
Flow
「Flow」の感想です。
公開当初、話題になっていたのは知っていたんですが、なんとなく見そびれていた作品。配信に来ましたので、やっと鑑賞できました!
私は好き! セリフがないので人は選ぶかもしれないけど。
本記事は2025年07月24日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
大洪水の世界を旅して――。
作品情報
タイトル | Flow |
原題 | Straume |
ジャンル | アニメーション、ヒューマン |
監督 | ギンツ・ジルバロディス |
上映時間 | 85分 |
製作国 | ラトビア、フランス、ベルギー |
製作年 | 2024年 |
公開年(良) | 2024年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
そこは大洪水に襲われた世界。一匹の黒猫の冒険が始まる――。
主な登場人物
(敬称略)
黒猫
(声:なし)
大洪水に襲われた世界で冒険をする黒猫。
映画「Flow」の感想
映画「Flow」の感想です。とにかく黒猫ちゃんたちがキュート! と言いつつ、めっちゃハラハラドキドキしました。
セリフ一切なしのアニメーション映画
本作を手掛けたのは、ラトビア出身のギンツ・ジルバロディス監督。以前感想記事を書いた「Away」(2019)を作った人ですね。
「Away」を観た時点でこの「Flow」は未見だったんですが、絵柄なんかを見て「どこかで見たことあるな?」と思ったら、公開当初話題になっていた「Flow」の黒猫ちゃんが記憶に残っていたみたい。配信されることになって「これは観ておかなきゃ!」と思ったわけですけれど。
個人的には、非常に抽象的な印象のあった「Away」よりも本作のほうが好みでした。まあ、本作もなかなかに抽象的でしたが(笑)。やっぱ黒猫ちゃんパワーですかね。可愛いは正義みたいなとこありますし。
映像がレベルUP!
そして、「Away」の時よりも格段に映像のクオリティーがUPしていました。これは本当にすごい。ちなみに、「Away」は、ジルロバディス監督が3年半もの年月をかけてたったひとりで作り上げたものらしいですが、こちらは他の人たちと一緒に作ったみたい(といっても、見た感じ普通の映画に比べると人数はずっと少なそうだった)。
これは、
デビュー作の『Away』はMayaを使用して全編ひとりで長編映画を作り上げ、話題を集めた。その後、本作の制作が決まり、2019年にBlenderへの移行を決断した。
(引用元:全編Blenderで制作された3DCGアニメーション映画 映画『Flow』制作の舞台裏|VIDEO SALON.web)
とのこと。ちょっと映像制作にはあまり詳しくないもので軽く調べてみたところ、この「Blender」は無料で使用できる3DCG制作ツールなんですってね! お金をかけて作ったザ・海外のアニメーションと並べても遜色ない感じの仕上がりなのに、まさかフリーソフトで作り上げたとは。
3DCGアニメーション(映画)の制作費としては異例の350万ユーロ(約5.5億円)というのも頷けます。ちょっともはやこのツールについて今気になっている。
動物たちの会話が聞こえてきそうな
主人公の黒猫ちゃんが、ワンちゃんとか鳥さんとか、他の動物たちと冒険をする様子は微笑ましくもあり、心配でもあり、妙に親心(?)をくすぐられました。なお、あれは厳密に言うと猫、犬、ヘビクイワシ、キツネザル、カピバラらしい。
カピバラさんはのんびりしている感じで、個人的に一番安心できるキャラでした。対してヘビクイワシ。いや、劇中のワシさんは非常に頼りがいがあって好きだったんですけれども、実物の写真を見て「美しい! でもなんか苦手!」ってなりました。全長も小学生の子どもぐらい(なんなら小さめの大人ぐらい)はあって、結構大きいみたい。
仲間のワシたちにゲシゲシ蹴られて可哀想なシーンがありましたが、ヘビクイワシって、獲物を捕らえるときに脚で踏み気絶させてから食べるらしく。そりゃーああなるのも仕方ないわー! と。あのシーンだけ見て「脚で攻撃するんだ……鳥なのに……」って思った自分が恥ずかしい(恥)。
この動物たちは異種族なので会話らしい会話はしないんですが、なんとなーく意思の疎通ができているような感じがあって好きでした。なんていうか、人間と動物でもたまにありますよね。ペットのワンちゃんに話しかけたら、「私の言ったこと伝わってるんじゃない!?」と思うようなドンピシャの行動をしてくれたりすること。
ああいう「わかってる感」があって、見ていて楽しかったです。
動物本来の自由さ
かと思えば、動物本来の自由さが失われていなくて、それもよかった。
特に黒猫ちゃんね。
可愛い。非常に可愛いんだけど、やっぱり自由奔放なのね! っていう行動をめっちゃする(笑)。おかげで、観ているこちらはハラハラドキドキしてしまうわけですが。
ワンちゃんはイメージ通り、人懐こくてちょっとお馬鹿さん(褒め言葉)な感じ。黒猫ちゃんがツーンとすました顔をしているのに対して、ワンちゃんは「構って! 構って!」という声が聞こえてきそうな。カピバラさんは穏やかでのんびり。ワシさんは気高く、美しく。そして、キツネザルさんは賢そう。
みんな、一緒にはいるけど合わせる気はなさそうで可愛かったです。動物って本来こうだよねって。
ただ旅をするだけだけれど
基本的に、黒猫ちゃんが水にあふれた世界を冒険するだけの映画なんだけれども、あっという間の1時間半でした。見飽きる瞬間がまったくなかった。(先述しましたが)やっぱり可愛いは正義なんだよなー!
でも、映画「Away」のテーマでもあった「生と死」が、本作の根底にもあるような気はしました。
そもそも、大洪水の世界を動物たちが船で冒険するって、それだけで「ノアの箱船」っぽいですしね。
それに乗って流されるままに進む動物たち。生きて死ぬとは、結局のところそういうものなのかもしれない。時に荒波に揉まれ、時に凪いだ水たまりを流されながら終わりに向かって進む。まあ、この部分は自己解釈ですが。
考え方は何通りもありそうで面白かったです。
映画「Flow」が好きな人におすすめの作品
映画「Flow」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 野生の島のロズ(2024)
- EO イーオー(2022)
- マルセル 靴をはいた小さな貝(2021)
まとめ:穏やかな気持ちになれる
世の中にはアニマルセラピーなるものがあるぐらいですから、やっぱり動物たちには人間ともまた違った癒やしの力があると思うんですよね。
本作も、観ているうちになんだか穏やかな気持ちになれるようでした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 97% Popcornmeter 98%
IMDb
7.9/10
Filmarks
3.9/5.0