弱虫ペダル
漫画原作にはじまり、アニメ、そして実写化されることになった「弱虫ペダル」。
ロードレースという競技自体まったく知らなかったという人も、ロードレース=ツール・ド・フランスぐらいの知識しかなかったという人も、その魅力取り憑かれること間違いなしです。
本記事は2024年03月に執筆されました(2024年07月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
回せ、回せ、回せ――!
作品情報
タイトル | 弱虫ペダル |
原作 | 弱虫ペダル/渡辺航著 |
ジャンル | アニメ、ヒューマン |
監督 | 三木康一郎 |
上映時間 | 112分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2020年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★★★ |
あらすじ
千葉県にある総北高校に入学した小野田坂道は、日々、ママチャリで千葉から秋葉原(東京)に通う、アニメをこよなく愛する高校生。友達のいない坂道は、高校生になり念願のアニメ研究部に入ろうとしたものの、アニメ研究部が活動を休止していることを知らされる。そんな折、ママチャリで楽々坂を上ってくる坂道を目撃した今泉俊輔に勝負を申し込まれる。勝負には敗れたものの、自転車に乗ることの楽しさを知り、自転車競技部に入部することにする。
登場人物
(敬称略)
小野田坂道(演:永瀬廉)
アニメオタクで、友達が少ない高校生。ママチャリに乗り、千葉から秋葉原まで通っている。今泉と対戦したことで自転車の楽しさを知り、自転車競技部に入部。レースではクライマーの役割を担う。
今泉俊輔(演:伊藤健太郎)
坂道の同級生。坂道が長い坂を軽々とママチャリで上がってくるのを目撃し、レースの勝負を申し込んだ。その後、坂道を自転車競技部に誘う。ロードレース経験者で、自信家な一面も。
鳴子章吉(演:坂東龍汰)
坂道の同級生。関西弁を話すのが特徴で、レースではスプリンターの役割を担う。
寒咲幹(演:橋本環奈)
自転車競技部のマネージャー。坂道の同級生で、今泉の幼馴染み。実家は自転車屋。
寒咲幸司(演:皆川猿時)
幹の父親で、自転車屋を経営している。総北高校の自転車競技部に協力的。
金城真護(演:竜星涼)
自転車競技部の部長。冷静沈着に状況を見極める性格だが、実は熱いものを内に秘めている。
田所迅(演:菅原健)
自転車競技部の三年生。ポジションはスプリンター。豪快な性格。
巻島裕介(演:栁俊太郎)
自転車競技部の三年生。ポジションはクライマー。やや斜に構えているところはあるが、自転車で坂を上るのが好きな高校生。
杉元照文(演:井上瑞稀)
坂道たちの同級生。
映画「弱虫ペダル」の感想
映画「弱虫ペダル」の感想です。大人気漫画の実写化ということでどうなるかと思っていましたが、いざ観てみると、意外と面白かったです。
単なるアイドル映画ではない本格派
実は、私は漫画は読んだことがないんですけれども(すいません)、アニメの「弱虫ペダル」には一時期めちゃくちゃハマっていまして。
正直、よくあるアイドル映画かなと思っていたんですよね。
本当に申し訳ない。
いや、だってパッと冴えないのが坂道の売りみたいなとこあるでしょ? 友達が少なくて、たまに挙動不審で、クラスにひとりかふたりはいそう……みたいなのが坂道だったじゃん! と。
それが、綺麗な顔をした(褒め言葉)アイドルが主役だというんですから、そりゃあ「期待せんとこ……」となるわけで。
それがどうだ。
永瀬廉さんってこんな役もできるの? とおったまげです。
あんなにちゃんとアイドルしている人なのに、絶妙に冴えないオーラが出ている。若干猫背気味で、俯きがち。人と(特に女の子)と目を合わせて喋れない感じ。
完璧な演技に痺れました。
もうあれは小野田坂道でした。
リアルでないのもまた一興
まあね、ロードレースに挑む選手というのを考えたら、足が細すぎるなとか、一部を除きみんなひょろひょろしすぎだなとか、いろいろあるんですよ。
でも、これはそもそもキャラによっては原作でもそうなので、ある意味忠実と言えるでしょう。
そこを突っ込みだしたらキリがない。
というか、原作漫画の実写化という点においては、むしろ忠実で素晴らしいとさえ言えます。
と思ったらリアルな部分
「リアルじゃないのが逆にリアル」と先述しましたが、実はリアルな部分もあります。
それはレースの展開。
といっても、まあ、初心者である坂道が初っ端からレギュラーメンバーに選ばれている時点で、リアルもなにもないんですけれども。
レースの内容が一部リアルになっていたなと感じました。
改変された部分はあったものの、個人的には、これはこれで好きでした。
総北にのみ焦点を当てたレース
原作だと、坂道らが一年生時のインターハイ県予選は三年生の3名(金城、田所、巻島)しか出ていないことになっていますよね。
で、坂道たちが活躍するのはインターハイ本選からでした。
ところが、こちらの実写版映画では、インターハイ県予選がメインとなって描かれています。漫画やアニメのインターハイ本選の内容をそのまま県予選に移したような感じです。
なるほどなと感心したのも、このあたり。
インターハイ本選をメインにするとなると、今度は他県のライバル校(箱学や京伏)も出さなければいけなくなる。
登場人物がとんでもない数になるし、数々の名シーンのうちどれを取り上げるかというのも問題だし……これらを2時間程度でまとめるのは到底無理な話でしょう。
「弱虫ペダル」のキャラって、敵、味方かかわらず総じて個性豊かですしね。ちなみに、私は巻島先輩と藤堂さん、荒北さんが好きです。特に荒北さんが坂道を「不思議ちゃん」とか「小野田ちゃん」とかって呼ぶたびに、キュンキュンしています。金城さんの「本当にコイツ高校生か……!?」という貫禄も好きですね。
と、まあ、それはともかくとして。こうして舞台を不自然にならない程度に変えることで、インターハイの県予選ということにしておけば、ある程度自由に改変できるわけです。
このへんが、改変はあっても改悪にはならなかった理由かなと思っています。
ギャグシーンが少なかったのも◎
漫画やアニメにあったギャグシーンの数々。
それらが実写版ではうまい具合に削られている印象でした。
拍手。
ギャグ(ジョーク)のありなしに対する好みは、完全に人によって分かれると思うんですけれども、私はどちらかといえばあり派。
ただ、漫画やアニメのギャグシーンって結構わざとらしいことが多くないですか?
漫画やアニメだったらそれも面白いんだけれども、実写版にすると大袈裟というか、「今、ここですよ! 笑い時ですよ!」と言われている感じがして、個人的には白けてしまうことが間々あります。
なので、原作にあったギャグやジョークを無理に入れ込まなかったのも、ある意味正解かなと感じました。
細部まで再現されている演技
もう一つ驚いたのが、ロードバイクに乗るときの姿勢や漕ぎ方が、漫画やアニメのキャラに非常に忠実だったこと。
坂道の腕を上げて、前のめりにペダルを漕ぐあたりとか。まあ、流石に巻島先輩のグネグネした乗り方までは無理だっただろうけど……。
たぶん、監督にもこだわりがあって、キャストの方々も頑張って練習したんだろうなと勝手に想像しております。
小野田坂道を演じた永野廉さん曰く、
「原作ファンの方がたくさんいらっしゃって、その上での実写化ですから、原作ファンの方々を大切にしながら取り組んでいきたいと思いました。1番分かりやすく坂道くんに近付くために、外見を寄せて、それから漫画やアニメを見て、キャラクターを自分の中でかみくだいていきました。不可欠な部分は残しつつ、三木(康一郎)監督からは『自分が思う小野田坂道を演じてほしい』と言われたので、僕の解釈した“小野田坂道”を演じています。作品に対しては、レースの熱や疾走感を失わせたくないという思いがありました。でも、自転車に乗りながらお芝居をするなんて、なかなかありません。本当に、現場に行かないといろいろなことが分からない状況ではありました」
(引用元:映画.com – 永瀬廉「弱虫ペダル」で超えてみせた“己の限界” 過酷な自転車レースに宿る熱と疾走感)
とのこと。
永瀬廉さんは「自分の思う小野田坂道」を演じたとあるけれども、完全に解釈一致です。
映画「弱虫ペダル」が好きな人におすすめの作品
映画「弱虫ペダル」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- るろうに剣心(2012)
- 鋼の錬金術師(2017)
まとめ:原作(アニメ)ファンでも楽しめる展開
原作(アニメ)ファンだと、どうしても厳しい目で見てしまいがちですが、想像以上の展開で面白く観ることができました。
ただのアイドル映画と思うことなかれ。
かなり本格的な作品に仕上がっていましたよ。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER -% AUDIENCE SCORE -%
IMDb
6.4/10