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映画「硫黄島からの手紙」あらすじ・感想|改めて観たらすごかった!誰もがみな人の子なんだと……

硫黄島からの手紙_感想タイトル ヒューマン

硫黄島からの手紙(字幕版)

「硫黄島からの手紙」の感想です。

午後のロードショーでの鑑賞。

2時間半近くある作品だからかカットされている部分が多い印象だったんですけれども、実は二度目の鑑賞だったので、感想は記憶に頼りつつ書いていきたいと思います。

映画「荒野のストレンジャー」(1972)や「クライ・マッチョ」(2021)などで知られるクリント・イーストウッド監督の作品です。

※本記事には、ラストを除くネタバレが一部含まれます。ご注意ください。

本記事は2025年08月07日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。

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ワンフレーズ紹介

こういう人たちが今の日本を作ったのだと。

作品情報

タイトル硫黄島からの手紙
原題Letters from Iwo Jima
ジャンルヒューマン歴史
監督クリント・イーストウッド
上映時間141分
製作国アメリカ
製作年2006年
公開年(米)2007年
レイティングG
個人的評価★★★★☆

あらすじ

2006年、硫黄島にて。地下壕の中に埋められていた鞄の中から、数百通にも及ぶ手紙が発見された。それは、かつてこの島で戦った兵士たちが大事な人に宛てたものだった。――61年前。硫黄島に到着した栗林忠道陸軍中将は、上官より体罰を受けていた西郷昇を救う。ロサンゼルス五輪に馬術で出場し、金メダルを獲得した経験のある西竹一陸軍中佐も到着し、悪化し続ける状況について話し合った。しかし、硫黄島が孤立した今、できることは少なく――。

主な登場人物

(敬称略)

西郷昇

(演:二宮和也)

硫黄島守備隊に所属。元パン屋。本土に妻子を残してきており、生まれたばかりの娘には会えずにいる。憲兵団には良い印象を持っていない。

栗林忠道

(演:渡辺謙)

陸軍中将。硫黄島守備隊の指揮官に新しく着任。アメリカに駐在したことがある「知米派」でもある。

西竹一

(演:伊原剛志)

陸軍中佐。ロサンゼルス五輪の馬術金メダリスト。先に到着した栗林に、思った以上に悪い戦況を伝えた。騎兵科出身である栗林とは馬の話で盛り上がる。

清水洋一

(演:加瀬亮)

硫黄島に新しく派遣されてきた兵士。元憲兵で、同じ兵士たちからは「憲兵団から送られてきたスパイではないか」と疑いの目を向けられる。

伊藤

(演:中村獅童)

海軍大尉。自分の考えを否定する栗林に反発している。

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映画「硫黄島からの手紙」の感想

映画「硫黄島からの手紙」の感想です。なんか……観た時期が時期だからかもしれないけれど、言葉にならないなあって。

キャストが豪華

まず、キャストが豪華でしたね

映画「SAYURI」(2005)や「ラスト・サムライ」(2003)などに出演している渡辺謙さんをはじめ、「永遠の僕たち」(2011)の加瀬亮さんなんかも海外作品に出ていたりしますし(「永遠の僕たち」は本当に良かったからぜひ観てほしい。万人受けするタイプではないと思うけど)。

二宮和也さんが素晴らしいのはもちろん、伊原剛志さんや中村獅童さんも良い味を出していました。

観る時期によって感想が変わる

実は、この作品を初めて観たのは高校生の時でして。

その時は「長いし暗いし……なんじゃこの作品は」と思ったことぐらいしか記憶になかったんですが。でも、地上派で放送しているからと、今回改めて観てみた時の感想は「こりゃあすごい作品だよ……」でした。

どの映画にも言えることかもしれませんけれど、映画ってやっぱり観る時期によって感想が大きく変わるものなんですよね。アメリカの作品でここまで日本人らしさを表現できるのはすごいんじゃないかと思う。アメリカ人をヒーローにするのでもなく、だからといって日本人を過剰に良く描こうとするのでもなく。

アメリカ人らしい描写だなと感じた部分もなくはなかったんですが、アメリカ万歳! じゃなかったのはすごいことだと思います。さすがクリント・イーストウッド監督。

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最期まで日本人でありたい

劇中にたびたび登場した日本刀。

この時代になってもなお所持していた人たちがいるとは聞いていましたが(たぶん一部将校や憲兵など? 基本的には戦う用ではなかったみたい)、栗林中将の首を切れという最期のあれは「日本人として日本で死にたい」というような強い意思を感じました。

中村獅童さん演じる伊藤海軍大尉も、ちょっと思想強めのヤバい奴に見えるけど、あれこそが日本人を表しているのだと感じましたね。アメリカ人から見る日本人って、まさにあんな感じだったんじゃないかと。

アメリカっぽい描写もあるにはある

ただ、栗林中将の言葉を無視して、自ら作戦を決行してしまった伊藤海軍大尉ですが。あの状況下で上官に刃向かうことって軍法違反にあたるのでは? というのはあります。その辺はアメリカがよくやるヒーローイズムっぽさが出てしまったというか。

自分の考えとは異なっていても、あのタイプの人は上官の命令を聞きそうだよねって。別に「ここから逃げて、本土へ帰れ」と言われたわけでもないし。

誰より日本人らしく見せながらも、アメリカ味を感じるシーンでもありましたね。あそこは。

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一瞬で覆される信念

米兵サムの出現もとても良かったです。

敵でありながらも、殺さず応急処置をすることにした西中佐。これは本人がオリンピアンとしてアメリカ人の友人がいるからこその行動でした。

サムが持っていた母からの手紙には「生きて帰ってきてほしい」という願いが込められている。

日本人がそんなことを書けば、途端に「非国民だ!」と言われそうなものです。「生き延びてほしい」と大事な人に伝えることが許されている。日本では手紙の検閲が厳しかったと聞きます。こういうことを書いたら、兵士の士気を下げるということで没収されるか処罰を受けるかしたんじゃないかなと思う。どうなんでしょう。

このシーンはかなり切なかったですね。

それに、加瀬亮さん演じる清水が「鬼畜米英。米兵は腰抜けだと思っていた」と言っていたように、話したことも、見たこともないアメリカ人を倒すべき相手だと思っていたのに、実は相手も人の子なのだと気がついてしまったら。

ちなみに、私が「鬼畜米英」という言葉を知ったのはこの映画。

高校の頃、「長いなあ……」と思いながら観ていた本作ですが、海外生活が長かったこともあって(アメリカではなかったけど)この「鬼畜米英」という言葉には相当ショックを受けました。いわゆる、洗脳ですよね。相手を憎み、倒すべき敵だと思わせるように。

でも、サムのようなアメリカ人がいるのを知ってしまったら「自分たちは何と戦っているんだろう?」と思ってしまっても不思議じゃない。とにかく理不尽。それがこの時代に起きた出来事なのだと思います。だから繰り返してはならないと。

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どんな理不尽でも……

そう、とにかく理不尽

戦争ってそういうもの。

誰も死にたくなんてないはずなのにって思う。だけど、自分がもしこの中にいたとしたら逆らうことなんてできなかったんだろうなと。

興味深いなと思ったのは、劇中の栗林中将は「お国のために」とは確かに思っていたんだろうけど、だからといってこのような戦い方を受け入れていたわけではなさそうだということ。まあ、自分が犠牲になるほうなので当然と言えば当然かもしれませんが。

アメリカでの栗林中将の送別会で「日本とアメリカが戦ったらどちらの味方をするのか」みたいな質問をされていましたよね。あれ、めっちゃ失礼だわと思ったけど。

栗林中将は躊躇いながら「国の考えに従う」と言っていました。さらに「国ではなくあなたの考えはどうなの?」と聞かれ(この人、実は栗林中将のこと嫌いなの?)、「国の考えが私の考えですから」と。でも、その表情などからするに、完全に本心というわけでもなさそう。そこには「国の考えには従うし、お国を守るのは当然だが、友人たちと戦いたくないというのも本心である」みたいな感情があったのではないかと思います。当然と言えば当然ですね。

しかし、それを口にできないからこそのあの微妙な表情なのではないかと。

それを言うことさえ許されないなんて、本当にただひたすらに理不尽。そう言えば、海外に住んでいる時に、戦争経験者の祖母から「あなたは今戦争が起きたらどちらにつくのか」と言われてびっくりしたことを思い出しました。「そりゃあ、帰りたい場所と言ったら日本だよ。母国だもん。だけど……(ゴニョゴニョ)」ってなった記憶。

当時は「なんて嫌な質問をするんだ」とちょっとイラッとしたんですが、そういうことを当たり前に考えなければいけない時代だったということなんでしょうね。きっと。

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涙なくしては観られない

もうね、涙なくしては観られませんよ。

栗林中将の「ここはまだ日本か」で大号泣。

硫黄島の何が切ないって、勝つために戦っているわけではないところ。もう落ちるのがわかっていて、一日も長く米兵の日本本土上陸を遅らせることだけを目的として戦っている。死ぬために戦うって、なんかもう言葉にならない。

(一部実在した人物はいるものの)物語自体がフィクションだったとしても、こういう人たちがいたんだと知れただけで、本作の意味は大きかったと思います。

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映画「硫黄島からの手紙」が好きな人におすすめの作品

映画「硫黄島からの手紙」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

まとめ:一緒に観たい作品も

本作の姉妹作として作られたという「父親たちの星条旗」(2006)も観てみたいところですね。

硫黄島の戦いを米兵サイドから見た作品です。硫黄島の戦いがどれだけ米軍に苦戦を強いたものだったか、そして帰国したあとの彼らを描いています。

Rotten Tomatoes
Tomatometer 91% Popcornmeter 86%
IMDb
7.8/10

Filmarks
3.7/5.0

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