
きさらぎ駅
「きさらぎ駅」の感想です。
大学生の女の子が異世界でRTAをするお話。
正直、一度目に観た時は「あんまりだなあ」と思った記憶があるんですが、このたび「きさらぎ駅:Re」を観るにあたり復習がてらもう一度観てみたところ、思いのほか面白くてびっくりしております。
本記事は2025年09月28日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
――一刻も早くゴールを目指せ!
作品情報
あらすじ
民俗学を専門に学んでいる大学生の堤春奈は、卒業論文のテーマに「神隠し」を選んだ。そこで、ネットで話題になっている「きさらぎ駅」に注目し、実際にきさらぎ駅に行って帰って来たと見られる葉山純子という女性に取材をすることに。どのようにしてきさらぎ駅に辿り着き、どのようにして帰って来たのか。一通りの取材を終えた春奈が取った行動とは――。
主な登場人物
(敬称略)
堤春奈
(演:恒松祐里)
民俗学を専攻する大学生。卒論のテーマに「神隠し」を選び、実際に異世界に行ったという純子に取材をする。その帰り道、きさらぎ駅に行く方法を試してみたところ、本当に異世界に飛ばされてしまった。
葉山純子
(演:佐藤江梨子)
きさらぎ駅に行ったとされている女性。元は高校教諭だったが、共にきさらぎ駅に飛ばされた高校の生徒(明日香)を救えなかったことで、教師をやめた。
宮崎明日香
(演:本田望結)
高校生。きさらぎ駅では純子と行動を共にしていた。「どんな時でも自分に恥じる行いはするな」という母の言葉を守っている。
岸翔太
(演:木原瑠生)
粗野な男。気に入らないことがあると乱暴な行動に出がち。
松井美紀
(演:莉子)
翔太の恋人。ギャル。派手な格好をしているものの、仲間思いなところもある。
飯田大輔
(演:寺坂頼我)
翔太と美紀と共に行動している。大人しく内気な性格で、翔太には乱暴に扱われている。
花村貴史
(演:芹澤興人)
会社員。酔っぱらい。
映画「きさらぎ駅」の感想
映画「きさらぎ駅」の感想です。異世界でRTA! な映画。人によってだいぶ評価が分かれそうな気がしました。個人的には好き!
ホラーだけど怖くない
まず、個人的にこうしたネットで生まれた都市伝説を題材にした映画はあまり信用していないところがあったんですよね。映画「真・鮫島事件」(2020)とかも微妙だったし(アイデアはとても良かった!)、あれも本作と監督一緒だし。正直、不安なところがあった。
で、その不安どおり、初めてこの作品を観た時は「うーん、いまいちだなあ」って思ったはずだったんですよね。ところが、「よし、『きさらぎ駅:Re』を観よう!」と思いついて、復習がてら二度目の鑑賞をしてみたらあらま不思議、意外と面白かったという。
B級感はあるし、ホラーと言うにはほとんど怖くもないんだけど、この内容的には丁度良い感じのホラー感ではあったと思います。ホラーが苦手な人でも問題なく観られそうな感じでした。怖さというより、展開そのものを楽しむ感じの映画でしたね。
純子パートと春奈パート
本作は、純子パート(前半)と春奈パート(後半)に分かれています。
純子パートはFPSで、春奈パートはRTA。ゲームが好きな人にはまあまあ刺さりそうな構成。
異世界で何が起きたかを純子が回想(説明)して、実際に春奈がそれをなぞっていくという演出でした。このやり方、ありそうでなかったというか、なかなか斬新だなと感じましたね。すごいよ、これ。だって、実際に観ているこちら側からしたら、純子パートはネタバレみたいなものじゃない? って。
ネタバレありきの状態で、春奈と一緒にまったく同じ経験をしていく。一歩間違えば大事故になりそうなところ、春奈をうまく動かしRTA的な展開にすることで、上手に演出してくれていました。
攻略法を一緒に考える
で、先述した通り、純子パートはネタバレに近いものがあったんですけれども、先に何が待ち受けているかわかっているからこそ、全滅せずにゴールまで行くにはどうしたらいいか? を考えるのは楽しかったですね。細かいことを言えば、春奈の最優先は明日香だったわけですが。
あの「おーい」おじいさんからどうやって逃げるか。車のおじさまをどうやって回避するか。
次に何が来るかわかっていることもあって、自然と「こうすればいけるんじゃないか」と攻略法を頭に思い浮かべてしまいますが(思い浮かばない場合もあるけども)、春奈が思いのほか物理的解決をするのでちょっと笑ってしまいます。
春奈は普通の子
結局、春奈はどうなったのか。
というのは、ネタバレになるので名言しませんが。
個人的に、最初から不思議だったというか、違和感を覚えていたことがあって。それは、危険を冒してまで春奈が明日香を助け出そうとしていること。
だって、初対面ですよ?
いくら純子が明日香のことについて後悔しているとはいえ、ねえ。春奈にとっては純子も一度会っただけの他人には変わりないし、体を張って明日香を助ける意味は? って。単に良い人というだけじゃ説明つかなくない? って。
でも、その辺りもしっかり描写してくれていました。春奈は特別に良い人なのでも、だからといって悪い人なのでもない。普通の大学生だったと。
人って「自分は良い人だ」と思いたい生き物だと思うんですよね。そうでなくとも、他人に「こいつは嫌な奴だ」と思われたい人は少ない気がします。自分のことを良い人間だと思いたいから、春奈もそれを軸に「(良い人であるためには)明日香を助けなければいけない」と思い込んでいたのではと感じました。
普通。とても普通の子。
偽善的と言えばそうなんだけど、でも、多くの人はそういうものだと思う。春奈ほどではなくても、良い人だと思われたくて、嫌な奴だと思われたくなくて、多少の「面倒くさいな」「怖いな」「やりたくないな」は飲み込んだりする。
序盤から中盤にかけて観ている側が感じる「なんで?」という春奈に対しての疑問も、ちゃーんと解消できました。細かくてすごい。
恒松祐里さんの演技
その(先述した)「解消」を確かなものにしてくれていたのが、春奈を演じていた恒松祐里さんの演技。これがもう素晴らしかったですね。
純子に取材をしている時の好奇心強めな大学生としての表情。きさらぎ駅に飛ばされてからの、焦りを滲ませた、けれどもまだどこか希望を感じている表情――からの、焦りのほうが大きくなった時の表情。
見ごたえばっちりでした。
映画「きさらぎ駅」が好きな人におすすめの作品
映画「きさらぎ駅」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- カラダ探し(2022)
- リゾートバイト(2023)
- 残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―(2015)
映画「きさらぎ駅」の配信サイト(サブスク)
※記事執筆時点での情報です(2025年09月28日)。レンタル作品等も含まれます。
Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:B級Jホラー
めっちゃB級! という感じのJホラーでした。好き嫌いには大きく分かれそうな雰囲気。
とはいえ、先述したように、主人公の春奈を演じた恒松祐里さんは良いですし、明日香役を務めた本田望結さんもかなり良い。この春奈と明日香の(性格の)対比も非常に味わい深かったです。
Rotten Tomatoes
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IMDb
5.5/10
Filmarks
3.0/5.0