君たちはどう生きるか [DVD]
宮崎駿監督のジブリ作品。
幼い頃からいくつもの作品を観てきましたが、正直、最近の作品はあんまりだったんですよね(嫌いになったとか、そういうことは特にないんですが)。
今回、久々のジブリ作品として「君たちはどう生きるか」を観てみましたので、感想を書いていきます。
本記事は2025年01月18日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
鳥がたくさん出てくるよ!
作品情報
タイトル | 君たちはどう生きるか |
ジャンル | アニメ、ヒューマン |
監督 | 宮崎駿 |
上映時間 | 124分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2023年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
火事により母を亡くした眞人は、父と再婚するという母の妹・夏子と共に暮らし始める。しかし、父の子を宿している夏子を母と認めることができず、ぎくしゃくしてしまう。そんなある日のこと。体調が悪いと言っていた夏子が、突然姿を晦ましてしまった。近くにいたアオサギが、夏子の居場所を知っているというので、眞人は夏子を連れ戻そうとするのだが――。
登場人物
(敬称略)
眞人(声:山時聡真)
火事で母を亡くした少年。母の妹であり、父の再婚相手でもある夏子をなかなか受け入れられずにいる。夏子が失踪してしまったので、捜しに行くことに。
夏子(声:木村佳乃)
眞人の母の妹で、眞人の父の再婚相手。妊娠している。
アオサギ(声:菅田将暉)
アオサギの見た目をしているが、中身は中年男性。眞人を異世界へと誘う。
勝一(声:木村拓哉)
眞人の父。
映画「君たちはどう生きるか」の感想
映画「君たちはどう生きるか」の感想です。前情報として知ってはいたものの、なるほどこれは確かに難解な映画でした。
宮崎駿監督(作品)の集大成
以前、どこかで「宮崎駿監督(作品)の集大成」のような作品だったと見かけたんですが、まさにその通りだなと感じました。
というのも、「風の谷のナウシカ」だったり「千と千尋の神隠し」だったり、過去作を彷彿とさせるシーンが要所要所に登場するんですよね。
セルフオマージュとでも言いましょうか。
過去のジブリ作品を観てきた人であればあるほど、映像に既視感を覚えるのではないかと思います。これはまさか! えっ、ここも! と、それらしいシーンを見つけるのは楽しかった。
ハウルからのパパ
本作で眞人の父・勝一を演じているのは、なんと木村拓哉さん。
ハウルからのパパ。
まあ、声が良いのは当然ですよね……(このあと述べますけれども、個人的にパパはとても苦手)。パパの印象が強すぎて、最初はわからなかった。
そのあと、キャスティングを見てから「えー!? キムタクだったのー!?」と。
父の鈍感さと無関心さ
で、先に述べた、個人的にパパが苦手だったという話。
眞人の父はね、母(妻)が亡くなったあとにすぐ結婚するんです。母(妻)の妹と。
現代の感覚からすれば、いや、気持ち悪すぎだろ……ですよね。
でも、これに関しては、当時はよくあったことなんだそう。妻が亡くなると、次にその姉妹を娶る。夫が亡くなった場合も同様だそうです。
だから、このあたりは時代的なことで、仕方のないこと。
とはいえ、それを踏まえたうえで、父の鈍感さと無関心さがあり得なかった。
明らかに夏子に対して複雑な感情を抱いている眞人に対して、ノーフォロー……どころか、もはやノータッチ。
学校で虐められた(と父は思っている)時には、「犯人を言いなさい!」だなんて一見息子のために激怒している素晴らしい父のようだけれど、本当に大事な部分に関しては気付いているのかいないのか、一切目を向けない。
このへんに、無関心ゆえの鈍感さを感じました。
なんていうか、パフォーマンスだけは立派。
言動に矛盾を感じるからこその気持ち悪さみたいな。
こいつァ、あれだ……「俺も幸せ=周りも幸せに決まっている!」とかいう、厄介なタイプ。「自分がされて嫌なことは、人にもしないようにしましょう」と善人の顔で言いつつ、「俺は嫌じゃないから」と人に嫌なことを平気でするタイプ(偏見)。
まあまあ無神経な夏子
でもって、夏子は夏子で、まあまあ無神経(苦笑)。
特に、実母を失って間もない少年に、自分を受け入れろなどというほうが無理なはずで。いくら、そういうことがよくあった時代でも、母を失った悲しみはそう大きく変わるものではないと思うんですよね。
なのに、出会って(再会して?)すぐに「子どもがいるのよ」なんて言って、いたいけな少年の手を掴み、半ば強引に自分の腹を触らせるという暴挙……!
無理。無理寄りの無理ィ……。
正直、グロいなって思ってしまいました。「当時はよくあったことだから」で済ませられないグロさを感じた。
気遣いの欠片もない……。
そりゃあ、ぎくしゃくもするわって。そもそも、眞人はまだ母の喪失も受け入れられていない段階みたいでしたし。
自分を傷付ける眞人
そんなだから、眞人が自分自身を傷付けた時も、驚きはしませんでしたね。
理由はひとつじゃないと思うけど。
個人的に、眞人が起こした行動の理由として、こうじゃないかなと思ったのは。
夏子を母として受け入れられない自分を罰するため、父+夏子+(まだ生まれていない)子の家族になりきれないという疎外感があったから、夏子に愛情が向いてしまっている父の気を引くため、どうにもならない苦しい現実から逃れるため、母の存在を忘れたかのように幸せになろうとする父と夏子を罰したい気持ちがあったから――。
こうした複数の感情が爆発した結果なんじゃないかと感じました。
いくら賢いといえども、眞人はまだ子どもだし、ほとんど癇癪を起こしたときのように自傷してしまったのだとしても、心の奥底にはこういった気持ちを抱えていたのではないかと。
最後まで残るもやもや(でもそれでいい)
と、いうわけで。
すべてが終わっても、当然、夏子と父の関係は変わらないわけで。
眞人の立場になって考えると、どうしてももやもやは残ったまま(眞人自身が納得しているといってもね)。
でも、それでいいんだと思います。
この作品に限らず、今の時代の感覚で「あり得ない」と思うことも、当時は「よくあったこと」だったりする。そこに「今の時代に生まれて良かった」と感じる人もいるでしょうし、「昔は良かった」と感じる人もいるでしょう。人それぞれですね。
私は、眞人に感情移入しつつも「こういう時代があったんだな」と、ある種新鮮な気持ちで観ました。
たくさん出る鳥&鳥
そして、本作が劇場公開されていた時に、「意味がわからないとか以前に、鳥が苦手な人にはキツいかも……」みたいな内容の呟きを、SNSで見た(気がする)のですが。
……確かに。
わっさーって鳥が出ます。
でも、まあ、そこまでリアルではないので、よほどの鳥嫌いじゃないと「うわっ」とはならない気がしますが(笑)。
映像としては、カラフルで綺麗でしたよ!
映画「君たちはどう生きるか」が好きな人におすすめの作品
映画「君たちはどう生きるか」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- グスコーブドリの伝記(2012)
- すずめの戸締まり(2022)
- 鹿の王 ユナと約束の旅(2020)
- メアリと魔女の花(2017)
まとめ:難しく考えずともOK!
個人的には、結構難解な映画だなとというか、人によって解釈がかなり変わるだろうなと感じた作品でしたが、そもそも難しいことは考えず、ぼんやり観ても楽しめるのではないかと思いました。
映像は綺麗だし、ジブリの過去作のオマージュのようなシーンも多々見られるし。
私としては、もしかしたらジブリ初(?)もやもやが残る作品だったのですが、それすら新しくて良かったです。新鮮。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 96% AUDIENCE SCORE 88%
IMDb
7.4/10