ある閉ざされた雪の山荘で
ずっと気になっていた「ある閉ざされた雪の山荘で」。
劇場に観に行くことは叶わなかったんですが、配信でようやく観ることができました。正直、原作を読んでから観れば良かったと思わないこともない。
本記事は2024年05月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
実地オーディション、開始!
作品情報
タイトル | ある閉ざされた雪の山荘で |
原作 | ある閉ざされた雪の山荘で/東野圭吾 著 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 飯塚健 |
上映時間 | 109分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2024年 |
レイティング | ★★☆☆☆ |
個人的評価 |
あらすじ
劇団に所属する7名の役者たちに、合宿オーディションの招待状が届いた。ある山荘に集められ、オーディションに臨む彼らだが、一人、また一人と消えていくことになる……。
▼DVD▼登場人物
(敬称略)
久我和幸(演:重岡大毅)
唯一、劇団「水滸(すいこ)」のメンバーではない外からの参加者。自然と探偵役に。
本多雄一(演:間宮祥太朗)
劇団「水滸」のメンバー。「水滸」の中でもトップメンバーとされ、久我も憧れている。
中西貴子(演:中条あやみ)
劇団「水滸」のメンバー。以前、公演直前に役を奪われてしまったことがある。
田所義雄(演:岡山天音)
劇団「水滸」のメンバー。捻くれた性格で、かなりクセのある役者。元村に一方的に恋心を寄せている。
元村由梨江(演:西野七瀬)
劇団「水滸」のメンバー。実家が裕福なお嬢さま。
笠原温子(演:堀田真由)
劇団「水滸」のメンバー。気が強く、役を獲得するためなら手段も厭わないところがある。
雨宮恭介(演:戸塚純貴)
劇団「水滸」のメンバー。他のメンバーに比べると、思いやりがあり空気を読むタイプ。
麻倉雅美(演:森川葵)
劇団「水滸」のメンバー。周囲を圧倒するような凄まじい演技力を持つが、過去に何かあったようで……?
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」の感想
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」の感想です。東野圭吾原作ということもあり、期待値は高かったものの、意外と「ライトな作品だな」と感じた作品でした。
とにかく豪華な俳優陣
本作の魅力は、なんといっても俳優陣がとにかく豪華ということでしょう。
重岡大毅さんをはじめ、中条あやみさんに間宮祥太朗さん、岡山天音さん、西野七瀬さんなどなど、誰もが知っている! みたいな方々が出演しています。
まさに眼福。
個人的には、岡山天音さんが特に好きでしたね。
とはいえ、存在感が圧倒的だったのは森川葵さん。
凄まじい演技でした。
周囲を置いてけぼりにするかのような真に迫った演技(他が駄目だったというわけじゃないですよ、念のため)で、思わず見入ってしまいました。
聞き取りづらい部分が多々
ただ、正直、役者さんたちが何を言っているのか、聞き取りづらい部分が多々。
この点に関しては、ひとえに私の耳の問題かもしれませんが……。
重要そうなシーンでの聞き逃しが結構あって、何度か同じシーンを巻き戻してみるものの、やはり聞き取れず。それを繰り返すうち、なぜか空耳アワーに(笑)
「今、〇〇って言った? でも、この場面でそんなこと言うわけないし……」
で、結局字幕を付けて(だったかな?)ようやく理解できるという。日本語なのに!
(たぶん)活字向きの作品
当方原作は未読なので、あくまでも「おそらく」ではあるんですが、「ある閉ざされた雪の山荘で」は、どちらかといえば活字向きの作品なのかなという気がしました。
つまり、小説のほうがより楽しめる舞台設定なんじゃないかと。
映画(映像)だと、なんというか、とても単調な内容に映ってしまいました。
薄いサスペンス要素
本作は、ジャンル分けをするとしたらサスペンスだと思うんですけれども(個人的には、あまりジャンルの枠にはこだわりたくないんですが)。
サスペンス要素はほとんどありませんでした。
なんというか、雰囲気と設定はサスペンス。内容はヒューマンドラマ、みたいな感じ。
なので、生粋の(?)サスペンスを求めている人には、やや物足りなく感じる部分があるかもしれませんね。かく言う私もそうでした。
「思っていたのとなんか違う……」というやつ。
無論、「思っていたのと違う」まで含めて映画鑑賞ですからね! それはそれで興味深いところです。
活かしきれなかった小道具
序盤、登場人物の一人が「そして誰もいなくなった」(小説)を見つけるというシーンがあります。
サスペンス(ミステリー)として、実に有名な作品です。
日本国内外において、何度も映像化、あるいはオマージュされている作品ですし、原作は知らなくても、内容だけは知っているという人も多いでしょう。
そこで、意味ありげに登場する「そして誰もいなくなった」。
当然、視聴者はその後の成り行きをなんとなく想像しますよね。
でも、被っているのは一人、また一人と姿を消すことだけ。もうちょっとこの小道具を上手く活かしてほしかったなというのが、正直なところでした。
(原作がどうなっているかは知りませんが)でなければ、「そして誰もいなくなった」の演出、必要だったかな? と思ってしまいます。
Notどんでん返し
ちなみに、サスペンスの醍醐味ともいえる意外性もほとんどありません。
まあ、このあたりは、先述した通り、まずサスペンス要素が薄く感じられたので、仕方ないといえば仕方ないのかもしれませんね。
無論、どんでん返しもない。
裏に隠された事実を小出しに、けれども大胆に出しすぎたせいか、「でしょうね」と思える展開が何度かありました。
でも、逆に言えば、あまりドキドキしないで落ち着いて観られる内容ということでもあります。緊張感のある作品が苦手な人にはおすすめ!
面白かった斬新なシーン
あとは、面白いなと思った演出もあって。
それは、建物の見取り図の中で、それぞれ動いている登場人物たちを上から俯瞰で映すというシーン(言葉での説明は難しいんですが)。
「なかなか見ない珍しい手法だなあ……」と驚きました。で、その時間に、登場人物たちがそれぞれどんな行動を取っているかもわかりやすい。
中にはただベッドに寝転がっているだけの人や、スマホを弄っているだけの人、いろいろなんですが、一度に多くの登場人物が動くため、何度か巻き戻して、それぞれの行動をチェックしてしまいました。このあたりは、劇場鑑賞だと確実に見逃すので、ある意味、配信向けと言えるような気がします。
いや、確実に見逃すこと前提の演出、かな?
なお、撮影方法については、
天井がすごく高い倉庫を制作部が見つけてくれたので、そこに黒パンチカーペットを敷いて、テープを貼っただけです。
(引用元:重岡大毅は変化することを臆さず頼もしかった―映画『ある閉ざされた雪の山荘で』飯塚健監督が語る|SCREEN ONLINE)
とのこと。
意外とアナログな手法でした。これもアイデアですね。
このシーンについて、監督は
「物語の中であっても、登場人物たちにはルーティンが必要です。朝は食堂に集まり、夜になったら各部屋に戻る。その中で変化していく。誰かが誰かに疑念を膨らます。同時にお客さんも疑念を持つ。持ちつつ、自分の思考を整理し、推理する。そんな時間をつくるためのカットでもあります。誰かと誰かがすれ違えば何か話すだろうし、隣の部屋から音が聞こえてくれば、それを聞こうと耳を澄ます。とはいえ、1つの画面の中で同時に起こるので、人によって違うものを観ているだろうし、そのことで次の展開を観る視点も変わってくるはずです」と語る通り、俯瞰シーンでは一度にさまざまなドラマが起こるため、意外な“見落とし”が生まれてしまう瞬間でもある。
(引用元:重岡大毅主演『ある閉ざされた雪の山荘で』重要なヒントが隠れる?独特の“俯瞰”シーンに注目|Drama & Movie by ORICON NEWS)
と語っています。
人のプライベートな空間を盗み見してしまったような、ちょっぴり不思議な感覚もしました。
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」が好きな人におすすめの作品
映画「ある閉ざされた雪の山荘で」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 変な家(2024)
- マスカレード・ホテル(2019)
- #マンホール(2023)
- 人狼 ビーストサイド(2014)
まとめ:原作ありきの映像化作品
これは、ぜひとも原作も併せて読んでおきたい作品でした。
東野圭吾原作ということもあり、そもそもの期待値が高すぎたのも一因かもしれませんが、期待しているうちに終わってしまった……という感覚が強く(申し訳ない)。
なお、原作と大きく異なるのはラストの展開らしいですよ!
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ―% AUDIENCE SCORE ―%
IMDb
5.6/10