
ピッチ・パーフェクト2 (字幕版)
「ピッチ・パーフェクト2」の感想です。
映画「ピッチ・パーフェクト」(2012)の続編にあたる作品。
前作では、面白いながらも「まあ、ありがちな展開だな……」と思うところがあったんですけれども、今回は冒頭から斬新で、かつバーデン・ベラーズらしくて笑ってしまいました。
ただし、相変わらず下品で不謹慎ギリギリ!
本記事は2025年08月07日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
国内大会が禁止なら、世界大会に出ればいいじゃない。
作品情報
タイトル | ピッチ・パーフェクト2 |
原題 | Pitch Perfect 2 |
ジャンル | ミュージカル、コメディー、ヒューマン、ロマンス |
監督 | エリザベス・バンクス |
上映時間 | 115分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2015年 |
公開年(米) | 2015年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
3年前、アカペラの全米大会で優勝を飾った女性のみで構成されたグループ「バーデン・ベラーズ」。しかし、オバマ大統領の生誕記念式典で、太っちょエイミーが下半身を露出してしまうという失態を犯し、国内のアカペラ大会への出場を禁止されることに。諦めきれないクロエは「国内大会への出場を禁止されただけだ」と言い、コペンハーゲンで開催される世界大会への出場を決意する。そこに新入生のエミリーが加わり新生「バーデン・ベラーズ」となるものの、「バーデン・ベラーズ」の代打として数々のイベントに出演しているドイツのアカペラグループ「ダス・サウンド・マシン(DSM)」と敵対することに。その一方、ベッカはレコード会社でインターンを始め、次第にアカペラに身が入らなくなっていき――。
主な登場人物
(敬称略)
ベッカ・ミッチェル
(演:アナ・ケンドリック)
大学4年生。音楽プロデューサーになるという夢のため、レコード会社でインターンを始める。優れた歌唱力と耳を持っている。
エミリー・ジャンク
(演:ヘイリー・スタインフェルド)
新入生。作曲家になるのが夢で、オリジナル曲を作っている。母親が「バーデン・ベラーズ」のOG。
クロエ・ベル
(演:ブリタニー・スノウ)
「バーデン・ベラーズ」でアカペラを続けるため、3年間の留年をしている。ベッカと共に「バーデン・ベラーズ」の部長を務めている。
パトリシア・ホバート
(演:レベル・ウィルソン)
通称「太っちょエイミー」。重要なイベントで下半身を露出し(事故)、「バーデン・ベラーズ」のアカペラ国内大会出場禁止という事態を引き起こした。
ジェシー・スワンソン
(演:スカイラー・アスティン)
男性アカペラグループ「トレブルメーカーズ」の部長で、ベッカの恋人。
ベンジャミン・アップルバウム
(演:ベン・プラット)
通称「ベンジー」。趣味と特技はマジック。エミリーが気になっている。
バンパー・アレン
(演:アダム・ディヴァイン)
「トレブルメーカーズ」の元部長で、現在は「トーン・ハンガーズ」のリーダー。
映画「ピッチ・パーフェクト2」の感想
映画「ピッチ・パーフェクト2」の感想です。個人的には、前作よりもこちらのほうが好き。んー、相変わらず品はない!(笑)
歌は相変わらず良い
まず、前作同様楽曲はとても良かったですね。
- Lollipop/MIKA
- Here Comes Santa Claus/Gene Autry
- We Are Never Ever Getting Back Together/Taylor Swift
- Cups/Anna Kendrick
- Can You Feel It/The Jacksons
とか。
他にもいろいろありましたが、正直、DSMが歌う系の曲はあまり知らず。だけどパフォーマンスは最高でした! 「これがアカペラ!?」って思ってしまうぐらい。
っていうか、本作を手掛けたエリザベス・バンクス監督ですが。
なんか聞いたことのあるお名前だなあと思っていたところ、「コカイン・ベア」(2022)を作った方だったんですね! びっくり!
下品&下品(汚いシーンは減少)
で、本作も前作に負けず劣らずの下品さでした(笑)。っていうか、本当に不謹慎ギリギリだよ。人によっては「アウト!」となるような。「これ、笑っていいの?」みたいなラインのジョークがたびたび入り込んでくる(笑)。
そもそも冒頭、エイミーが大統領の式典でやらかしてしまうところからして下品ですしね。事故とはいえ、下半身を露出してしまうという。これには大統領も真顔。あ、ちなみにこの大統領は出演しているというより、既存の映像をつなぎ合わせたものらしい(と聞いた)。
個人的に「ハッ!(爆笑で思わず吹き出す)」となってから「いや、今の笑ってええんか?」ってなったのは、ちょっと何をしていた時か忘れちゃったけど、リリーが偶然(だったかな?)取ったポーズを見て「今のアジア人のキリストみたいだったよ!」と誰かが言っていたシーン。たぶんシンシアだった気がする。
思わず笑ってしまってから「これってキリスト教の人にはどう受け取られるんだろう?」と思ってしまった(笑)。ジョークはジョークっていう感じなんでしょうかね。アメリカってブラックジョーク文化があるし。スタンダップコメディーとか見ていると、結構えげつない感じに人種の偏見を使った笑いとか普通に取っていますもんね。
海外で長いこと暮らしていましたが、このお笑いの感覚だけは最後までどうにも合いませんでした。残念。
ただ、前作では吐瀉物の描写などで「生理的に無理!」と思う部分もあったんですが。本作ではそういった意味での汚いシーンはありませんでした。良かった。
クロエちゃん……
っていうか、ねえ(笑)。
クロエちゃん、ベラーズに残るために3年間も留年していた(笑)。
前作から本作まで約3年の時間が空いているんですが、この作品の中でもしっかり3年間の隙間があって。ここは「おっ、リアルと同じだけの時間が過ぎているのね!」と割と感心したところでもあるんですが、ベッカの隣にクロエちゃんがいたので「どゆこと?」と。
ベラーズに残るために留年したと聞いて、納得すれば良いやら引けば良いやら、ちょっと困惑しました(笑)。
確か、アメリカって日本と違って新卒カードがない分、インターンとかで経験を積んでから就職するのが一般的だと思うんですが、クロエちゃん、就職に苦労しそうとは思いましたね。アカペラって、スポーツと違ってアメリカが国を挙げて支援しているようなものではないと思うし、職務経験がないうえに「部活動をやめたくなくて留年してました!」なんてことになったら……。
一応、全米大会で優勝しているとはいえ、一般就職するのであれば、正直そういうのはあまり役立たない気がしますしね。なんて、完全に年上目線の余計なお世話なことを考え、ハラハラしてしまいました。
夢はあると頑張れるけど
本作では、夢のために頑張るあまり、いまいちアカペラ活動に身が入らなくなってしまうベッカが描かれていました。唯一、大学卒業後のことを真剣に考えていたベッカ。ただ、そのせいで今がおろそかになっていく。
現実がうまくいっていない苛立ちをクロエにぶつけていましたね。「夢があるのは私ひとりだけ!」と。ザ・八つ当たり。
ここで「そうだよなあ」と思ったのは、グループ内の多くの人が実はやりたいことを持っていたこと。わざわざ誰かに言わないだけで、今後どうしようか考えている人はいるということですよね。口に出したことがすべてじゃないし、すべてを口に出す人ばかりじゃないというのも覚えておかなければなりません。
でも、例えば太っちょエイミーやクロエのように夢という夢がない人もいる。
ベッカはそれはそれとして受け止めている感じだったので、「夢があるのは私ひとりだけ!」というのは本当に八つ当たりでしかなかったんだろうなという気がしました。夢がないことに否定的ではなさそうだったから。
個人的には、夢はあろうとなかろうと良いと思っています。夢があったって叶うとは限らないし、夢がなくても幸せに暮らしている人はたくさんいると思うから。私の友人にも、夢のためにガツガツ努力している人もいれば「夢という夢はないけど、生活できるだけのお金があって健康ならそれで幸せ」という人もいて、でもそのどちらもすごく幸せそうです。
夢があると、その分頑張れるだろうとは思うけど、それだけがすべてじゃないよねって思います。個人的には健康が一番(体よわよわ人間より)。
世界大会の演出が素晴らしい
あと、世界大会のベラーズのパフォーマンス(演出)がとても良かったです。本当に素晴らしかった。
最近、涙もろくなったのか、ああいうので泣いてしまう(涙)。ネタバレは控えたいので、どんな演出だったのかは書きませんが。ベラーズのメンバーが誇りを持って活動してきたからこその演出になっていました。
こうして見ると、国内大会への出禁と共に新入生の勧誘も禁止されていたベラーズが、シレッとした顔をして「自分から入部を希望してきた人を受け入れただけですが? 勧誘とは違いますが何か?」とエミリーを入れたのは神の采配に近いものがありますね。救世主! たぶん「そういうことじゃないだろー!」とはツッコまれたと思いますが(笑)
エイミーの素晴らしい安定感
にしても、前作から太っちょエイミーを演じていたレベル・ウィルソンの安定感は半端ないなって。
明るく、空気が読めない変人ではあるんだけど、それをあれほどの安定感で演じてくれるのは本当に素晴らしいですね。
エイミーの「本当はオーストラリア人だけど、太ってるからアメリカ人でいける!」みたいなセリフには笑ってしまいました。いやもうこれ、アメリカ人は怒ったほうがいい(笑)。
エイミーは自分の体型について自虐的に言うだけだから、昨今話題のボディーシェイミング的なあれには当て嵌まらないんだろうけど、だとしても「ちょっとちょっと(笑)」とはなってしまいますね。どこまで行くんだ、この娘は。だけど根が素直で明るいから、つい応援してしまいたくなる。
恋愛模様が可愛すぎる
ちなみに、本作ではバンパーとベンジーの恋愛模様も描かれていました。
これがね、もう可愛いの!
いや、本当に予想外。まさか小憎たらしいを超えて嫌悪感さえあるバンパーのことを「可愛い」と、「応援したい」と思ってしまうなんて。「くっ、不覚を取ったぜ……!」って感じでした。
ベンジーも、気になる女の子の前ではいつもの饒舌が鳴りを潜め、何も喋れなくなってしまう。可愛い。必死で話しかけようとするんだけど「それ英語?」みたいなよくわからないことしか言えなくなっちゃうの。
空気が読めないところはあるものの、素直で友達思い、意地悪されても恨んだりしないベンジーだからこそ、「頑張れ、もうちょっと!」と応援したくなりますね。
エンドロールまで観てほしい
あとは、エンドロールまで楽しい系の映画でした。
最近こういう作品もどんどん増えてきましたけれど、エンドロール自体長くなってきていて、じっと文字だけ(しかも人の名前)追いかけるのはなかなかつらかったりもするので、良い演出ですよね。配信で観ていると割と飛ばしてしまいがちですが、ミッドクレジットやポストクレジットが入っているとちゃんと観る気になります。
当然、映画館で鑑賞する際はエンドロールが終わるまで席を立たないことにしていますよ(個人的には、立つ人がいてもそんなに気にならない)。
映画「ピッチ・パーフェクト2」が好きな人におすすめの作品
映画「ピッチ・パーフェクト2」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- グレイテスト・ショーマン(2017)
- 天使にラブ・ソングを…(1992)
- チアーズ!(2000)
まとめ:DMSも格好良い!
ベラーズのライバルとして登場した「ダス・サウンド・マシン(DSM)」ですが、こちらも非常に格好良かったですよ!
ベラーズとどちらが優れているとかでなく、完全に違う路線なので、また別の楽しみ方ができました。相手のリーダーが素敵すぎて、皮肉を言おうとしても全部褒め言葉になってしまうベッカも面白かったです。
まあ、「あなたからはシナモンの匂いがする!」は褒め言葉か正直微妙なところだと思いましたが……(笑)。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 66% Popcornmeter 64%
IMDb
6.4/10
Filmarks
3.8/5.0