラックスの5名。ファンタジー・アイランドにあるリゾート施設の経営者ミスター・ロークに案内され、島を訪れた面々は「一番の夢」を現実のものにしてもらうのだが――。
主な登場人物
(敬称略)
グウェン・オルセン(演:マギー・Q)
過去に、恋人からのプロポーズを断ったことを後悔している。
メラニー・コール(演:ルーシー・ヘイル)
子ども時代、発育が遅く、男の子のような体型をしていたことから、同級生に虐められていた。
パトリック・サリヴァン(演:オースティン・ストウェル)
警察官。軍に入ることを夢見ていたが、母に反対され警察官に。しかし、事務職に異動させられている。
JD・ウィーヴァー(演:ライアン・ハンセン)
義弟と共に島にやって来た。美女に囲まれたい!(酒池肉林)な夢がある。
ブラックス・ウィーヴァー(演:ジミー・O・ヤン)
JDの義弟。親の再婚でJDと兄弟になったが、ゲイだったことで、親に勘当されている。JDと共に、時折不謹慎なジョークを挟むことも。
ミスター・ローク(演:マイケル・ペーニャ)
太平洋に浮かぶ孤島「ファンタジー・アイランド」にあるリゾート施設を経営する人物。
スローン・マディソン(演:ポーシャ・ダブルデイ)
子ども時代にメラニーを虐めていた女性。
リューテナント・サリヴァン(演:マイク・ヴォーゲル)
パトリックの父親。パトリックが9歳の頃に亡くなっている。
デーモン(演:マイケル・ルーカー)
富豪に雇われ、「ファンタジー・アイランド」を調査するためにやって来ていた私立探偵。
ジュリア(演:パリサ・フィッツ=ヘンリー)
ミスター・ロークの助手をしている女性。
映画「ファンタジー・アイランド」の感想
映画「ファンタジー・アイランド」の感想です。雰囲気は好きだったけど、やりたいことを詰め込んだ結果、ごちゃごちゃしてしまったというふうに感じられました。
原作があるのなら……
個人的に、あまり刺さらない内容だった(映像は割と好きだったかもしれない)んですが、この作品、どうやら原作となるテレビドラマがあるそう。
刺さらなかった原因のひとつとして、いろんなことを同時にやってくれたので、それはもうごちゃごちゃした感じになってしまっていたというのがあって。
原作がテレビドラマだとするなら、それを2時間弱にギュッと詰め込んだから、よくわからないことになってしまったのかなという気もする。ちょっと原作のほうを一度観てみたいなと思いましたね。
割と胸糞(いや本当に胸糞)
で、本作は割と、結構、いや本当に胸糞でした。しかも、製作陣はおそらくこの胸糞を意識していないから、余計に胸糞なんですよねえ。
何がって、製作陣、虐めに対する解像度が低すぎる。
何年も毎日執拗に虐められていたほうからしたら、「お前が私の人生を壊したんだ!」って、割と正当な主張じゃないですか? まあ、どこから虐めとするかは本人の感覚次第なところはあるけど。でも、メラニーは「トイレの水を頭からかけられた」と言っているし、これはもうちょっとした悪戯では済まないことですよね。
虐めって、人ひとりの人生を根本から変えてしまうぐらいの威力がある。
中学時代は、私もどちらかと言えば虐められる側だったので、このあたりは余計感情移入してしまいました。
特に、私立探偵のデーモンが「Grow up.(大人になれ)」と言ったところ。はあああん? いや、マジで「はあああん?」ですよ。確かに、「仕返しをしたい」というメラニーの想いがスローンをこんな奇怪な島に呼んでしまったわけだけど、元はと言えばスローンがメラニーを虐めたからなのにね。やるならやり返される覚悟を持てと思ってしまう。虐めって、毎日少しずつ心を殺していくようなものだと思う。だから、この仕返しも過剰とまでは私は思えなかった。
そのうえ、スローンは夫を裏切って不倫までしている(しかも、たぶん夫も知っている男と)。「Grow up.」はスローンのほうに言ってくれ……。
「後悔しています」「ごめんなさい」と言っても、過去がなかったことにできるわけじゃないし。「虐められたことは忘れて、前を見て歩いて行きなさい」と言っても、そうできる人もいるかもしれないけど、それをできなくさせるのが虐めというものであって。
なのに、虐める側が「ちょっとした悪戯じゃない」「からかっただけよ」とか言っている部分だけ、謎に解像度が高くてびっくりしちゃった。たぶん、あいつ変わっていないよ。反省するのも一時的なものだと思う。そう思ってしまうぐらい、性格が悪かったです。
結局、虐める側は妙な成功体験だけを積んで、スムーズに普通の人生を送っていけるのだよなとも。この胸糞具合はリアル。
やりたいこと多すぎ問題
また、内容としてはかなり微妙でしたが、やりたいことがわからなかったわけじゃない。
ただ、ひとつの作品でやりたいことをギュッと詰め込んだ結果、ごちゃごちゃした感じになってしまったんじゃないかなあ。いろいろ語ったけれど、結果「で、結局何が言いたいの?」ってなってしまう感じ。
本作はグウェン、メラニー、JDとブラックス、パトリックの5人の夢が同時進行していく形になるので、それが難しかったのかも。厳密には、JDとブラックスの夢は兄弟でひとつだけど。
その4つの夢が途中で交錯したりするので、「え、これ、どういうことなの?」と思うシーンも多いんですが、そんなことはお構いなしに話が進んでいきます。
なんか、結局この5人の夢って蛇足的。そこまで必要性を感じないストーリーだったので、中だるみしている感覚もあった。中盤以降、「え、じゃあ、私が今まで見せられていたのってなんだったの……?」ってなってしまうというか。
なので、夢の描写にも中途半端な印象を持ちました。
ルールがいまいちわからない
あと、あ、これ微妙……となった最大の原因。
それは、ファンタジーの規則性がいまいちわからなかったということ。もうこれに尽きる。先述したように、やりたいことがいろいろあったのでしょう。でも、それが先行しすぎて矛盾が生まれ、納得できる規則性があると思ったところに「え、そうなの?」みたいな例外が訪れる。
その代表例とも言えるのが、グウェンとパトリックの夢の話。
島は、パトリックの夢が「それじゃない」と教えてくれました。つまり、本人が口にしたことではなく、心の奥底で願っていた夢を(現実に)見せた。なのに、グウェンのときはそうではなかった。普通に本人が口にしたことを現実にしていた。
ええー?
パトリックの時に「島は本質を見るんだなあ」と思ったのは違ったの? って。グウェンだけが例外ってこと? それとも例外なのはパトリックのほう?
劇中で「あれ?」ってなることは、まあどんな作品でもあると思うんですが、それが頻繁に重なるとやっぱり集中力が徐々に失われていきますね。
雰囲気で楽しむ映画
と、まあ、本作は雰囲気で楽しむタイプの映画でした。
ジェフ・ワドロウ監督らしい雰囲気というか、空気感としてはまさに「イマジナリー」のような感じで、ダークファンタジー味がありました。ただ、内容として見たら、矛盾は多いしやっぱり胸糞。もうね、スローンをとにかく更生させてから出直してきてほしい(笑)。あれはあれでリアルだけど。
最後に。
拷問先生はいったいどんな立ち位置だったの?
映画「ファンタジー・アイランド」が好きな人におすすめの作品
映画「ファンタジー・アイランド」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ザ・ウォッチャーズ(2024)
- ザ・ゲスト(2014)
- スパイダーヘッド(2022)
まとめ:キャスティングは好き!
私にはあまり刺さらない作品ではありましたが、キャスティングは良かったような気がします。
まず、ブラックスが出てきた時点で「えっ、ジミーじゃん!」と思ったし。スタンドアップ・コメディアンであるジミー・O・ヤンは自身のネタの中で人種的なものに触れたりするので、序盤の強めの人種差別ネタは「ジミーだあああ!」ってなってしまいました(笑)。個性を殺さず活かしている。
その辺は素晴らしかったです。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 8% Popcornmeter 48%
IMDb
4.9/10
Filmarks
2.8/5.0