
異端者の家
映画「異端者の家」の感想です。
ヒュー・グラント主演のホラー映画(スリラー要素あり)。
映画「コンパニオン」(2025)で主演を務めていたソフィー・サッチャーも出演していました。異端者同士のディベートバトル! という感じで、かなり楽しめました。めちゃくちゃ集中して観てしまった。

映画「異端者の家」の見どころは……
- 宗教の矛盾を突く宗教問答。
- ヒュー・グラントの圧倒的存在感。
- 宗教に対するシンプルな答え。
本記事は2026年02月21日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
| タイトル | 異端者の家 |
| 原題 | Heretic |
| ジャンル | ホラー、スリラー |
| 監督 | スコット・ベック、ブライアン・ウッズ |
| 上映時間 | 111分 |
| 製作国 | アメリカ、カナダ |
| 製作年 | 2024年 |
| 公開年(米) | 2024年 |
| レイティング | R15+ |
| 好きレベル | ★★★★☆ |
あらすじ
末日聖徒イエス・キリスト教会の布教活動のため、とある家を訪れたシスター・バーンズとシスター・パクストン。家の主であるミスター・リードは、妻も在宅中だと言って2人を招き入れる。2人が席に着き、布教を始めたところで、リードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開し始めた。次第に不穏な空気が流れ始める。不安を覚えた2人は理由をつけて帰ろうとするが、玄関の扉は施錠されていて開かなかった。仕方なく、リードに帰してもらえるよう頼みに行くが――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ミスター・リード
(演:ヒュー・グラント)
シスター・バーンズとシスター・パクストンが訪ねた家の主。布教活動に勤しむ2人に対し「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開する。
シスター・バーンズ
(演:ソフィー・サッチャー)
シスター・パクストンと共に布教活動を行っている。揺るぎない信念を持っており、シスター・パクストンを引っ張っていく。
シスター・パクストン
(演:クロエ・イースト)
シスター・バーンズと共に布教活動に専念しているが、今のところ勧誘が成功したことはない。
映画「異端者の家」の感想
映画「異端者の家」の感想です。異端者VS異端者といった構図で、なかなか珍しい設定だなと思いました。みーんな異端者!
異端者VS異端者
前情報を一切仕入れずに観たんですけど、ジャケットの画的に、ヒュー・グラント演じる何者かが異端者なのだと思っていたんですよね。実際、ヒュー・グラントは異端者で間違いありませんでしたし。
ただ、じゃあ、家に招かれる女性2人がどうなのかというと、こちらもたぶん異端者寄り。
というのも、彼女たちは「末日聖徒イエス・キリスト教会」、通称「モルモン教」の布教活動をしている人たち。私は宗教に明るくないので、「末日聖徒イエス・キリスト教会」という言葉自体知りませんでしたし、「モルモン教」という言葉は耳にしたことがあっても、それがキリスト教一派を名乗っているだとかはやっぱり知りませんでした。宗教に関しては、正直、この程度の認識。
……なんですが、この末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)は、宗教界の中でも異端と言われているそう。
つまり、本作はヒュー・グラント(異端者)VSモルモン教を信仰する2人(異端者)という構図だったのだ! というわけですね。そりゃあ、あれだ。異端者の家だ。
共感を呼ぶ異端者の問いかけ
これ、面白いのは、序盤のリードには「いいぞ、もっとやれ!」と思ってしまう部分があるところ。
宗教の勧誘に良い思い出がある人のほうが(おそらく)少ないでしょうからね。設定からして、最初からパクストンとバーンズに共感できるようにはなっていない。
そこで、リードは「一夫多妻制についてどう思うか」と2人の女性に問いかけます。モルモン教の創設者ジョセフ・スミスは一夫多妻制を取り入れていたけれど、時代の変化と共に、一夫多妻が醜聞になるようになったら、教会はそれを取り消した。結局は、自分たちの都合でいかようにもしているのではないかと。
言葉に詰まりながらも、バーンズは「醜聞とかは関係なく、昔は必要だったけど今はそうじゃなくなったから、やめただけ」と答えますが、表情を見る限り自分でもちょっと苦しいと思っていそう。パクストンも。
ボードゲームのモノポリーを例に、ユダヤ教はオリジナルver.、キリスト教は一番人気ver.、イスラム教は二番人気ver.と説明されていて、そのあとにモルモン教はスピンオフver.だ! と言われていたのは少し笑ってしまいましたが。
宗教の矛盾をどう解釈し、説明するのかと質問攻めするリードは、この時点では明らかに「私たち側」なんですよね。もう一度言いますが、この時点では。
冒頭からよく練られた会話
ちなみに、本作はいきなり卑猥な会話から始まるのですが(!?)。
その中に「マグナム・コン○ームは、『マグナム』と言っているだけで実は普通サイズと同じ大きさらしい」というものがあって(笑)。私たちはこの会話にまず「なんの話!?」となるわけですが、実はこれがこの物語の核だったりします。
それに気がついたとき、ようできた話やわ……って思いましたよね。
要は、人は信じたいものを信じるということ。マグナムと書かれていて、それを信じたなら、実際のサイズは関係なくそれはもうマグナムなのです。……いややっぱりなんの話?
でも、序盤「いいぞ、もっとやれ!」なリードも、この点をバーンズに指摘されていました。簡単に言うと、見たいものしか見ていない、的な。
パクストンとバーンズ
そして、パクストンとバーンズ。
この2人のシスターもまた異なる境遇のもと育っていて、パクストンは親がモルモン教徒である、いわゆる宗教二世というやつ。対するバーンズは、ルー・ゲリック病(ALS)で父親を亡くし、のちのち会員になったみたいなことを語っていました。
生まれながらの会員であるパクストンは勧誘に成功したことがなく、バーンズは8、9人ぐらいに布教できたことがあるというのも、皮肉ではありますが、なるほどなと思わされるところでもありました。リードとのディベートでも、バーンズのほうが率先して答えていましたしね。
パクストンからしたら「考えたこともなかった!」ということかな。自分で選んで入ったバーンズだからこそ、相手に説明する言葉を持っていたというのはあると思う。
パクストン覚醒!
なお、途中でパクストンが覚醒します。
それまではバーンズの言うとおりに過ごすだけだったのに、自分で考えるようになる。だからといって、突然フィジカルが強くなるだとか、圧倒的知識でディベートに勝つだとか、そういうわけではないのですけど。そもそも本作の核になっているのは宗教なので。
ただ、
祈りは効かない。でも、互いのために祈るのは美しい。たとえ何も生まないと分かっていても。
パクストンがこれを口にすることには大きな意味があったと思います。
祈りは効かないとわかっている。効果がない。でも、祈る。誰かのために祈ることに意味があり、それ自体が美しいものなのだと。
あれこれ説明されるより、ずっと納得感のある答えでした。
マウント大好きおじさん
それから、若い女性2人に宗教マウントを取り出すリード氏を演じたヒュー・グラント。
素晴らしい演技でしたね。
絶妙に気持ち悪い。映画「ラブリーボーン」(2009)の変態おじさんを見たときと同じような感覚になりました。ゾワッとするというか。本能的に「逃げなきゃ!」と思わせる不気味さがある。し、海外で暮らしていると、稀に(本当に稀に)ああいうなんかやばそうな奴に出会うことがあって、そのときのことを思い出しました。
仕草とか、妙なジョークを挟んでくる感じとか、視線の持って行き方とか、すべてにおいてパーフェクトでした。さすがだわ、ヒュー・グラント。
ちょっと、けっこうしっかり嫌な気持ちになったので「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」(2023)のウンパルンパでも見て癒やされてこようと思います。
映画「異端者の家」が好きな人におすすめの作品
映画「異端者の家」が好きな人におすすめの作品です。
- パンズ・ラビリンス(2006)
- ザ・ウォード/監禁病棟(2010)
- オオカミの家(2018)
- 胸騒ぎ(2022)
映画「異端者の家」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年02月21日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:宗教問答は難しい
正直、宗教に明るくない私としては、宗教問答自体はやや難解だなという印象でした。
なので「あ、なんか矛盾突いてるわー」「お、言い返した」ぐらいの認識で観ましたね(笑)。それでも問題はなかったけど、やっぱりもうちょっと宗教について知っていればなと思わないでもない。
あとは、ヒュー・グラントの絶妙に不穏な演技が素晴らしかったです。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 90% Popcornmeter 76%
IMDb
7.0/10
Filmarks
3.6/5.0

