トレマーズ [DVD]
アメリカ発の映画としてはかなり低予算で作られたものの、予算の割にしっかり作り込まれた内容の作品です。
賛否両論あるようですが、B級映画×モンスターパニック映画が好きな人は、きっと気に入ると思います。
本記事は2024年01月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | トレマーズ |
原題 | Tremors |
ジャンル | アクション、パニック、B級映画 |
監督 | ロン・アンダーウッド |
上映時間 | 96分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1990年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
アメリカ西部にある人口わずかな小さな町の周辺では、このところ謎の地震と共に、人が変死する事態が起こっていた。そんな町でなんでも屋を営んでいたバレンタインとアールは、地質学者のロンダと謎を探ることに。地震も変死も、実は地底に潜っていた正体不明のモンスターが引き起こしていることで……。
登場人物
(敬称略)
バレンタイン・マッキー(演:ケヴィン・ベーコン)
田舎町でなんでも屋を営んでいる男性。お調子者。
アール・バセット(演:フレッド・ウォード)
バレンタインと共に、なんでも屋を営んでいる男性。バレンタインに比べれば冷静な性格。
ロンダ・レベック(演:フィン・カーター)
地質学者の女性。大学院生。頭脳派と思いきや、窮地に陥ると大胆な一面も見せる。
バート・ガンマー(演:マイケル・グロス)
数少ない町の住人。モンスターに自宅を襲われた際には、コレクションしてあった銃で応戦。
ヘザー・ガンマー(演:リーバ・マッキンタイア)
数少ない町の住人で、バートの妻。モンスターに自宅を襲われた際には、夫と共に銃で応戦。
映画「トレマーズ」の感想
映画「トレマーズ」の感想です。ストーリーとしては王道ですが、よく出来た作品だと思います。B級映画が好きな人におすすめ。
人間とモンスターの頭脳戦
まず、すごいと思ったのがここ。
あんな知性のかけらもなさそうな見た目のクリーチャーなのに、人間相手にトラップを張ったりするなど結構頭が良いんですよね。
結果、最後のほうは頭脳戦もちょろっと出てきている。
まあ、実際「こいつ、実は知性があるのでは?」なモンスターパニック映画って普通にあるんですが、ザ・B級映画な作品だと意外と少ないような気がしています。
モンスターパニック映画において、モンスターそれ自体にどれほどの魅力があるかってとても大事な部分ですよね。
程よいチープ感
口コミなどを読んでいると「モンスターがチープ」「王道すぎてチープ」みたいな意見を見かけますが、こういったB級映画っぽい作品の良さって、そのチープさにもあるような気がします。
あまりにチープすぎるとがっかりしますが、完璧を求めるならA級映画を観れば良いわけで。
低予算という限られた枠組みの中でこれだけの作品に仕上げたというのが、やっぱりいいんですよね。
とはいえ、この作品も公開当初はヒットしなかったらしく、その後VHSやレンタルなどで広がっていったようです。そしていつの間にか、名作と呼ばれる作品に(ただ、名作ギリギリラインではある)。
わかりやすい王道な設定
公開当初はそこまで振るわなかったものの、名作と言わしめるほどまでの人気作品になったのは、ひとえにシンプルなストーリーだったからではないでしょうか。
王道でわかりやすかった。
つまり、広くウケやすい内容だったということですね(もちろん、それでも賛否両論あるでしょうが)。
外の世界との連絡が遮断され、逃げる手段もなく、そこにある道具のみで生き延びなければいけない状況の中で、謎のクリーチャーと対峙することになるという。そして、選択を間違えれば即退場。しかも、安全圏(とも言い切れないけれど)は岩や建物の上のみ。
シチュエーションスリラーで押さえるべきところを基本的には網羅していますね。
微妙に物足りない恋愛要素
正直、ロマンス映画でもない限り、恋愛要素を組み込む必要はないと思っている人間なんですが、「トレマーズ」にはちゃっかり入っていましたね。
そのあたりをうまく取り入れられたなら、パニック系の映画などでは盛り上がること間違いなし。
なんですが、「トレマーズ」の場合、序盤~中盤にかけては(なんなら割と最後のほうまで)恋愛要素が薄かったのに、最後の最後に突然ドーンと出てきた感じだったので、若干の置いてけぼり感を覚えました。
あと、気になったのはラストのキスシーン。
言葉もなく、突然引き寄せてキス……という感じでしたが、間々あるこういう展開を見るたびに、「これ、もし相手が自分のこと好きじゃなかったら、どうなるんやろう」と思ってしまう。
それぐらいには、恋愛を感じさせない内容になっていたので。あっても若干「もしかして意識している?」程度。
ふたりの関係が深まる描写がもっとあれば自然に見えたのでしょうが……。そうすれば、相手もしっかり好意を寄せているように見えたのではと思いますね。
ただ、昔は「不器用な男」「強引な男」とかが今よりモテていた時代(ド偏見)だったかもしれないので、こういう男性にキュンとくる可能性はある。
最後まで正体がわからないクリーチャー
例えば「バイオハザード」のように、最初こそ「なんだこりゃ!」と思っても、物語が進むうちに実質的な正体(もしくは、それが生まれた原因)に辿り着く話は多いでしょう。
その点、「トレマーズ」に出てくるこの地底生物の正体は、結局わからずじまい。
クリーチャーには「グラボイド(グラボイズ)」という名前が付けられているものの、それだけです。どこから来て、何を目的として人間を捕食するのかなど、パッと見の習性以外はほとんど謎のまま終わります。
こう、結局「あれはなんだったんだ……」で終わる展開って、いいですよね。
だって、
2011年の調査に基づく推定によれば、地球全体の生物種の86%、海洋生物種の91%がまだ発見されていないという。
(引用元:Business Insider Japan – 透明なカタツムリ、巨大ネズミ、小さなカエル…ここ10年で発見された魅惑の動物たち)
ということらしいので、私たちの知らない生物のほうが圧倒的に多いわけです。
「グラボイド」のようなクリーチャーがいて、その正体までは行き着かなかったとて、なんら不思議ではないですもんね。むしろ、そちらのほうが自然まである。
「グラボイド」は、上記の引用で言うところの「地球全体の生物種の86%」のうちの一種だったと考えると、ある種のロマンすら感じます。
スピーディーな展開
鑑賞者を飽きさせないスピーディーな展開も良かったと思います。
何度も襲いくる「グラボイド」を追い払う、あるいは対峙するときの戦い方も、結構バリエーションに富んでいました。
特に、ガンマー夫妻のド派手な戦い方にはドキドキハラハラ。
「このクリーチャー相手に銃だけでいける!?」「コレクションめっちゃある!」「うわ、もう駄目だ!」「こいつ(「グラボイド」)、まだやるんか……」を繰り返しました。
とにかく銃をぶっ放す、効率無視だが小気味の良い戦い方。あの未知の生物を前にして、一歩も引かなかったのは本当にすごいですよね。
あとは、謎のクリーチャー(「グラボイド」)が登場してから、目がないために、音や振動で自分たちの位置を特定しているという、もっとも重要な習性に辿り着くまでが早かったのも◎。残りの時間はすべて、未知の生物との戦いに集中できるようになっていましたね。
モンスターパニックなのにほとんどない絶望感
物語を通して、割とポップ(ライト)な印象を受ける作品なので、モンスターパニックにありがちな、圧倒的強者を前にしたときの絶望感のようなものはほとんど感じませんでした。
まあ、モンスターパニックにおいては、あの絶望感がまたたまらないんですが……。
でも、これはこれでいい。
モンスターの内臓が飛び散る描写はあるものの、人間が襲われたときなどはあまりグロくないので、グロ耐性がない人でも気軽に観られる内容だったと思います。
映画「トレマーズ」が好きな人におすすめの作品
映画「トレマーズ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- エイリアン(1979)
- ブラックシープ(2006)
- グレムリン(1984)
- スパイダーパニック!(2002)
まとめ:家族一緒に楽しめるモンスターパニック
恋愛要素が絡む割に生々しい描写もないので、いわゆる「気まずいシーン」もなく、家族一緒に楽しめる珍しいタイプのモンスターパニック映画です。
あまり頭を使わず、ライトに楽しみたいときにおすすめ。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 88% AUDIENCE SCORE 75%
IMDb
7.1/10