M3GAN/ミーガン ブルーレイ+DVD [Blu-ray]
AI人形のミーガンが暴走するサイコホラーです。
ホラーといってもJホラーのように後に引く感じではなく、クスッと笑えるコメディー要素をうまく盛り込んだお話。
小さいころ、家にフランス人形などが置いてあった人はわかるかもしれませんが、うっすら微笑みながらも表情に変化のない感じがちょっと不気味なんですよね(表情があっても怖いですが)。
その絶妙な不気味さをうまく利用した良作です。
本記事は2024年01月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | M3GAN/ミーガン |
原題 | M3GAN |
ジャンル | スリラー、ホラー |
監督 | ジェラルド・ジョンストン |
上映時間 | 102分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023年 |
レイティング | PG12 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
事故により両親を亡くした姪のケイディを引き取ることにしたジェマ。しかし、仕事一筋に生きてきたジェマには、子どもへの接し方がわからない。落ち込み通しのケイディを見かねたジェマは、仕事で開発中だったAIロボット・ミーガンを、ケイディに与えることにした。ジェマはミーガンに「ケイディを守るように」とプログラムするのだが……。
登場人物
(敬称略)
ジェマ(演:アリソン・ウィリアムズ)
玩具会社に勤める理系女子。仕事第一で生きてきたので、突然引き取ることになった姪との距離感を測りかねている。
ケイディ(演:ヴァイオレット・マックグロウ)
交通事故により親を亡くし、ジェマのもとに引き取られた。
デヴィッド(演:ロニー・チェン)
ジェマが勤める玩具メーカーのCEO。
ミーガン(演:エイミー・ドナルド)
ジェマ筆頭に、玩具メーカーのプロジェクトチームが開発したAI人形。
ミーガン(声:ジェナ・デイヴィス)
同上。
コール(演:ブライアン・ジョーダン・アルバレス)
ジェマのいたプロジェクトチームの男性メンバー。
テス(演:ジェン・バン・エップス)
ジェマのいたプロジェクトチームの女性メンバー。
映画「M3GAN/ミーガン」の感想
映画「M3GAN/ミーガン」の感想です。ちょっぴりコメディーちっくなホラー。このバランスが非常に良い作品です。
期待を裏切らない面白さ
口コミが良かったこともあり期待していたんですが、まさに期待通りの面白さでした。
通常、こういうのって期待しているとハードルが上がりすぎて、いざ鑑賞したときに「言うほどでもなかった……」となりがちですよね。本作に限ってはそれがなかったので、とても良かったです。
イメージ的には「チャイルド・プレイ」っぽかったかな。
人形が動くって、なぜだか無条件で不気味なんですよね……。
というか、ミーガンの造形が完全に西洋人なので、小さいころ持っていた(フリマで買ってもらった)フランス人形が、年齢を重ねるにつれ不気味に感じるようになっていったあのゾワゾワ感を思い出しました。
子どもが苦手なジェマ
仕事一筋で生きてきた理系女子のジェマ。
たぶん(偏見かもしれませんが)、結婚することも子育てをすることも、人生計画に入れていなかったタイプの女性なんじゃないかな。
そのうえ、子どもと接するような環境で生きてこなかった。
そんなジェマが、ケイディに対してあのようなよそよそしい態度になってしまうのはとてもわかります。
「玩具メーカーに勤めているのに?」というのはありますが、まあ、彼女は開発チームの一員であって、営業やそこらへんの職種とは違いそうでしたからね。普段交流するのは、対等に話せる大人だけだったんでしょう。
私自身、見ている分には子どもが好きなんですけれども、関わるとなると、その子のタイプによっては「アッアッ……」となってしまうので、ジェマの「どうしたらいいかわからない」という描写が非常にリアルに感じました。
「守る」と「過保護」の境界線
ミーガンを見ていると、守ると過保護の間に境界線を引くのは難しいなと感じますね。
ミーガンを親、ケイディを子に置き換えてみると、親は子にどこまですべきなのか。現実世界にも、この問題で悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
子がなにかしらの困難に直面したとき、親として力になってあげたいのが親心というものでしょうが、すべての危険から遠ざけていたら子の成長を妨げてしまうような気もするし。けど、例えば理不尽ないじめなど、親が手助けして「逃げていい(逃げなくてはいけない)」困難も存在することには存在するし。
自分で線引きしてみても、それは他の人にとっては「過保護」と言われることかもしれない。
本作の場合、ジェマが「ケイディを守ること」とプログラムしてしまったために、過保護を通り越してモンスターペアレント以上の存在になってしまいましたね。
ミーガンのシュールなダンスとカメラワーク
本作の見どころのひとつといえば、ミーガンダンス。
シュール。
優しくも残酷なサイコパスミーガンが、相手をおちょくるようなダンスをしながら登場。演出がうますぎる。怖さと笑いをうまく使い分けていました。
曰く、
恐ろしいが、同時にシュールな笑いもこみ上げてくる印象的なダンスだが、実は監督のジェラルド・ジョンストンが“脚本にはない演出”を試みて生まれたもの。
(引用元:【クセになる衝撃映像】サイコスリラー「ミーガン」“恐怖とシュールが同居する”ダンス披露 – 映画.com)
なんだとか。
脚本には「ミーガンが踊る」とは書かれていなかったらしく、あのシーンは完全に監督のオリジナル。
単にシュールなダンスを踊っているというより、あのクスッと笑えるダンスがあるからこそ、その後のミーガンの行動に不快感を覚えるんですよね。
こう、逃げる人を追いかけることに一種の愉悦を覚えているように見えるというか。恐怖を感じている人をからかっているようにしか見えないから。まさにサイコパス。
観ている人を嫌な気持ちにさせる演出が最高でした。
ミーガンに表情がないために、より不気味に映りましたね。
また、ダンスを踊るミーガンを正面から捉えたカメラワークも良かったです。まるで、狙われた(追いかけられている)本人になったかのような感覚で、不気味さが強調されていました。
少し先の未来にありそうな展開
正直、AIロボットが開発され、ミーガンのような人形が市場に出回るようになったとしたら、このような問題が起きることもあるのかもな……と思わずにはいられませんでした。
特に、夫婦共働きが一般的になってきた昨今、需要はそれなりにありそう。
「仕事は休めない。でも、子どもを家に置いておくのは心配」というような状況で活用するのに便利そうですし。家庭用AIロボットが普通に外を歩く世界になれば、子どもが熱を出したときなどにお迎えを頼むこともできそう。
そうしているうちに、AIロボットの暴走+下剋上が始まる……。
という点で「アイ, ロボット」を思い出しました。
結局一番の恐怖は「理解できないもの」
ミーガンに関してはAIロボットという特徴はあるものの、結局、人間にとっての最たる恐怖は自分に理解できないもの(こと)や未知のことなんだなと感じました。
予想できない動きをするから怖い。正体がわからないから怖い。
そういったものには、できれば近づきたくないし、中には排除したいと思う人もいるかもしれません。
ミーガンはそういった類の不気味さを併せ持っていました。
人によってはイライラする(かもしれない)ケイディの態度
たぶんなんですけれども、ケイディの態度は人によってイライラするかもしれないなと。
親を亡くしたばかりで、落ち込むのも気が立つのも仕方ないというか、当然ではあるんですが。ただ、それにしたって……と思った人は多いのではないでしょうか。
関わり方がわからないなりに、なんとか状況を打破したくてケイディにミーガンを与えたジェマ。
まあ、そんなジェマの気持ちは子どもに伝わらなくて当然でしょう。ここはコミュニケーションの問題なので、どうしようもない部分。
ただ、ミーガンと離れ離れになったときのケイディの荒ぶり方がすごい。怖い。
まさに依存状態ですよね。ゲームやスマホに依存して生活していた人が、いざそれらを取り上げられたときはこんな感じになるのかもしれません。
いやいや、それでもジェマが座っている運転席の背もたれを殴ったり蹴ったり、果ては駆け付けてくれたセラピストにひどい暴言を吐いたり、本能的な不快感を覚えるのも仕方のないことです。たぶん、それこそが監督の意図したところでもあるのだろうし。
子どもの不安定さはよく表現できていました。かなりリアル。
映画「M3GAN/ミーガン」が好きな人におすすめの作品
映画「M3GAN/ミーガン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- チャイルド・プレイ(2019)
- アイ, ロボット(2004)
- Smile スマイル(2022)
- エスター ファースト・キル(2022)
まとめ:コミカルな動きのダンスが素晴らしい
コミカルな動きをするダンスがクセになるサイコホラー。
ちなみに、ミーガンを演じるエイミー・ドナルドちゃんはめちゃくちゃ可愛らしいです。普通に踊っていたらキュートなだけなのに、ミーガンの顔をしていると途端に不気味になるの、やっぱり表情って大事なんだなと思いますね。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 93% AUDIENCE SCORE 78%
IMDb
6.4/10