
新幹線大爆破
Netflixに「新幹線大爆破」(1975)のリブート版が来ると聞いたので、「よし、いっちょオリジナルのほうも観ておくか!」と。
普段、あまり邦画は観ないんですが(嫌いなわけではないんだけれども)、これはかなり面白かったです。リブート版の前に観ておいて良かった!
本記事は2025年04月23日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
時速80キロ以上をキープせよ。
作品情報
タイトル | 新幹線大爆破 |
ジャンル | サスペンス、パニック |
監督 | 佐藤純彌 |
上映時間 | 152分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1975年 |
公開年 | 1975年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
ある時、国鉄本社公安本部に一本の電話がかかってくる。定刻通り発車したひかり109号に爆弾が仕掛けられているというのだ。爆弾は、ひかり109号が時速80キロ以下になると爆発すると言う。犯人は電話越しに、500万ドルを要求するのだが――。
主な登場人物
(敬称略)
沖田哲男(演:高倉健)
犯人グループのリーダー的存在。国鉄本社公安本部に電話をかけ、500万ドルを要求する。
青木運転士(演:千葉真一)
ひかり109号の運転士。
倉持運転指令長(演:宇津井健)
犯人からの脅迫を受け、青木運転士と連携を図り、なんとか爆発を防ごうとする。
映画「新幹線大爆破」の感想
映画「新幹線大爆破」の感想です。まず、なんといってもキャストが豪華! 高倉健さんや千葉真一さん、宇津井健さんはもちろんですが、田中邦衛さんや岩城滉一さん、竜雷太さんなど、そうそうたる顔ぶれがそろっています。
2時間半でも長くない
本作は2時間半の作品。
今の感覚で言うと少々長く感じますが、体感的にはそう長く感じませんでした。といっても、冗長的な部分があったのは否めませんけれど。
「退屈だな」とまでは思うことなく、ずっと見入ってしまった2時間半でした。
今の映画とは違った迫力
そして、本作には今の映画とは違った迫力がありました。本当にすごかった。もちろん、この時代にも迫力のある作品はたくさんあるんですが、そういうことでなく。なんていうか、気迫がすごかった。熱の入り具合が今の映画とはまるで違うなと。
画面越しに、熱気がこちらまで伝わってくるようでした。
悪人は一人もいない
で、本作において「なるほどね」と思ったのは、悪人らしい悪人がいないということ。いや、当然、政府や国鉄側からしたら犯人グループははっきりと悪人なのですが。
ただ、例えば、犯人グループのリーダー的存在である沖田の事情を知ってみると、単なる悪人とは言えないような気がするんですよね。会社が倒産し、経済的に余裕がない日々。妻が頭を下げ、妻の親戚に金を借りている。苦しい生活に、妻はガス自殺を試みる。2人が別れれば、妻の親が借金を肩代わりしてくれるというので、妻がついに離婚を切り出した――。
だからといって、こういうことをやっていいわけじゃないけれど、これを「ただの悪人」として片付けては駄目だと思う。
沖田は「頭を下げて金を借りてきたのは私だ」と言う妻に対して「そのための親族だろ!」とかまあまあやばいことを言っているので、まったく擁護はできないんですが、でも、自分がこんな状況に陥っているのに、(国は)ほんの少しも手を差し伸べてくれなかったという社会に対する憤りのようなものを感じます。
自分はこれから国の未来を担う若者たちを雇い、正しくあろうと努めてきたのに、国は自分に何も返してはくれなかったと。
学生運動と挫折
先述した沖田同様、沖田の仲間だった古賀もそう。
(ちょっとあまり詳しくないんですが)この時代って確か、学生運動が沈静化してきた頃ですよね。古賀も学生運動に参加していたみたいだし。
志半ばで挫折しただろう古賀。
その怒りがすべて国に向かったんじゃないかな。500万ドルを手に入れてどうしたいか聞かれた古賀が「革命が成功した国に行ってみたい」と言うのを見た時、なんだかよくわからないけれど、ゾクッとしたものを感じました。古賀は本気で日本に革命を起こすつもりだったんだろうなと感じたからかもしれません。
ちなみに、この古賀の兄を田中邦衛さんが演じています。
柔道部員たちよ、かかれーっ!
本作は物語の特性上、だいたいシリアスなシーンで構成されているんですが、そんな中でも思わずクスッと笑ってしまった場面がありました。
それは、まさかのジョギング中の柔道部に「そいつ(犯人のひとり)を捕まえてくれーっ!」と警察がぶちかます! これにはさすがの(?)私もびっくりしちゃったね。しかも、柔道部のほうもさして戸惑わず猛ダッシュ! この部分だけなぜかコメディー色が強かったです。
伝説!国鉄からの出禁
「新幹線大爆破」というタイトルをつけられた本作。なかなか刺激的というか、過激なタイトルです。新幹線(及び国鉄)の安全性があるというイメージに傷をつけかねないタイトル。「大爆破」ですもんね。確かに国鉄側からしたら嫌な感じはしたんだろうと思う。
そのこともあって、1975年当時の国鉄は撮影協力を拒否。さらに、なんやかんやと揉めたことで、制作関係者は3年間の国鉄出禁になったのだとか。
多少強引な手は使ったのかもしれませんが、国鉄からの協力は一切得られなかったと言うのに、このクオリティーは本当にすごい。
映画「新幹線大爆破」が好きな人におすすめの作品
映画「新幹線大爆破」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- スピード(1994)
- 東京湾炎上(1975)
まとめ:本気でぶつかり合う男たち
個人的には、沖田も格好良いなと思うわけですけれども、まあ、普通に犯罪は犯罪。理由があろうとなかろうと、許されるべきではない。
ただ、「悪い人間(悪人)ではない」というのが根底にあって良かったです。悪人ではなくとも、悪役なのは確かなんですけれどもね。
Rotten Tomatoes
Tomatometer ―% Popcornmeter 55%
IMDb
6.8/10
Filmarks
3.8/5.0