
ウルフマン
映画「ウルフマン」の感想です。
映画「狼男」(1941)のリブート作品(らしい)。恥ずかしながら、名作と言われるこちらのほうを観たことがないので比べようがないんですが、機会があればチェックしたいところ。
本作に関して言えば、なんかもうね、ずっとうっすら悲しいなというお話でした。個人的にはとても好きな内容。ちなみに、ブラムハウス発の映画です。
本記事は2026年01月24日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
少しずつ狼に変身していく父親と、家族の物語。
作品情報
あらすじ
愛する妻と娘とサンフランシスコで暮らしていたブレイクは、ある日、失踪していた父親の死亡通知を受け取った。最近では、外でバリバリ働く妻ともぎくしゃくしがち。父親を失い、自分の家族は妻と娘だけだと実感したブレイクは、これを機に家族の絆を取り戻そうと、2人を連れて、父親から相続したオレゴンの実家に向かう。しかし、3人を待ち受けていたのは森に棲む得体の知れない何かだった――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ブレイク
(演:クリストファー・アボット)
娘を一番に考える優しい父親。バリキャリの妻とはぎくしゃくしがちだが愛はある。亡くなった父親の遺品を片付ける傍ら、オレゴンの大自然の中で休暇を過ごそうと、妻と娘を連れて実家に向かう。
シャーロット
(演:ジュリア・ガーナー)
ブレイクの妻で、ジンジャーの母親。ジャーナリストで、キャリアウーマン。娘に懐かれていない(ように思える)のが目下の悩みで、母親としては自信が持てずにいる。
ジンジャー
(演:マチルダ・ファース)
ブレイクとシャーロットの幼い娘。
映画「ウルフマン」の感想
映画「ウルフマン」の感想です。壮大な自然と悲しい物語ってどうしてこんなに相性が良いんでしょうね。……切ない。
再生の物語……じゃない
まず、序盤からこの家族がうまくいっていないことが描かれていました。
父親であるブレイクと幼い娘のジンジャーの関係は一見スムーズ。だけれど、ブレイクが娘を叱るときはどうにも威圧的、高圧的(しかも口も悪い)で、なにやら不穏な空気。家に帰れば妻シャーロットは仕事、仕事、仕事。咎める夫に対して「口出しすんな」と言わんばかりの態度。
そこからの「休暇を取って自然の中で過ごさないか?」という流れだったので、てっきり家族の再生の物語かと思うじゃないですか。
……全然違った。
そんな希望はなかった。為す術なく、崩壊していく様子をただ見守るしかなかった。終わったあと、決してスッキリはしないお話ですね。個人的にはかなりハマる雰囲気でしたが。
負の連鎖は自分で終わらせる
本作では、父親の家族に対する愛情が描かれていました。
冒頭、ブレイクの幼少期が描かれるんですが、父親はブレイクを導いているようでいて、どこか暴力的、あるいは支配的な印象を与えます。ブレイクの父親に対する態度を見ても、きっと良い関係は築けていなかったのだろうと察してしまえるような、虐待的な雰囲気さえある。
で、大人になったブレイクの、ジンジャーに対する叱り方がそれにそっくり。
虐待を受けた子どもが成長し、無意識に自分も自分の子どもに対して同じことをしてしまう。そんな話を聞いたことがありますが、ブレイクは終始一貫して「負の連鎖は自分で終わらせる」と思っているような言動をしていて、切なくなります。
しつこいぐらいに「(父親は)娘を守るのが仕事」だと繰り返しているのが、苦しい。きっと、自分が子どもの頃に守ってもらえなかったからじゃないかって。
徐々に変身してゆく
劇中、狼男へと変身していくブレイク。
狼男というと「満月の夜に変身する」みたいなイメージがありますが、本作での狼男は、感染すると徐々に狼男になっていくというシステム。これがとても良い。身も心も徐々に狼男になっていく。自分を失い、家族も失う。そんな喪失感がありありと描かれていました。
家族を守りたいのに、変身にはあらがえず。
この辺は、家族の絆が描かれた部分でもありましたが、悲しいものは悲しい。
なお、この変身のあれこれは「ザ・フライ」(1986)にインスパイアされているらしいです。
終始薄暗い雰囲気
そして、基本、ずっと薄暗い雰囲気でした。
いやー、明るい部分が一切ないお話でびっくりしちゃった。緊張と緩和があるだけで随分観やすくなると思うけど、そんな誤魔化しは一切なし。逃げを許さないような作品。
ハラハラ、ドキドキとかじゃなく、ずっとどよーんとしている。
もうね、ラスト30分ぐらいはずっと悲しくてたまりませんでしたもんね。逃げる妻! 逃げる娘! とかを見ているのに、それに合わせてテンションが上がるとかは一切なく、むしろ切ない気持ちが増す一方でした。
狼視点が斬新
中盤以降、ブレイク視点、つまり狼視点でのシーンが入ってくるんですけれども、この演出自体斬新だなと感じましたし、切り替えが自然で感心しました。
視界がちょっと歪んでいたり、人間の目が光っていたり。妻や娘に何か言われているのはわかるのに、それがどんな言葉なのかがはっきり聞き取れなかったり。狼や犬の感覚って本当にこうなのかも? と思えるような演出でした。
ブレイクが狼に変身し始めたのに(我々が)気付くきっかけが、聴覚の発達というのも良いですよね。上の階で動いた蜘蛛の音でさえ拾うようになってしまうという。一発で「あ、なんかこの人の体に異変が起きてる」ってわかりました。
演技が最高
あと、俳優さんたちの演技が最高でした。
特に、ジンジャー役を務めたマチルダ・ファース。
狼男から逃げるときのマチルダ・ファースの演技。あれ、自然というのを通り越して「本当に恐怖におののいているのでは?」と思ってしまうほどでした。今後、ぜひとも幅広く活躍してほしいところ。
当然、クリストファー・アボットもジュリア・ガーナーも良かったですよ。
クリストファー・アボットといえば、
本作はもともとライアン・ゴズリングが主演を務める予定だったが、ゴズリングが降板したことで『哀れなるものたち』のクリストファー・アボットが新たに起用されている。
とのことで、ちょっとライアン・ゴズリングver.も観てみたいような気がしますが、クリストファー・アボットがこの役にハマりすぎていたので、やっぱりこれで良かったんだと思います。
あの、妻に思うところはありそうで、けれども強くは言えない。娘を大事にしたいのに、時に強く当たってしまう。でもやっぱり家族を一番に考えたいという葛藤と覚悟の中で生きる……みたいな複雑な役柄にぴったり合っていました。
映画「ウルフマン」が好きな人におすすめの作品
映画「ウルフマン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 動物界(2023)
- 数に溺れて(1988)
- フランケンシュタイン(1931)
- フランケンシュタインの花嫁(1935)
映画「ウルフマン」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年01月24日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:観ているうちに力が入ってしまう
ただ映画を観ている我々にはどうしようもないことなんですが、「何もできないのか……」「このまま為す術なく終わってしまうのか……」と、気付けばグッと力が入っておりました。
それぐらい感情移入してしまいたくなるお話。
先述したとおり「家族の再生の物語」とは違ったかもしれないけれど、「あるひとつの家族の物語」だったことは間違いない。一切救いがない、といういわけではなかったと思います。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 48% Popcornmeter 54%
IMDb
5.6/10
Filmarks
3.2/5.0

