映画「愛してるって言っておくね」あらすじ・感想｜良すぎる邦題……涙なしには観られないショートフィルム

「愛してるって言っておくね」

タイトルからしていかにも感動しそうですが、実際に、涙なしでは観られない（良い意味で）重たいストーリーになっていました。

満足感が高い……と言っていいのかはわかりませんが、鑑賞後しばらくは余韻に浸りたくなる作品です。

作品情報

タイトル	愛してるって言っておくね
原題	If Anything Happens I Love You
ジャンル	ヒューマン、ショート
監督	ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィエ
上映時間	12分
製作国	アメリカ
製作年	2020年
レイティング	PG
おすすめ度	★★★★★

あらすじ

ある夫婦が、会話もなく食事をしている。2人の間に流れる空気は、決して良いとは言えないようだ。そこに、2つの影が現れて、2人の心情を代弁するかのように言い争いを始める。しかし、本物の彼らは結局言葉を交わすことなく、向き合わないままだった。洗濯物を取り込んでいた妻は、その中から子ども服を取り出して泣き崩れるのだった……。

映画「愛してるって言っておくね」の感想

映画「愛してるって言っておくね」の感想です。10分ちょっとの短編アニメであるにもかかわらず、涙なしには観られない内容となっています。

セリフがないからこその良さ

口コミを読んでいると、たまにある「セリフがなくてもとても良い」というような感想。

これにはまったくもって同意なんですけれども、なんなら「セリフがないからこそ良い」のではないかと思います。

たった12分という短い間だからこそ、セリフなどの文字情報を詰め込んでしまうと説明感が強くなりそうな内容ですしね。

セリフがないからこそ、鑑賞者の想像がより一層掻き立てられます。

モノクロの世界で色づいた娘の服

作中、特に印象的なのが、モノクロの世界で色づいた子ども服（娘の服）といくつかの記憶（3人で見た夕焼け等）。

なんというか、切なくなりますね。

モノクロの世界で色づく……とは言うけれど、逆に言えば、娘を失ってしまった夫婦の世界は、文字通り色を失ったということでしょう。

強調したい部分にだけ、しっかり色がついている。

基本的には娘が関わっている記憶がそうなっているんだけど、例外的に、アメリカの国旗がその存在を主張するように色鮮やかに出てきます。

ここに強い主張というか、銃社会であるアメリカに対する強烈なメッセージを感じました。

実際に起きた事件をモデルにした内容

なにも知らないまま観てもなかなか衝撃的な内容になっている本作ですが、実は、この作品はアメリカで実際に起きた事件がモデルになっています。

ただ、この作品で描かれているのは事件の内容ではなく、被害者遺族の苦しみや葛藤。

被害者遺族の喪失感がひしひしと伝わってきますね。

（作中における）実際の両親とは別に、その心情を表している（両親の）影がいるんですけれども、歩く娘を「行かせたくない」と引き止めようとする描写が胸にグッときました。

そうだよね、こんなことが起こるとわかっていれば、絶対に引き止めていたよね、と。

このシーンだけで、ほんと、泣けます。

邦題の素晴らしさ

原題の「If Anything Happens I Love You」。

直訳すると「何が起こっても愛している」なんですけれども、邦題は「愛してるって言っておくね」になっています。

一言。

素晴らしい（ブラボー！）。

他言語（日本語ではない言語）のタイトルを邦題に落とし込むとき、短いものだとそのままカタカナにしたり、それだとピンと来ないものには日本人にわかりやすいようなタイトルを別途付けたりするのが一般的だと思いますが、この「愛してるって言っておくね」はかなり秀逸。

これは親から娘への言葉かもしれないし、娘から親へかけたかった言葉かもしれない。

どちらにしろ、当たり前に享受しているなんの変哲もない毎日で、周りの人に愛情をしっかり伝えておくのは大事なんだなということがわかるタイトルになっています。

映画「愛してるって言っておくね」が好きな人におすすめの作品

映画「愛してるって言っておくね」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

まとめ：12分とは思えないボリューム感

約12分のショートフィルム（短編映画）である本作。

手が空いたとき気軽に観られる長さだというのに、10分ちょっとだとは到底思えない濃密な内容となっています。Netflixに加入している人は、ぜひ観てみることをおすすめします。