見知らぬ男女=デス・ゲームの合図。
……え、違うって? いや、でもスリラーだとありがちな展開ですよね!
本作も例に漏れず(?)、そのとおり。各地から集められた24人の参加者たちと、たった一つの椅子をかけて戦います。しかも、主人公は女の子。
デス・ゲーム系で女の子が主人公なのは、なかなか珍しいんじゃないでしょうか?
本記事は2023年02月に執筆されました(2024年06月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
狩りで磨いたたった一つの武器は、弓。
作品情報
タイトル | ハンガー・ゲーム |
原題 | The Hunger Games |
原作 | ハンガー・ゲーム1/著 |
ジャンル | SF、アクション |
監督 | ゲイリー・ロス |
上映時間 | 142分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2012年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
独裁国家パネムで行われるサバイバル・ゲーム「ハンガー・ゲーム」。これは、権利者が支配する12の地区から選出された若い男女一人ずつが参加するものである。幼い妹が選ばれてしまったカットニスは、自分が代わりに戦うことを表明するのだが……。
登場人物
(敬称略)
主人公。幼い妹の代わりに「ハンガー・ゲーム」に参加する。得意なのは弓術。家族(母と妹)を養うため、普段は弓でシカやリスを狩っている。
カットニスと共に「ハンガー・ゲーム」に参加することになった、同郷の青年。やや臆病な一面がある一方で、実家のパン屋を手伝っている関係で力には自信がある。カットニスとは因縁があるようで……?
カットニスやピータと同郷の青年。カットニスとは恋人のような関係。
カットニスの出身地「第12地区」の男性で、過去には「ハンガー・ゲーム」で優勝したことがある。カットニスとピータの教育者。
テレビ中継される「ハンガー・ゲーム」における、カットニスの広報担当。最先端のファッションとメイクが目を引く。
カットニスのスタイリスト。
独裁国家パネムの最高権力者。
カットニスたちが参加する「ハンガー・ゲーム」の運営責任者で、ゲームメーカー。
カットニスと共に「ハンガー・ゲーム」に選出された、第11地区代表の少女。カットニスが危機に陥った際、助けてくれる。
カットニスの妹。
映画「ハンガー・ゲーム」の感想
映画「ハンガー・ゲーム」の感想です。若い男女という取り決めはあるものの、子どもであろうと非力な女性であろうと、対等に敵対することになる残酷なゲーム。
カットニスの素晴らしい弓術
作中で大いに活躍する、カットニスの素晴らしい弓術。
(おそらく)これは、日常的に狩りをすることで磨かれた技術だと思うんですけれども、実際にカットニスを演じたジェニファー・ローレンスはどうだったのか。
曰く、
──弓矢を手に戦うカットニスですが、役作りのためにどんな訓練をしましたか?
ローレンス:オリンピック選手に教えてもらったから、弓矢は結構、上手いと思います。6週間に渡って体作りをして、トラックを走ったり、フリーランニングやロッククライミング、ヨガをしました。
(引用元:『ハンガー・ゲーム』ジェニファー・ローレンス インタビュー│MOVIE Collection)
とのこと。
注目されている若手女優として多忙な日々を送る中でも、かなりの努力をしていたようですね。
ちなみに、「ハンガー・ゲーム」の主役を演じると決まった時、製作サイドから体重を懸念されたというジェニファー・ローレンス。
その時点で太っているというわけじゃなくても、カットニス・エバディーンは、村で細々と、日々食べ物にも困るような貧しい暮らしをしているという感じですもんね。いかにも「健康的!」という見た目だと合わないと思われたんでしょうか。
それに対してジェニファーは、
「私は若くまだ成長中だったからダイエットができなかった。それにこれからカットニスのコスチュームを着たいと思う女の子たちが、体重のせいで着られないと感じてしまっていいのかとも思った。そういう考えを自分の頭に入り込ませることもできない」。
(引用元:ジェニファー・ローレンス、『ハンガー・ゲーム』の撮影で最大の問題は「私がどれだけ痩せられるかだった」│ELLE)
また、
彼女は過去にもこの作品でダイエットを求められたことを告白している。「私は役のために自分を飢えさせたりしない」「エクササイズはするけれどダイエットはしない。お腹が空いていては働けない」と雑誌『グラマー』のインタビューで語っていた。
(引用元:ジェニファー・ローレンス、『ハンガー・ゲーム』の撮影で最大の問題は「私がどれだけ痩せられるかだった」│ELLE)
と語っています。
結果として、ダイエットは拒否したようですが、なんというか、カットニスのあの引き締まった体は特に不自然じゃなかったし、むしろ「どんな逆境にもめげない強い女性」という感じがしてとても良かったですね。
原作は同名小説
映画「ハンガー・ゲーム」の原作となったのは、作家スーザン・コリンズによる同名のヤングアダルト小説。
若者たちを中心に高い人気を集めていて、その主人公であるカットニスを演じることに、ジェニファーはきっと大きなプレッシャーを感じていたことでしょうね。
なお、原作と実写版映画には、描写が異なる場面も多々あるようです。
例えば、こちら。
映画では恋人同士のような関係のゲイルとカットニスだが、原作ではただの親しい友人(親友)。
など。
これって結構大きな違いでは?
実写版映画では「これ、ゲイルとはどうなっちゃうの……!?」と、恋愛的な要素でもドキドキしていたので、小説のほうは純粋にサバイバル・ゲームにのみ集中できるストーリーだったのかなと想像しています。
ちなみに、違いは他にもいろいろあるようですよ!
吹き替え版声優陣が豪華
洋画は洋画のまま(?)字幕で観る人は多いと思いますが、日本語吹き替えで観る人に朗報です。
- 水樹奈々
- 神谷浩二
- 中村悠一
- 山寺宏一
- バカリズム
など。
吹き替え版を担当した声優陣がめちゃくちゃ豪華。
特に、ゲームメイカーのセネカ・クレーンの声を担当したバカリズムさん。お笑い芸人にナレーションに、執筆に俳優にとマルチに活躍するバカリズムさんですが、ハリウッド映画の声優もこなしてしまうなんて……。
ナレーション・俳優・執筆など多方面で才能を発揮するバカリズムのアフレコに、現場スタッフからは絶賛の声が上がったという。
(引用元:バカリズム、狡猾な悪役でハリウッドデビュー!?『ハンガー・ゲーム』で日本語吹き替えに初挑戦!│シネマトゥデイ)
豪華なファッション&メイク
本作での見どころは、なんといってもキャラクターたちの衣装!
特に、カットニスの燃え盛るコスチュームは素敵でした。
故郷で暮らしていたときにはおそらく無縁だった強気で派手なメイクも相まって、ハリウッド女優らしい美しさが強調されていました。
が、それよりも目立っていたのが、カットニスの広報を務めるエフィー・トリンケット。
カットニスサイドからすると、衣装もメイクも奇抜に見えていたことでしょう。でも、これは独裁国家パネムにおける最先端ファッションなのだそうです。時代や場所が変われば、流行も変わる。当然のことですが、パッと見やっぱり「おっ……!?」と思ってしまうね。
ザ・近未来って感じ。
エフィーがカットニスたちの故郷・第12地区を訪れた際には違和感しかありませんでしたが、物語が進んでいくにしたがって見慣れていくから不思議です。
とにかく格好良いカットニス・エバディーン
ここまでは声優がどうたら、原作がこうたら(「どうたらこうたら」がゲシュタルト崩壊しそう)述べてきましたが、個人的には、この作品は「カットニスが格好良すぎる」の一言に尽きると思っています。
強い女性のアイコン的存在、みたいな。
幼い妹を守るためとはいえ、ほとんどの確率で命を落とすとわかっている戦いに自ら参加表明をするなんて、ただ家族思いというだけの少女じゃない。
あと、母親に対する態度も好きでした。
父親を亡くし、精神的に落ち込んでしまった母親の代わりに、強くならねばならなかったカットニス。……でも、それは「お母さんの気持ちもわかる。仕方ないよね」という優しさから来るものではなくて。
あくまでも「お前は子どももいるのに、親の役割を放棄して何をしているんだ」という叱咤激励するような態度を貫き続けているだけ。
家族(夫、または父親)を亡くしてつらいのはわかるが、それはまた別の家族を放棄していい理由にはならない……みたいな。
とはいえ、それは母親を責めているだけではなくて、妹を守るためでもあるし、愛する母親にもしっかり生きてほしいと願っていたからでしょう。自分が帰って来られなかった場合のことを考えているんですね。悲しいけれども。
何度観ても、強いなぁって思います。
ゲイルとの対比とピーターの成長
原作では、カットニスの親友という立ち位置でしかないらしいゲイル。
ですが、本作では恋人同士のような関係でしたよね。確か、名言されてはいなかったような気もするんですけれども、(これも確か)マウス・トゥー・マウスでキスをしていたような気がするので、たぶん恋人同士。
んで、一緒にゲームに参加することになったピーター。
このゲイルとピーターの対比が結構良かったです。だから映画では、ゲイルに恋人のような役割を与えたのかなとも思ったり。
誰が見てもハンサムで(迷わず妹を預けられるぐらいには)頼りがいのあるゲイル。それに対して、長い物には巻かれろタイプのピーター。
実際、私もゲームが始まった段階では「これがピーターじゃなくてゲイルだったら……」と思いましたもんね。
でも、皮肉にも(最初は)卑怯な一面があったピーターだからこそ、カットニスが守られる場面があったのも事実で……。
そうこうしているうち、ピーターも人間として成長していく。
人間、目に見えている部分がすべてじゃないというのも、本作を通して改めて実感したところです。ピーターも、気が弱く卑屈で卑怯な部分が目立っていたかもしれないけれども、優しさがまったくないわけじゃなくて、常に葛藤しているような感じ。人間らしいといえば人間らしいですね。
でもさ、カットニスの弓術をはじめ、いろんな人がいろんな武器を持っているのに、自分の武器といえば「力(腕力)」と「特殊メイク」のみだなんて、そりゃあ「生き残れない」と絶望しても仕方ないよな。
映画「ハンガー・ゲーム」が好きな人におすすめの作品
映画「ハンガー・ゲーム」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- メイズ・ランナー(2013)
- アイ・アム・ナンバー4(2011)
- エンダーのゲーム(2013)
- ダイバージェント(2013)
まとめ:同性が憧れる女性カットニス
貧民層でありながら、泣き言ひとつ言わず、一家の大黒柱的な役割を果たしていたカットニス。
責任感があり、自立心旺盛で、困難に立ち向かうだけの強さがありつつも、周りに合わせられるだけの優しさと柔軟さがある彼女は、まさに同性が憧れる女性と言えるでしょう。
回を追うごとに強く、そして逞しくなっていくので、シリーズで鑑賞するのがおすすめです。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 84% AUDIENCE SCORE 81%
IMDb
7.2/10