
X エックス(字幕版)
「X エックス」の感想です。
ミア・ゴス主演で話題になったホラー映画(スリラー味強め)。
めちゃくちゃグロいんだろうなと想像していたんですが、これがまた絶妙な感じで丁度良かったです。最&高!
本記事は2025年12月23日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
ピーな映画を撮りにきたら別の意味でやばいことになった。
作品情報
あらすじ
1979年、テキサス。女優の卵マキシーンとその一行は、「農場の娘たち」というポルノ映画を撮影するために、とある農場を訪れる。農場の一角を貸してくれたのは、退役軍人のハワードとその妻パール。マキシーンの恋人であり、プロデューサーでもあるウェインはハワードに宿泊人数や撮影のことを伝えていなかったが、渋い顔をするハワードを説得し、なんとか泊まれることになった。早速やりたい放題、撮影を開始する面々だが、そこに待ち受けていたのは老人たちの奇妙な行動で――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
マキシーン
(演:ミア・ゴス)
女優の卵。女優として大成することを夢見て、「農場の娘たち」の撮影に挑む。
ウェイン
(演:マーティン・ヘンダーソン)
マキシーンの恋人で、「農場の娘たち」のプロデューサー。恋人がポルノ映画に出演することについては、仕事だと割り切っている。
ボビー・リン
(演:ブリタニー・スノウ)
マキシーンの女優仲間。ブロンドの髪の毛が特徴。
ジャクソン
(演:スコット・メスカディ)
「農場の娘たち」に出演する男優で、ベトナム帰還兵。
RJ
(演:オーウェン・キャンベル)
学生だが「農場の娘たち」の監督を務めている。プロデューサーのウェインには逆らえない模様。
ロレイン
(演:ジェナ・オルテガ)
RJの恋人で、録音スタッフとして撮影に参加。真面目な性格で、ポルノの撮影には気まずさを覚えている。
ハワード
(演:スティーヴン・ユーア)
第一次、第二次世界大戦に従事した退役軍人で、パールの夫。心臓を患っている。
パール
(演:ミア・ゴス)
ハワードの妻。若い頃はダンサーだった。
映画「X エックス」の感想
映画「X エックス」の感想です。ミア・ゴスの演技が光りまくっていました。ジェナ・オルテガもよかった!
キャストが最高
まず、キャスティングが良すぎましたね。
ミア・ゴスが出演しているのは知っていたんですけれども、他のキャストはほとんど知らない状態で観たので「え、ジェナ・オルテガ出てる!」ってなりました。
それから、まさかのブリタニー・スノウ。「ピッチ・パーフェクト」(2012)のクロエちゃんですね。随分と印象が違って驚きましたが、意外と良かった。
ちなみに、ジェナ・オルテガ(演じるロレイン)の恐怖に慄いた顔は、新しいジェナ・オルテガを見たという感じでちょっと感動すらしました。ホラーで言うと、ジェナ・オルテガは「スクリーム」シリーズにも参加していますが、あれともまた違った演技でしたね。
一人二役のミア・ゴス
本作で特筆すべきなのは、なんといってもミア・ゴスが一人二役で演じているところ。
主役のマキシーンと老婆のパールですね。
この情報だけは知っていたんですが、その情報を知ったうえで観ても「これ、本当にミア・ゴス?」ってなったやつ。見た目だけならそりゃあメイクでどうにかなると思うけど、声もまったく違うように聞こえますもんね。
演技力の幅にびっくりします。
特にパールがRJを誘おうとしたり、夫のハワードに性行為を求めたりするシーン。本当に気持ち悪くてすごい(※褒め言葉)。なんていうか、人間たるもの、年齢にかかわらず性欲があっても良いと思うんですよね。人に迷惑さえかけなければ。
パールも然りで、「この年齢で性欲を持っているなんて考えられない」とはならないんですけれども、この誘い方とかがまた絶妙に気持ち悪いんですよ。しかも、夫とだけすればいいのに、夫に(心臓が悪いからと)断られたからと、今度は若者にアピールしに行きますからね。
この「本気で気持ち悪い演技」ができるミア・ゴス、すごすぎます。
グロが見やすい
本作を観る前までは、「X エックス」シリーズってやっぱりグロいんだろなあと思っていたんですが。実際にはそんなことはありませんでした(当社比)。
まあ、そういうシーンもあるにはある。
でも、どちらかというと「プー あくまのくまさん」(2023)みたいな、B級ホラー寄りのチープさのある演出だったので、比較的観やすいんじゃないかなと思います。といっても、血が出るのは無理というレベルの人にはおすすめしませんが。
正直、グロシーンに限らず、笑ってしまうところも多い映画でした。例えば、「RJがいない!」と焦るロレインの前にパンツ一丁でウェインが現れ、そのまま捜しに行った時には「ええ!? そのまま行くの!?」と。こういう気が抜ける瞬間をたびたび挟んでくれるので、とても観やすくなっているんですよね。
パールについて
また、パールを単なるやべーおばあさんと切り捨てるのは簡単ですが、それだけということはないと思う。
ミア・ゴス自身が、
ゴスは、本作で演じた殺人鬼のパールについて「彼女はエキセントリックだけど、極端なほど無邪気なの。時代のせいで自分らしく生きることができなかったのよ」と語る。
と語っている通り、時代の犠牲者ということも考えられるかもしれません。
舞台は1979年のテキサス。
私は知らなかったんですが、1960~1970年代には「ウーマンリブ」という運動があったらしい。これは「ウィメンズ・リベレーション(Women’s Liberation)」の略で、女性とはかくあるべしみたいな、社会からの押し付けを拒否するものだったんだとか。女性は家事や育児を一手に引き受けるべしとか、ああいうやつ。女性らしくあるべし、とかね。
まあ、女性として、今でもそういった社会の押し付けを感じる部分はありますが、当時の女性たちが頑張ってくれたから今の社会があるんだなと思うと、感謝せずにはいられませんね。
ちなみに、
ウーマンリブはフェミニズムの流れの一つであるが、同一ではないという点をしっかりと理解しておこう。
とのこと。簡単に調べて「へー、つまりフェミニズムということか」とわかった気になった自分が恥ずかしい。
この辺はもうちょっと理解すべきところですが、60~70年代にこの運動が活発になったのだとしたら、パールおばあちゃんが若かりし頃なんて、女性に対する締め付けはもっと厳しかったでしょうね。「社会の思う女性」であることを押し付けられて、自由に過ごせなかったことは想像に難くありません。
性欲は誰にだって……
あと、個人的に悲しくなったのは、本作の感想として「年寄りの性欲が気持ち悪い」みたいなものがちらほらあったように思えたこと。
いや、これ本当に悲しいよ。
まあ、ここに関してはタイ・ウェスト監督の見せ方が上手かったということもあるんですが、年寄りの性欲。上等じゃないですか。もちろん、他人に迷惑をかけるようなやり方は言語道断ですよ。なので、RJに迫っている時点でパールもNG。なんなら夫も「心臓が……」と理由を明白にして拒否していたのに、半ば強引に事を運んだ時点でNGではある。
だけど、高齢者の性欲自体は問題ないでしょ? と思ってしまう。
歳を重ねるにつれ、性欲がまったくなくなる人もいれば、衰えない人もいる。個人差。それは想像できます。先述した通り、パールの場合はやり方が駄目だったのであって、その欲自体を気持ち悪いと切り捨てることはしたくないなと感じました。若ければOK(仕方ないこと)で歳を取ったらNG(気持ち悪い)なんてね。
なのに一緒くたにして「老人の性欲、気持ち悪い!」と言っている人がまあまあいて、切なくなりました。見たくないというのは同意だけど、個人的にはそういうシーン自体あまり好きじゃないので、対象が若者であっても言えること。ただ、長いのは長かった(笑)。
ブラックコメディー味もある
なお、本作にはブラックコメディー味もあって、感情がぐっちゃぐちゃになります。
RJがいなくなったと心配するロレインの前に、マキシーンの恋人ウェインがパンツ一丁で現れたり(先述)。パールおばあちゃんが突然踊りだしたり。
緊張と緩和をうまく使い分けていて、笑ったり真顔になったり、感情が忙しくなる映画でした。
映画「X エックス」が好きな人におすすめの作品
映画「X エックス」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010)
- ストップモーション(2023)
- ハロウィン(2018)
- Smile/スマイル(2022)
映画「X エックス」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年12月23日)。レンタル作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:キツすぎないゴア描写で観やすくて◎
全体的に、怖いというより、なんか嫌な感じという雰囲気が漂っている映画でした。この不気味で気持ち悪いねっとりした感じがとても良い。
ミア・ゴスの一人二役も素晴らしかったですね。わかった状態で観ても「これ、本当に両方ミア?」って思う。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 94% Popcornmeter 76%
IMDb
6.5/10
Filmarks
3.4/5.0

