
TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(字幕/吹替)
「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」の感想です。
本作で監督を務めたのは、オーストラリア出身の双子Youtuberらしい。しかも初監督作品! 私の周囲では評判がまあまあ良かったので気になってはいたんですが。
これが初監督作品なのかと驚いてしまうぐらい面白かったですね。
本記事は2025年06月28日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
孤独と手をつなぐ。
作品情報
タイトル | TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー |
原題 | Talk to Me |
ジャンル | ホラー、スリラー、ヒューマン |
監督 | ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ |
上映時間 | 95分 |
製作国 | オーストラリア |
製作年 | 2022年 |
公開年(豪) | 2023年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
母親を亡くし、気が塞ぎがちな高校生のミア。父親ともぎくしゃくする中、唯一の心の拠り所は親友ジェイドとその家族だった。そんなある日、ジェイドと共にパーティーに参加したミアは「90秒憑依チャレンジ」というものに参加する。呪物の手を握り「トーク・トゥ・ミー」と唱えると、霊が憑依するというのだ。そこには90秒までというルールがあったが、実際に霊を憑依させることに成功したミアは、次第にそれにのめり込んでいく――。
主な登場人物
(敬称略)
ミア
(演:ソフィー・ワイルド)
母親を亡くし、気が塞ぎがちな高校生。親友のジェイドとその家族を心の拠り所にして生きている。が、一部からは疎ましがられている。
ジェイド
(演:アレクサンドラ・ジェンセン)
ミアの親友で、ダニエルの恋人。父親とぎくしゃくしているミアを気遣っている。
ライリー
(演:ジョー・バード)
ジェイドの弟で、ミアのことも姉同然に思っている。15歳未満ということで、姉のジェイドには「90秒憑依チャレンジ」を禁止されるものの、ミアに頼んで「50秒だけなら」と試してしまう。
ダニエル
(演:オーティス・ダンジ)
ジェイドの恋人で、ミアの元恋人。
スー
(演:ミランダ・オットー)
ジェイドとライリーの母親。パーティーや異性交遊などに厳しいところがある。
マックス
(演:マーカス・ジョンソン)
ミアの父親。ミアの母親が亡くなって以降、娘のミアとはうまくいっていない。
映画「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」の感想
映画「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」の感想です。単純なホラーではなくて、考えさせられるところもありました。すごい!
オーストラリア出身の双子Youtuber
本作の監督を務めたのは、なんとオーストラリア・アデレイド出身の双子Youtuberなんだそう。ダニー・フィリッポウとマイケル・フィリッポウ。
しかも、初監督作品でこんなものを生み出してしまうのですから、本当にすごいですよね!
評判だけは聞いていたのですが、その評判に違わずとても面白く観られました。さすが、「ミッドサマー」(2019)や「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024)などで知られるA24から声をかけられただけのことはありますね。
ちなみに、
さらに、本作の続編『Talk 2 Me』(原題)に加え、すでに『ストリートファイター』の実写映画化を手掛けることも決定しています。
(引用元:【単独インタビュー】『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ダニー&マイケル・フィリッポウ監督│Fan’s Voice)
とのこと。
本作の続編もそうですが「ス、ス、ストリートファイターの実写映画化だって!?」って感じですね(笑)。
同性に嫌われる女!
ただ、まあ、正直主人公に完全に感情移入できるかというとちょっと微妙。この辺で妙にイライラするなと感じた人も多いんじゃないでしょうか。
というのも、憑依チャレンジを一緒にした仲間(厳密には仲間でもないんだけど)が「あいつ、ベタベタしてくるんだよ」と言っていた通り、異性との距離がやっぱりおかしいんですよね。ジェイドの恋人のダニエルにも物欲しげな視線を送りまくっているし。あれ、ジェイドからしたらめっちゃ嫌だよねって。特にミアはダニエルの元カノなわけだし。
所謂、同性に嫌われる女というやつだと思う。
まあ、もちろんそれを許している男側に対しても「あんた、なんなの?」ってなるパターンがほとんどだと思うけど(笑)。
ただ、同情もできる
ただ、一部同情できるところもあって。
それは、本当の意味では誰もミアに寄り添っているように見えなかったこと。「親友だ」「家族だ」と言いながらも、表面上の付き合いという感じがしました。まあ、当然と言えば当然なんだけど。家族のように思っていても、それはやっぱり「家族のように」ということでしかないし。実の家族が優先されるのも当然のこと。
でも、もう少しうまく誰かが寄り添ってあげていれば、ミアは今ほどの孤独を感じなかったんじゃないかとも思います。あなたを心から心配していますという素振りを見せたそのそばから「悪さをするなら出禁にするわよ」と言ったりね、こういう「あなたを大事にするつもりはあります(※家族、または自分に害がないときに限り)」というわかりやすい条件付けがあると、下手に優しくされる分、余計に孤独感が増すのではないかなと。
自分と家族が一番。当然なんだけど。当然なんだけどー! ってなる。中途半端はやっぱり良くない。
親友、親友家族、父親。
周りに人がいても「誰にも見てもらえていない」「誰ともつながっていない」と感じているのがおそらくミア。その承認欲求が憑依チャレンジにもつながったのかなとも思います。ようやく注目されるチャンスが来た! 私を見て! って。
「Talk to me」はたぶん……
タイトルにもなっている「Talk to me」。
この「Talk to me」って、「私に(気軽に)話しかけて」とか「私に話してみて」とか、そういう意味にもなるフレーズなんですよね。なので、これってきっとミアが一番欲していた言葉なんじゃないかなと思います。
簡単なようでいて、実は誰もこの言葉をミアにかけてあげなかった。「なんでも聞くよ」「話してみて」って。
ただ、こういうシリアスな話題って結構難しいなと思っていて。タイミングによっては「なに、急に?(笑)」ってなるし。親しい仲の相手でも、重い話題を切り出すのって意外と勇気がいることですよね。自分も親しい友人はいますが、じゃあシリアスな話題をたくさんしてきたかというとそうでもない。
ミアはそういう相手を求めていたんじゃないかな。
それに一番近い位置にいたのがジェイドだったから、変に依存してしまった。依存がすべて悪いものではないと思うんですが、ミアの場合は悪い方向に作用してしまいましたね。自らの孤独を強めてしまうという。
母親というもの(対比)
ちなみに、ジェイドの母親は妙に気持ち悪かったですね(笑)。
なにあれ? って感じですよ。「パーティーやるんでしょ」って思い込みが激しすぎるし、違うと何度も否定されているのに、「パーティーやるなら……」と改めて釘を刺す。そのうえ、娘がいる前で彼氏に対して「いかがわしいことをするなよ」とかなり直接的な言い回しで伝えるという。
こんな母親嫌だよ……なんて思いましたが、逆に言うと、今の若者たちはこれぐらい心配しないといけないということなのかもしれない。実際、憑依チャレンジをやっているあのシーンは、ドラッグパーティーのメタファーみたいですしね。
それに、このジェイドの母親は、精神的なもので追い詰められ、結果的に娘を置いてこの世を去ることにしたミアの母親との良い対比になっているとも感じました。ジェイドの母親は「そんなに子どもたちに過保護にならんでも……」と思う部分もあったけど、それこそがミアの求めていたものだったのかなあ。
面白かった!
映画「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」が好きな人におすすめの作品
映画「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ザ・リング(2002)
- BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ(2022)
- ザ・ウォッチャーズ(2024)
- 胸騒ぎ(2022)
まとめ:いろいろ考えさせられる
単なるホラーではなく、「孤独とは」とか「誰かとつながるということは」とか、いろいろ考えさせられる内容でした。憑依チャレンジも「今から大変なことが起きるぞ!」という時なのに、みんなしてスマホを向けているのが今っぽくもあり、少し寂しくもありました。
記録に残すのも良いけど、カメラ越しの世界ばかりになってしまったら悲しいよなって。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 94% Popcornmeter 83%
IMDb
7.1/10
Filmarks
3.7/5.0