
ハウスバウンド
ニュージーランド発のホラー映画です。
ジェラルド・ジョンストン作――なんか聞き覚えのある名前……と思っていたら、映画「M3GAN/ミーガン」(2022)の監督でした。長編デビュー作だそうです。
だとしたら、だいぶクオリティー高いな!? と。
ちなみに原題の「Housebound」は、「家に引きこもった」「家の外へ出られない」を意味する形容詞です。
本記事は2025年04月28日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
家で変なことが起こる……これは幽霊!?
作品情報
タイトル | ハウス・バウンド |
原題 | Housebound |
ジャンル | ホラー、コメディー、サスペンス |
監督 | ジェラルド・ジョンストン |
上映時間 | 107分 |
製作国 | ニュージーランド |
製作年 | 2014年 |
公開年(新) | 2014年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
ATM強盗の罪で逮捕され、保護観察処分を受けた不良少女カイリー。期間中は反りが合わない母親の家で暮らさねばならず、鬱憤が溜まっていたカイリーだったが、ある日、母親がラジオ番組への電話で「自分の家には幽霊がいる」と相談しているのを聞く。「母親には認知症の気があるのではないか」と思うカイリーだったが、やがて家の中で怪奇現象が起き始めるのだった――。
主な登場人物
(敬称略)
カイリー・バックネル – Kylie Bucknell(演:モルガナ・オレイリー)
ATM強盗をしようとした罪で逮捕。8カ月間の保護観察処分を受けることになった。その間、反りが合わない母親と、無口な義父と共に暮らすことに。
ミリアム・バックネル – Miriam Bucknell(演:リマ・テ・ウィアタ)
カイリーの実母。ラジオ番組に「前夫と購入した自分の家には幽霊が出る」と相談。
エイモス – Amos(演:グレン=ポール・ワル)
カイリー担当の保護観察官。近隣住民でもある。
グレアム – Graeme(演:ロス・ハーパー)
ミリアムの現夫で、カイリーの義父。無口な性格。
デニス – Dennis(演:キャメロン・ローズ)
心理学者。カイリーのカウンセリングをすることも。
映画「ハウス・バウンド」の感想
映画「ハウス・バウンド」の感想です。実は、ニュージーランド発のホラー作品は初めて観まして。あまり期待しないで見始めたのですが、これがまた面白かった!
ニュージーランド発のホラー
先述した通り、本作はニュージーランド発のホラー。
個人的に、ニュージーランドの作品なら「ラブリーボーン」(2009)が本当に好きなんですが(アメリカ、イギリスとの合作ではあるけど)、ホラー作品は何気に初めて。
そもそもニュージーランドにホラーというイメージがなかった。
それなのにびっくり! めちゃくちゃ面白かった。
ただし、これにはかなり個人差があると思われます。どの作品にも好きな人がいれば、嫌いな人もいる。当然のことではありますが、この作品にはそれが顕著に出そうな気はしている。
というのも、後半は怒濤の勢いで展開が二転三転してくるのですけど、そこまでが割と長いんですよね。前半はとにかく耐えろ! な映画。序盤時点では登場人物にも魅力を感じづらいから、いまいちどこを楽しんでいいかわからない。結局、前半のだらーんとした感じを後半まで引きずってしまった……という人も多いんじゃないでしょうか。一応、気持ちはわかる。
ホラー作品ではあるものの、ホラー部分にはあまり期待しないで観ると割と面白かったです(ホラー部分が駄目なのではなくて、ホラー作品と言うにはやや控えめだった印象)。
監督はジェラルド・ジョンストン
そして、本作の監督はジェラルド・ジョンストン。
そう、あの映画「M3GAN/ミーガン」(2022)のメガホンを取ったあの人です。しかも、これが長編デビュー作なんだとか。いやいや、だとしたら相当すごいな!? B級映画っぽくて、予算もさほど多くなさそうなのに、これだけのホラーコメディーを作ってしまうなんて。
当時から、もうすでに才能の一端が垣間見えています。
新感覚ホラー映画『M3GAN/ミーガン』の続編『M3GAN 2.0(原題)より、初となるティザー映像が到着した。映像のトーンは静かながらも、不気味さとパワフルさが増した仕上がりとなっている。
ジェラルド・ジョンストンは、2025年(米国)公開予定の「M3GAN 2.0(原題)」でも監督を務めています。こちらも楽しみですね!
奇人変人ばっかり
なお、先述したように、序盤では登場人物たちの魅力がいまいちわかりません。それどころか、カイリーに対してもミリアムに対してもちょっとイラッとするまである(笑)。
ATM強盗(未遂)をやらかして、保護観察処分になったカイリー。まあ、こういう展開はなくはないので、いいんですけれども。カイリーが家に戻って来た際の、母親への態度がまあまあ酷い。こういう反応をするからには、きっと家族仲が悪くなってしまうだけの理由があったんでしょうねと思わずにはいられない態度です。
ところが、家族の過去についてはあまり語られません。何もなくて母親に対してこんな態度を取るなら、カイリーさん、そりゃあ酷いってもんよ……と。まあ、母親のミリアムには元夫(カイリーの実父)がいるという設定なので、何かあったに違いないという想像の余地は残されていますが。
あと、ミリアムはミリアムでちょっと変な人。
ラジオ番組の心霊相談で「自分の家には幽霊が出る」みたいなことを話している。娘としては、これは確かに「やめてくれー!」ってなってもおかしくはない。だとしても、母親に対して「認知症が始まったのかと思った」(正確な言い回しは覚えていない)みたいなことを言ったカイリーに、また「うわあ……」ってなったり。
本記事でのネタバレは極力控えたいので、詳細なことは書けませんが、保護観察官のエイモスも変人だし。本作にはさらなる変人も登場するし。
だんだん好きになる登場人物たち
でもね、見進めていくうちに、登場人物たちになぜか愛着が湧いてくるんですよ。本当に不思議なんだけど。変人ではあっても、結局みんな悪人ではないからかな。
母親に対して散々な態度を取っていたカイリーも、娘に対して距離を置き「思い知らせてやるわ!」と意気込んでいたミリアムも、変人すぎる近隣住民(兼保護観察官)のエイモスも、ひとつの問題に立ち向かうことによって徐々に絆を深めていくという。
このあたりの描写が非常に自然で、観やすかったなと感じています。
特に「私の母親が危険なの!」と訴えたカイリーを見た時には「カイリーさんも成長したんや……」と謎の感動がありました。
ホラーとコメディーのバランスが◎
また、本作はホラーとコメディーのバランスが非常に良かったという印象もあります。
本来、相反するはずの2つのジャンル。それが見事にマッチしていました。ホラー×コメディーといえば、個人的にすぐに思い浮かぶのは、例えば「ハッピー・デス・デイ」シリーズ(2017~)とか、「ザ・スイッチ」(2020)とかですが、あそこまでわかりやすくコメディーという感じではありませんでした。上記2作品のように明るい雰囲気でもない。
ハウスホラーであのようにしていたら、やっぱりコメディー部分が浮いていた気がしますしね。
緊張と緩和の使い分けがうまく、緊張した次の瞬間には、思わずフッと小さく笑ってしまうような仕掛けがたびたび仕掛けられている。
その辺も、あとから思えば、ベタな展開と言えばベタな展開なんだけど、つい吹き出してしまったんですよね。こう、無意識に笑ってしまったあとに「くっそ、こんなので……!」ってなる感じ。
オチも秀逸
あとは、そうですね。
オチも割と秀逸だったんじゃないかな。そんなのアリ? と。結構、見たことがないタイプの終わり方だったかも。
映画「ハウス・バウンド」が好きな人におすすめの作品
映画「ハウス・バウンド」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- イマジナリー(2024)
- ディスコード -DISCORD-(2012)
まとめ:鑑賞後の感想は自己責任で!
個人的には「とっても面白い」に分類される作品でしたが、これはかなり人によるところがありそうなので、自己責任で観るべき映画ですね(いや、どの作品もそうか?)。
登場人物に関して、最初に「この人、あんまり好きじゃないかも」と思ったところから、「意外と好きかもしれない」まで巻き返すのはなかなか珍しいなと思った次第でした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 95% Popcornmeter 73%
IMDb
6.7/10
Filmarks
3.5/5.0