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映画「としまえん」(2018)|あらすじ・感想

ホラー


映画 としまえん [DVD]

邦画で人気の映画ジャンルといえばホラー一択。

「呪怨」や「リング」「着信アリ」などのクラシックホラーはもちろんのこと、現在でも続々と新たな作品が公開されています。

今年(2020年)公開の「としまえん」もそのうちのひとつ。遊園地のとしまえんといえば、都民で訪れたことがない人は少ないのではないでしょうか? そんなとしまえんですが、プールを除いては2020年8月に閉園が決定しています。

もし訪れる予定がある人は、この映画作品を観てから行くとまた違った面白さを発見できるかもしれませんよ! あるいは、まだ行ったことがない、その予定がないという人でも「せっかくだし立ち寄ってみるか」という気分にさせてくれる作品です。

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あらすじ

大学生の早希(北原里英)は、ある日、高校時代に仲の良かった女友達と一緒にかつてよく遊びに行った遊園地・としまえんを訪れる。ネットで噂になっていた「としまえんの呪い」があるという古い洋館を見つけた早希たちは、噂を冗談半分で試すが、その直後から恐ろしい現象が次々と起こり、一緒に来ていたメンバーが一人、また一人と次々に消えていく————。仲間たちを必死に探すうち、早希は呪いが誕生した、恐ろしい過去の秘密を知ってしまう。

(引用元:「としまえん」公式サイト「STORY」

こんな人におすすめ!

  • ホラーが苦手な人
  • アイドル好きな人
  • としまえんに思い出がある人
  • 閉園前のとしまえんに行く予定がある人
  • 若々しいノリについていける人
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スタッフ・キャスト

  • 監督/脚本:高橋浩
  • キャスト:北原里英―辻本早希役
    小島藤子―香西杏樹役
    淺川梨奈―横峰千秋役
    松田るか―佐藤亜美役
    さいとうなり―樋口かや役
    小宮有紗―小林由香役

【ネタバレなし】「としまえん」感想

ホラー作品が苦手な人でも観られるのがこの「としまえん」という作品。主人公の早希役が元アイドルグループのメンバーだったり、かと思えば意外と良い演技をしてみせたりと見どころはさまざまです。

【1】宣伝感が半端ない

いきなりのマイナスイメージで申し訳ないところではありますが、長きにわたり人々を楽しませてきたとしまえんが舞台となった最初で最後の作品ですから、それはもう「最後に行ってみてね!」という雰囲気を作中の至るカ所で感じることになります。

長期留学を控えた早希はまだしも、杏樹をはじめ、千秋や亜美、かやはそれぞれの個性はありながらも、至って普通の女子大生。

そんな普通の女子大生が、としまえんに入園した途端「このアトラクションはね~」なんて遊園地の歴史を説明しはじめるのだからびっくりです。「へえ……」とは思いますが、それだけ。序盤でやや宣伝された感があるので、急にグッと現実に引き戻されるような気分になる人は少なからずいるかもしれません。

モカ
モカ

私がそうでした!(笑)

【2】謎の登場人物が謎のタイミングで登場

キャストには記述しませんでしたが、ここでその奇才ぶりを発揮しているのは竹中直人さん。登場シーンはわずか数十秒ほどであるにもかかわらず、その存在感といったら主人公をしのぐかもしれません。

もうこれはさすがと言うほかないでしょうね。

ただし、竹中直人さんは一言、二言発するだけで、それ以降一切出てくることはありません。また、なぜ登場したのかも謎のまま。作中で説明されることもないので、存在感の濃さに圧倒されることは違いありませんが、ややモヤッとした感覚を抱えたままエンドロールを迎えることになります。

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【3】意外と演技派

元AKBグループのメンバーとして活躍し、現在は女優として活動している北原里英さん。正直、元アイドルが映画、しかも主演として出演するとなれば、演技力はいかに? とつい厳しい目で見てしまいがちですよね。

特にホラー映画では、恐怖心を表すためにしっかりとした演技力が求められるもの。ところがこの北原里英さん、思いのほか演技がうまい!

完璧、あなどっていました(申し訳ない)。

板挟みにされつつ、女子ならではの悩みを抱えつつ、けれども友達を大事にしたいという気持ちも持ちつつ、強さと弱さの両方を兼ね備えつつ……その立ち位置としては、非常に難しい役柄だったと思います。

中高時代の友達関係の難しさといったら、ありませんよね。ちょっとしたことでこじれることもあるし、それが思いもよらない展開を迎えることもある。一度でも人間関係に悩んだことがある人は「あるある!」と大きく共感できる場面が多々あります。

【4】メイクがやや大げさ

ひとり、またひとりと友達が消えていくたびに、「迷子になったのかな」「なにかおかしい」に変わり、やがて耐え切れないほどの恐怖心に駆られる主人公の早希。

やつれている、あるいは疲れている、恐怖心が最高潮に達している様子を表したかったのか、終盤にいくにつれて目の下のクマがひどい。ひどすぎる。

それはそれで主人公の心境をたどれて、ある意味ではわかりやすい表現なのかもしれません。

でもせっかく良い演技をしているのだから、もう少し薄くて良かったのではないかなと思ってしまうのがもったいないところです。

【5】中高生には楽しめる呪い

モカ
モカ

楽しめる呪いってなに!?

そんなことを言われてしまいそうですが、作中の中で伝わっている「としまえんの呪い」はいかにも中高生が七不思議感覚で盛り上がりそうな内容。

もしかしたら大学生でもまだ楽しめるかも?

本サイトでは基本「ネタバレなし」をモットーにしていますので、どんな呪いか知りたい人はぜひ映画を観てみてくださいね! シーンの90%はとしまえん内で実際に撮影されたとのこと。都内中心部にいながらにして「聖地巡礼」ができる良作でもあるというわけですね!

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【6】単なるアイドル映画ではない

先述のとおり、正直、“元”アイドル主演の映画という印象が強かった「としまえん」ですが、実際の見どころはその演技力の高さだけではありません。

一見シンプルなつくりなのに、物語が進行していくにつれ明らかになっていく人間関係の複雑さ。

「優しくて」「明るい」主人公の腹黒い一面が垣間見えたり、「大人しくて」「自己主張ができない」由香の弱さと依存性が露わになったり、ほかにもそれぞれの登場人物が高校時代に抱えていた不一致が浮き彫りになったりします。

結局、生身の人間が一番怖いということなのでしょうか。人間、いつ、なにが起きてどのような行動に走るかはわからないものですね。

としまえんの呪いはもちろんですが、それ以上にこの人間関係の複雑さや高校生(時代を共有した仲間)ならではの苦悩、焦燥感、同調圧力なんかがメインにすえられている感じもしました。

ホラーが苦手という人でも、たぶん大丈夫。

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結局みんな“居場所”が欲しいだけなのかもしれない

例えば依存。例えば同調圧力。例えば人知れず感じている不安や心細さ。

作中の至るカ所で登場するこんなシーンですが、女子高生、あるいは女子大生からすればきっと身に覚えがある人も少なくないはずです。自分自身に身に覚えがなくても、そういった光景を目にしたことは一度や二度、あるでしょう。

正直、愉快なことではありませんよね。

でも、これらはもしかすると「居場所が欲しい」というその人なりのSOSなのかもしれません。ただし、生粋のホラー映画ファンである筆者からすると、動画配信サービスやDVDで観る程度で十分かなという感じがしました。

観終えたあとに思わずため息がこぼれるほどの作品ではないものの、決して駄作ではない。楽しめる人には楽しめる作品です。

モカ
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