STAND BY ME ドラえもん(ブルーレイ通常版) [Blu-ray]
いまや日本の代表的な文化(ポップカルチャー)のひとつとして知られているアニメ。数ある作品の中でも「ドラえもん」は、子どもにも大人にも人気のある長寿アニメです。
そんな「ドラえもん」が3Dとして映画化。どの作品でもそうであるように、賛否両論飛び交っているようです。
本記事は2023年12月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | STAND BY ME ドラえもん |
ジャンル | アニメ、ヒューマン |
監督 | 山崎貴、八木竜一 |
上映時間 | 95分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2014年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
ある日、なにをやってもうまくいかないのび太の前に現れたのは、22世紀からやってきたのび太の孫の孫・セワシと、ネコ型ロボットのドラえもんだった。ふたりの話によると、このままだとのび太はいじめっ子の同級生・ジャイアンの妹と結婚することになった挙句、悲惨な未来をたどることになるらしい。そんな未来を変えるため、ドラえもんはのび太のお世話係としてやってきたのだった。
登場人物
野比のび太(声:大原めぐみ)
冴えないが、優しい少年。通称「のび太」「のび太くん」「のび太さん」。
ドラえもん(声:水田わさび)
セワシと共に、のび太の未来を変えるために22世紀からやってきた。ネコ型ロボット。通称「ドラえもん」「ドラちゃん」。
源静香(声:かかずゆみ)
のび太たちのアイドル的存在。おしとやかで、愛らしい少女。のび太が好意を寄せている。通称「しずかちゃん」。
剛田武(声:木村昴)
のび太のことをよくからかう同級生。通称「ジャイアン」「武さん」。
骨川スネ夫(声:関智一)
ジャイアンと仲の良いのび太の同級生。通称「スネ夫」「スネ夫さん」。
出木杉英才(声:萩野志保子)
のび太の同級生で、勉強が得意な秀才。人柄も良い。しずかちゃんと仲が良いことで、のび太にやきもちを焼かれることもしばしば。通称「出木杉くん」「出木杉」「出木杉さん」。
野比玉子(声:三石琴乃)
のび太の母親。
野比のび助(声:松本保典)
のび太の父親。
映画「STAND BY ME ドラえもん」の感想
感動すると噂の「STAND BY ME ドラえもん」の第一弾。あの「ドラえもん」が3Dになるなんて、よもや時代の流れというのはすごいですね。
ギュッとまとめられた感動シーン
ドラえもんに出会ってから、ウソ800までの話をギューンと1時間半ちょっとにまとめているので、かなり駆け足感があります。
個人的には、どれかひとつに絞れば、もう少し感情移入できたのにな……と。
まあ、それをしてしまったら、本当に2Dを3Dにしただけって感じでオリジナリティーが出ないから、また賛否両論旋風が巻き起こっただろうけども。
最初に「ガリバートンネル」や「アンキパン」などの主要な道具をパパッと紹介するのはいいとして、感動シーンと呼ばれる場面をいくつも詰め込んでいるせいで、ひとつひとつのストーリーが短いんですよね。
なので、ウソ800のストーリーのときに泣ける要素の要となる「ドラえもんとの思い出」みたいなものが、あんまり感じられませんでした。
消えた映画版ジャイアンの良さ
劇場版「ドラえもん」と通常のアニメとの大きく違う点といえば、ジャイアンの性格です。
普段は乱暴者のいじめっ子でしかないジャイアンが、劇場版ではガラッと変わり、友情を大切にする格好良いキャラになっているのがまたいいんですよね。これぞ劇場版っていう感じで。
なのに、今回はいたっていつも通りのいけすかないジャイアンだった。
私だったら友達やめるレベル。
そう感じたのが特にウソ800のシーンだったんですが、2Dで観たときよりもなんだか腹が立ったのはなんでなんでしょうね。いろんな意味で、3Dのほうがリアルに見せてくれるということかな。
少し前にのび太に対してしてはいけないことをしたのに、ドラえもんが帰ってきた途端、手のひらを返すように一緒に喜ぶって、なかなかジャイアンの人間性ってひどいよね……みたいな感想になってしまいました。
こう、「いつもはこんなことをする乱暴者だけど、根は悪い奴じゃないんだ」みたいな描写が入れば、もう少し共感できたのかもしれませんけれども。ただただ嫌な奴になってしまっていて、ちょっと残念でした。
「ドラ泣き」キャッチコピーで失われた映画の良さ
この作品のポスターには「いっしょに、ドラ泣きしません?」というコピーが書いてあるんですが、個人的にはこれがちょっと……という感じでした。
なぜかって?
だって、好きなタイミングで泣きたいから!
これは多くの映画ファンに共通することだと思うんですけど、映画を観るなら、自分の好きなタイミングで好きなように感情を爆発させたくありませんか? 少なくとも、私はそう。
泣くも笑うも、自分の好きなようにさせてほしい。
それを「泣ける作品をつくりましたよ! 泣いてくださいね、ほらほら!」みたいなテンションで持ってこられると、逆に冷静になるというか。私は天邪鬼なので、泣いてたまるかという気分にもなりますし。
自分の中にある感情を再確認し、改めて噛み締めるのも映画鑑賞の良さのひとつなのに、それを他人がどうにかこうにかコントロールしようとしているような感じがして、違和感を覚えました。
多数ある泣けるシーン
「自分の好きなように泣きたい」
上記では偉そうなことを言いましたが、実際には確かにちょっとうるっとくるシーンも。これはまさに製作側の思惑通り! でしょうか。
ただ、おそらく山場と言えるラストのウソ800のシーンではなく、個人的に好きだったのはしずかちゃんとのび太が結婚するときの話ですね。
っていうか、小学生のときからずっと同級生のアイドルを続けるしずかちゃん、本当にすごすぎない? 相当良い子だったんだろうなと想像がつきます。
他のシーンについても、起きることはだいたいわかっているのに、身構えていてもなおまあまあ感動します。
結婚式前のしずかちゃんパパの言葉
のび太との結婚式前で、マリッジブルーのような感じになるしずかちゃんに対し、しずかちゃんパパが伝えた言葉がとても印象的でした。
なんていうか、この人あってのしずかちゃんというのもそうなんですが、ちゃんとのび太を評価して、こののび太の性質は大人になればなるほど貴重なものだぞ、と諭してくれている感じが好き。
「虫スカン」ストーリーのときに、一度しずかちゃんパパを出しているのが、ここで効いている気がしましたね。子どものころのび太を見ていたからこそ、そんなのび太の良さがわかっているんだろうなという。
勉強はできないし冴えないけれど、誰よりも誠実で人に優しくあろうとする青年。それがのび太。
正直、優柔不断な感じもするし、のび太と結婚しても苦労することはいっぱいありそうだけど、でも一緒に頑張ろうとしてくれるだろうなとは思えます。
のび太を選んだしずかちゃんは正しい。出木杉くんとかもいるのにね。
ただ、出木杉くんに対して「あなたはひとりでなんでもできるから」とか言っているあたり、「この人は私がいなきゃ駄目になってしまう!」「私がいなくなったら、この人はどうなるんだろう?」と考えがちなダメンズウォーカーなにおいもする。
映画「STAND BY ME ドラえもん」が好きな人におすすめの作品
映画「STAND BY ME ドラえもん」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 泣きたい私は猫をかぶる(2020)
- 未来のミライ(2018)
- HELLO WORLD(2019)
- ひるね姫~知らないワタシの物語~(2017)
- 言の葉の庭(2013)
まとめ:3Dアニメに抵抗がない人に◎
ドラえもんはもともと2Dで出来ているので、それが3Dになると違和感を覚える人も少なくないでしょう。なので、3Dアニメに抵抗がなければ、結構楽しめる作品だと思います。
個人的には、最初こそ違和感を覚えたものの、観ているうちに慣れてきて「意外とイケるな」という気分になりました。