
PIGGY ピギー
「PIGGY ピギー」の感想です。
一時期、SNS上で「観ました!」と話題になっていたスペイン映画「PIGGY ピギー」。「気になるけど、今の気分じゃない……」を繰り返し、やっと観られたので!
正直、ちょっと山場までが長かったかなあという印象でした。あと、いじめの内容が結構しんどい。
本記事は2025年06月07日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
いじめっ子たちにざまあ!……する?
作品情報
あらすじ
そこは小さな街。ふくよかな体つきのせいで「豚」と呼ばれ、いじめられていた10代のサラ。ある日、人目を忍ぶようにしてプールに行ったところ、いじめっ子たちに見つかり、持ち物をすべて奪われてしまう。仕方なく水着姿で家に帰ろうとするサラだったが、その道中で、いじめっ子たちが血まみれの姿で拉致される現場を目撃。そのまま見ない振りをしてしまったサラだが――。
主な登場人物
(敬称略)
サラ
(演:ラウラ・ガラン)
体つきのせいで「豚」と呼ばれ、いじめられている10代の女の子。恋愛や性についてはそれなりに興味がある。
クラウディア
(演:イレーネ・フェレイロ)
通称「クラウ」。かつてはサラと親しかったらしい(?)が、今はいじめっ子たちの一人。サラに対するいじめを物言いたげにしているものの、結局はいじめっ子たちに従っている。
マカ
(演:クラウディア・サラス)
いじめの主犯格。クラウらと共に拉致された。
ロシ
(演:カミーユ・アギラル)
マカらと共にサラをいじめていたうちの一人。クラウ、マカと共に拉致された。
サラの母親
(演:カルメン・マチ)
サラが「豚」と呼ばれていると告白した際には、極端なダイエットメニューを押しつけるなど、サラの話を聞かずに一方的に決める癖がある。
ペドロ
(演:ホセ・パストール)
クラウの恋人。クラウの失踪後、クラウの母親に犯人扱いされていた。
エレーナ
(演:ピラール・カストロ)
クラウの母親。行方がわからなくなった娘を必死で捜している。
映画「PIGGY ピギー」の感想
映画「PIGGY ピギー」の感想です。作品の内容上仕方ないんですが、まあまあイラッとさせられるストーリーでした(笑)。
壮絶ないじめ(※犯罪です)
もうね、サラに対するいじめが酷すぎてつらい。
いじめって犯罪ですよ、犯罪。そもそもがね。でも、サラに対するいじめは悪口を言ったり物を隠したり、そういうちょっとしたものに留まりません。プールに沈められそうになるあれ、何? サラが「溺れる!」って言ってるのに、笑いながら沈めようとしてくるマカたち。どうやら正気は行方不明中みたい。
ふくよかな体型をしているからって「子豚」って可哀想すぎる。
まあ、体型のせいでいじめられているのでなく、いじめのターゲットになってしまったから、体型について言われるようになったのか。どちらが先かはわかりませんが。
なににしても、指摘して3秒以内に変えられないことは言わないほうがいいって言いますもんね(5秒と言うのも聞いたことあるけど、どちらにしろその場で直せないこと)。例えば「ちょっと太りすぎじゃない?」とか。「痩せてるね!」とかも、褒め言葉のつもりであっても、「もう少し肉をつけたいのに、食べても太れない」と悩む人もいるので言わないほうがいい、みたいなね。逆に「歯に青のりついてるよ」とかは、その場ですぐに直せるのでOK(笑)。言い方は考えたいところだけど(笑)。
もしかして:毒親
で、サラのママは、今風に言うと毒親味のある女性でした。
何を言われてもサラが黙っているせいでもあるんだけど、基本的に、サラの意見は聞かない。聞いても、自分の意見を押しつける。
「豚」と呼ばれていることを告白したサラに対して、極端なダイエットメニューを出し始めた時にはびっくりしちゃったね。いやいや、サラに必要なのは、そういうのじゃないよねって。
しかも、「ママだって太ってる」という指摘には「でも『豚』とは言われない」とも。ひええええええ! ってなった。クラウたちのSNSに家族みんなで「子豚の家族」(みたいな言い回し)と写真をアップされていたのを見せてやって! と思ってしまった。あなたも「豚」の一人なのよ! って。
ただ、それにしては過保護な一面もあって、やっぱりやることが極端なんですよね、この人。サラを愛しているのは間違いないと思うんだけど。でも、愛しているからって何をやってもいいわけじゃないし。愛は傷付けることへの免罪符にはならん。
父親もね、一見優しそうなんだけど、優柔不断で人に嫌われるのを恐れていて、たぶんサラにも家族にもさほど興味がないんだと思う。
見ていて苦しくなるサラの家庭環境。
恋愛と性への興味
そんなサラが、加害者である男にほんのり恋心を抱いてしまうのが本作の特徴でもありました。まあ、恋心というより性欲かな? あれは。
どうだろう。
程度の差はあれど、例えば、他人に対して基本的には冷たい人が、自分にだけとっても優しくしてきたら、それは確かに「好きかも……」ってなっちゃうかもしれない。若ければ若いほどね。サラの場合は、相手がちょっとあれなんで、行き過ぎている感じがしますが(笑)。
でも、サラのように、パッとしないいじめられっ子でも普通に恋愛はするし、していいし、性欲もある。そういうのって、誰かに許されてするものでもないと思うし。
恋愛も性欲も、結局は誰かに愛されたいということなんじゃないかな。サラの場合は、特にそんな感じがしました。自己肯定感が低く、どうにもならない(愛されていないと自分が思う)現実から意識を逸らす手段として、性欲に走っている感じ。
クラウの見方ががらりと変わる
ちなみに、結構すごいなと思った演出が、クラウのこと。
序盤、プールでマカたちがサラをいじめるシーンにおいては、あまり乗り気でない感じがするし、サラがクラウにだけ助けを求めるので、「きっと昔は仲が良かったのだろう」という想像もできるわけで。クラウがマカたちに物言いたげにしていることからしても、悪い子じゃないんだろうけど、きっといじめっ子たちに強く言えずに従ってしまっているんやな……と、100%悪いとは言い切れない雰囲気なんですが(ただし、どちらにしろサラからしたら普通に加害者)。
終盤のシーンになると、これがまたイメージが180度変わる。
縛られたクラウがサラに暴言を吐き出すあたりで、「あ、これ、いじめに加担したくなかったわけじゃないんだ」と気付かされます。
クラウはただ、いざ誰かにいじめのことを追及されたときに、「自分は本当はやりたくなかった」と言えるだけの証拠を着々と積み上げていただけじゃないのかと。すべてはマカたちに言われて仕方なくやっていたんだと言い訳するための、保身に全振りした行動。
なんなら、いじめの主犯格ではあったけど、犯人と対峙することになったサラに「逃げて!」と言うマカのほうがマシではとすら思ってしまう。たとえそれが「助けを呼んできて」という意味でも。
あのシーンでは、クラウの化けの皮が剥がれたという感じでしたね。
自分は違うことの証明
まあ、個人的には、サラに「おいおい……」と思うことも少なからずあったんだけど、でもやっぱり、サラって格好良い。
自分自身で「私はあなたたちと違う」と証明してみせた。
なにより、たまにパパの狩りについて行っているらしく、凄腕のハンターでもある(笑)。「本当は、あなたたちなんか一発で仕留めることができるけど、私はそんなことしないわ」というような感じで、素晴らしくクールでした。
ラスト後はどうなるのか……
でも、ラストのあとはどうなるんでしょうかね。
ラストについてはここで言及したくないので、明確な表現は避けますが。とにかく、「このあとどうなるん?」となるラストではありました(笑)。
短編とかで、15分ぐらいの後日談でも作ってほしい。
映画「PIGGY ピギー」が好きな人におすすめの作品
映画「PIGGY ピギー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- レディ・オア・ノット(2019)
- バイオレント・ナイト(2022)
- 13日の金曜日(2009)
- 人狼ゲーム 夜になったら、最後(2021)
まとめ:このイライラに耐えられるなら!
いじめという題材上、イライラしてしまうシーンが多いのは仕方ないんですが、サラの置かれた環境があまりに悪い……ので、このイライラに耐えられそうな人にはおすすめできそうです。
軽微なざまあはあれど、スカッとするほどのストーリーではないので(たぶん、そこはテーマじゃないと思うし)。
山場までがちょっと長いなあとは思いましたが、中盤あたりは面白かったですよ!
Rotten Tomatoes
Tomatometer 91% Popcornmeter 60%
IMDb
6.2/10
Filmarks
3.3/5.0