約束のネバーランド
2016~2020年の間に「週刊少年ジャンプ」にて連載されていた大人気漫画「約束のネバーランド」の実写版映画です。
描かれているのは、主人公のエマたちがGFを抜け出すところまで。
キリよく終わっているので、鑑賞後はスッキリとした気持ちになります。
本記事は2024年01月に執筆されました(2024年08月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
みんな、家族。
作品情報
タイトル | 約束のネバーランド |
ジャンル | アクション、ヒューマン |
監督 | 平川雄一朗 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2020年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
孤児院「グレイス=フィールドハウス(通称:GF)」で育ったエマ、レイ、ノーマンの3人。まるで本当の母親のようなシスター(ママ)と家族同然の他の子どもたちに囲まれて、毎日を楽しく過ごしていた。いずれ里親に引き取られることを目標に、その日が来るのを待ちわびている。しかし、そんなある日、エマとノーマンはある現場を目撃してしまって……。
登場人物
(敬称略)
エマ(演:浜辺美波)
主人公。元気で愛情深い活発な少女。シスターのことを「ママ」と慕い、孤児院で暮らす子どもたちのことを家族だと思っている。
レイ(演:城桧吏)
エマやノーマンと一緒に同じ孤児院で育った少年。冷静で冷たく見えることもあるが、実はエマたちのことを大事に思い、かつ心に熱いものを秘めている。
ノーマン(演:板垣李光人)
エマやレイと一緒に同じ孤児院で育った少年。俯瞰して現実を見つめる冷静な少年。エマやレイのことを大事に思っている。
イザベラ(演:北川景子)
「グレイス=フィールドハウス(通称:GF)」のシスター。エマたちからは「ママ」と呼ばれ、慕われている。
クローネ(演:渡辺直美)
シスター・イザベラ(ママ)の補佐役として登場する女性。腹に一物を抱えていそうな人物だが……。
映画「約束のネバーランド」の感想
映画「約束のネバーランド」の感想です。人気漫画が原作になっているだけあって、かなりシビアに評価する人が多かった印象。いろんな意見があるのも当然ですね。
思いのほか悪くない雰囲気
私自身が原作漫画のファンなので、正直、期待していなかった……というか、避けてきた作品でした。原作を読み込んでいると、ハードルが高くなっている分、厳しい目で見てしまうというのが常ですから。
が。
金曜ロードショーで放送されるというので観てみたところ、思っていたよりは良かったのがまずひとつ。
舞台の雰囲気それ自体は、結構原作に忠実に作られていたんじゃないかなと思います。ファンタジー世界の再現において、舞台の雰囲気作りで失敗したらもうそこまでなので。
そこらへんはなかなかでした。
建物の中とか小道具とか、「約ネバ」の世界観に必要なものは忠実に作られていた。
▼原作漫画(全巻)▼
改悪になってしまった年齢操作
ただ、原作漫画のエマたちが11歳だったのに対して、実写映画版のエマたちの年齢は15歳。
この年齢操作は、正直、原作ファンにとって改悪でしかなかったんじゃないかなあ。
実は、実写版が出るまではあまり考えたこともなかったんですが、GFでのあのあたりの話って、ママと子どもたちの戦いが良かったんですよね。
いわゆる、「圧倒的支配者である大人」と「無垢で庇護されるべき弱い存在である子どもたち」の対立という構図。
15歳では意味がない。
15歳って、大人から見たらまだまだ子どもだけれど、それなりに自立心を持っていてもおかしくない年齢。
11歳という、普通なら親や家族が恋しくて当然の年齢だからこそ、ママを慕いながらも、敵対しなければいけないエマの葛藤にギュッと胸を締め付けられるわけで。
それに、天才・ノーマンが15歳だったとしたら、ママとの心理戦をもっとうまく切り抜けるような気がしてしまう……(なお、私はノーマンに若干のサイコパス味を感じています)。
天才・ノーマンと秀才・レイ。
エマに比べるとかなり冷静なふたりなのに、「本当にそれが最善か?」という道を選んだり感情に振り回されたりするのは、彼らが子どもだからこその良さだったような気もします。
今時、演技がうまい子役は少なくないんでしょうから、できれば11歳のままいってほしかったところです。
ミスキャストもハマり役もあったキャスティング
キャスティングに関しては、ハマり役だった人もそうでなかった人もいました。
例えば、浜辺美波さん。
正直、あまりエマっぽくはなかったかなという印象です。
いや、浜辺美波さんが悪いんじゃないんです。とてもお綺麗だし、演技力もある俳優さんだと思っています。
ただ、私の中のエマって、元気いっぱいで(勉強はできるし勘は働くのに)脳筋寄りの活発な女の子という感じなんですよね。なので、どちらかといえば、顔立ちが綺麗(美人)系の浜辺美波さんだとしっくりこなかった。
撮影時点では20歳だったらしいので、大人っぽすぎてしまうのも当然といえば当然ですが。
あとは、レイを演じた城桧吏さん。
13、4歳だったようで、やはり浜辺美波さん演じるエマと並ぶと、どうしても子どもっぽく見えてしまいましたね。まあ、原作のレイが11歳だったのを考えると、こちらのほうが近くはあるんですけれども。
流石子役時代から活躍している俳優さんと言うべきか、演技も安定してうまいんですが、これもまたレイっぽくはなかった。私個人のイメージでは、レイは(心に熱いものを秘めながらも)時には冷たくすら見えるぐらい冷静に振る舞うキャラだったので、違和感がありました。
そして、ノーマンも……と言いたいところですが、ノーマンは不思議と、最初こそ違和感があったものの、なぜか見れば見るほどノーマンになっていきました(?)。すごい。
ハマり役だったのは、もちろん北川景子さんと渡辺直美さん。
北川景子さんのあの美貌。すさまじいです。ママにぴったり。したたかな雰囲気を漂わせながらも、子どもたちへの愛情を感じさせるような優しい表情。この役をやれる人なんて他にいないんじゃないか?
それで言うと、クローネ役を務めた渡辺直美さんも。
こんなにぴったりな人いる!? というほどのハマり役。ちょっと悪そうな表情もイカしていましたね。
まあ、当たり役だった人もいれば、そうでない人もいるというのは、人気作品を原作とする映画の定めなのでしょう。こればかりは仕方ないところです。
あと、ギルダは本当にギルダだから注目してほしい。
迫力のある鬼
鬼にはCGが使われていたんですけれども、これは結構良かったです。
迫力満点。
フルCGということで、毛の一本一本までこだわって作ったらしい。なんでも「原作以上に恐ろしく、迫力ある鬼を目指した」とのこと。
ここらへんは、まさにその通りだったんじゃないかなと思います。
小さい子ならちょっとビビるんじゃないかというぐらいには、リアルでした。
悪くない終わり方
原作漫画は全部で20巻もあるので、たぶん区切りの良いところで終わらせるんだろうとは思っていましたが、後味スッキリな終わり方で非常に良かったと思います。
もちろん、エマたちの冒険は実質これからということになるため、「俺たちの戦いはこれからだ!」なラストなんですけれども。ネタバレ以前に、このあたりは予想の範囲内だと思います。
まあ、実際、キャストミスなどはありつつも、話の流れ自体は割と原作に忠実なんですよね。
年齢をいじったのがあまりに目立ってしまったがために、その点を言及されることが多いですが、それ以外は意外と良かったというのが正直な感想です。
映画「約束のネバーランド」が好きな人におすすめの作品
映画「約束のネバーランド」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 鋼の錬金術師(2017)
- キングダム(2019)
- DEATH NOTE デスノート(2006)
- 弱虫ペダル(2020)
まとめ:原作を知らないほうが楽しめる
上記の通り、原作ファンでも楽しめる部分があった「約束のネバーランド」。
ただ、原作を知っていると、どうしても違うところに目が行ってしまいがち。なので、漫画を読んだことがない、あるいはアニメを見たことがないという人のほうが、純粋に単体の作品として楽しめると思います。
……でも! 個人的には、意外と楽しめました!
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER -% AUDIENCE SCORE 77%
IMDb
5.5/10