
時をかける少女
「時をかける少女」の感想です。
映画「サマーウォーズ」(2009)や「バケモノの子」(2015)、「おおかみこどもの雨と雪」(2012)、「竜とそばかすの姫」(2021)などを手掛けた細田守監督によるアニメ映画。
個人的には、細田守監督の映画としてはかなり好きなほうに入る作品でした。ただ、昔に観た時に比べて「ん?」と思うカ所もあったので、映画ってやっぱり観る年齢やその時の気分によって感想が変わるものですね。
本記事は2025年12月24日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
全力疾走してタイムリープ、は便利だけどうまく使いこなせないのもご愛嬌。
作品情報
あらすじ
医学部志望の津田功介と転校生の間宮千昭という2人の友人と遊び仲間として親しく付き合っていた紺野真琴。ある日、偶然立ち入った理科準備室で人影を見つけ、転倒。その直後から真琴の体に異変が起こった。タイムリープができるようになっていたのである。良い成績を取ったりカラオケで好きなだけ歌い続けたりと、この能力を好きなように使う真琴だが――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
紺野真琴
(声:仲里依紗)
高校2年生。放課後には功介と千昭とキャッチボールやカラオケをして遊んでいる。明るく素直な性格。
津田功介
(声:板倉光隆)
高校2年生。医学部志望の優等生で、真琴とは中学生からの仲。
間宮千昭
(声:石田卓也)
高校2年生。この春に転入してきた転校生で、真琴と巧介の遊び仲間。
芳山和子
(声:原沙知絵)
真琴の叔母。博物館で絵画の修復をしている。真琴曰く「魔女おばさん」。
映画「時をかける少女」の感想
映画「時をかける少女」の感想です。初めて観た時のほうが純粋に楽しめたなと複雑な気持ちになった映画。大人になるってつらい(?)。
細田守監督作品
本作は、映画「サマーウォーズ」(2009)や「おおかみこどもの雨と雪」(2012)、「バケモノの子」(2015)、「竜とそばかすの姫」(2021)同様細田守監督作品のひとつ。
個人的に「おおかみこどもの雨と雪」と「竜とそばかすの姫」はちょっぴり、いやだいぶ苦手な部類に入るものでして、ちょっと身構えていたりしたんですけれども。
まあ、どちらかと言えば「サマーウォーズ」寄りで悪くはない。
実は、本作を初めて観たのは結構前で、その時は「めちゃくちゃ面白いじゃん!」と思ったはずが、地上波で放送されるにあたって改めて観たところ「あの時ほどの面白さがない……」とがっかり。なんか、あれですね。たぶんなんですけど、大人になって心が荒んだというか、人の嫌なところがより目につくようになってしまったのかもしれない。悲しい。
一生懸命なのは良いところでもあり
その「嫌なところ」ですけれども、真琴のね、一生懸命さって良いところでもあり悪いところでもあるなと思うんですよ。長所と短所は紙一重。まさに言いようによってという感じ。
劇中、巧介のことを好きな女の子(後輩)がいて、その子と巧介を仲良くさせようと真琴が頑張るシーンとか、昔は「良い奴」と感じた気がするのに、今見てみるとだいぶイライラする(笑)。あれは良くない仲介の仕方だよと。
そもそも、人の恋路はそっとしておきなはれ、という感じですね。自分を取り巻く恋愛模様さえ対処できていないのに、他人様のことに口出すだなんて図々しすぎるんだな。
原作の20年後
ちなみに、本作は原作「時をかける少女」の20年後という設定らしい。原作のほうは未履修だけれど、チャンスがあればやっぱり読んでおくべきだよなと感じています。
原作小説での主人公は芳山和子。本作では真琴の叔母として登場しています。
真琴にタイムリープのことを教えてくれたり、タイムリープのことを「あるある」だと言ったり、不思議な雰囲気をまとった女性。
ただ、原作ではタイムリープの記憶は消されていることになっているようですし、この辺はアニメ映画オリジナル設定ということでしょうね。とはいえ、小説既読勢からすれば「芳山和子!?(興奮)」みたいなのがあったのかと思うと、ちょっとワクワクします。
男性キャラの描写が素晴らしい
もうね、本作を観て確信しました。
細田守監督が描く女性ってあまり現実的でないというか、いまいちだなと感じることが多いんですが、その一方で男性キャラがあまりに良すぎる。本作に登場する巧介も千昭もとても良かった。
まあ、この辺ももしかしたら、男性からしたら「男性キャラも別に現実的ではない」ということはあるかもしれないけど、でもやっぱり女性キャラよりは魅力的な気がしています。「バケモノの子」とか、いっそのこと女の子を抜きにしてくれれば最高に面白かったのに! とすら思いましたものね。
無理して女性キャラを入れる必要はないんですよ、と。
千昭の行動の謎
それにしても、いやしかし、個人的には千昭の行動がちょっと謎。
千昭くん、真琴ちゃんに告白したでしょ。
あれ、結局どうするつもりだったんだろう? って。ここでオチにつながる大きなネタバレはしたくないので、詳細なことは控えますが、もし真琴がここでOKしていたらどうするつもりだったのか。結構悶々としました。
真琴が「わー! 友達でいられなくなるなんて嫌だ!」とタイムリープしたから事なきを得たものの(事なきという表現も微妙ですが)。真琴がOKしたら本当に末永く付き合っていくつもりだったのかなあ。ただ気持ちを伝えるだけ、それで満足って、告白される相手からしたら割と傲慢じゃないですか?
うまく使いこなせないのが良い
また、特別な能力を持ってもうまく使いこなせないというのが良いですね、真琴ちゃんは。ドラえもんののび太くんみたいな感じ。素晴らしい能力(道具)をもらったのに、なぜそんなくだらない使い方を!? っていうやつ(笑)。
真琴の場合は、カラオケを延長し続けたり(無課金でずっと歌えるから)。テストで良い成績を取るためなんていうこともありました。あとは巧介と後輩の女の子の仲を取り持つためとか、千昭の告白を避けるためとかですね。
本来、時間を戻す必要なんてないようなところでサクッと使ってしまう。で、いざというときにめちゃくちゃ困るという。こういうのも真琴の良いところではあるんでしょうけど「そんないかにも貴重そうなもの、もっと考えて使いなさいな……」という保護者目線になってしまう(笑)。
「おおかみこどもの雨と雪」の時にも思ったけど、細田守監督の作品って「もっと若ければ純粋に楽しめたかも」「昔観た時はもっと面白かった気がする」みたいなのが多くて、もう少し早く出合いたかったなあと思うなどしました。
映画「時をかける少女」が好きな人におすすめの作品
映画「時をかける少女」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- グスコーブドリの伝記(2012)
- すずめの戸締まり(2022)
- ペンギン・ハイウェイ(2018)
- 鹿の王 ユナと約束の旅(2020)
映画「時をかける少女」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年12月24日)。レンタル作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:ツッコミどころはありつつも面白い
一部、ツッコミどころはありつつも、細田守監督作品の中では好みのタイプでした。
なんといっても、夏×青春って最高ですよね! それだけでだいぶ満足度が高い。
自分にこんな夏は訪れなかったけど(笑)、なんだかワクワクします。それってやっぱり没入感があるということだと思うし、例に漏れず映像は綺麗で、さすが細田守監督というところですね。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 87% Popcornmeter 90%
IMDb
7.6/10
Filmarks
4.0/5.0

