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映画「ファンタスティック・プラネット」あらすじ・感想|不気味だけどそれが良い!シュールな世界観にハマる

アニメーション

ファンタスティック・プラネット (字幕版)

独創性のあるSFアニメーション「ファンタスティック・プラネット」。

基本的にはずっと同じテンションで進んでいく物語ですが、テンポが良く、飽きることはありません。なかなか思い切った内容だと思いましたね(褒め言葉)。

本記事は2024年03月に執筆されました(2024年07月更新)。すべての情報は更新時点のものです。

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ワンフレーズ紹介

気持ち悪いのに、なんか既視感。

作品情報

タイトルファンタスティック・プラネット
原題La planète sauvage
原作オム族がいっぱい/ステファン・ウル著
ジャンルアニメーション、ファンタジー、SF
監督ルネ・ラルー
上映時間72分
製作国フランス、チェコ
製作年1973年
レイティングG
おすすめ度★★★★☆

あらすじ

地球とはまた違った別の惑星の上。青い肌と赤い目、巨体を持ったドラーグ族は、人類であるオム族を虐げ、あるときはペットのように扱い暮らしていた。そんな中、ドラーグ人知事の娘ティバは、ドラーグ人の子どもたちに虐められていたオム族の赤ん坊を拾い、家に持ち帰りテールと名付けた。ドラーグ族の1週間は、オム族にとっての1年に値するという。みるみるうちに成長したテールは、やがてドラーグ族とオム族の戦いに身を投じることになり――。

登場人物

(敬称略)

ティバ(声:ジェニファー・ドレイク)

ドラーグ人の知事の娘。ドラーグ人の子どもたちに虐められているテールを助け、家で飼うことにする。

(子ども)テール(声:エリック・ボーガン)

赤子の頃、ドラーグ人の子どもたちに虐められていたところをティバに拾われる。

シン(声:ジャン・トパール)

ティバの父親で、テレーズ県の知事。

(大人)テール(声:ジャン・バルモン)

殲滅されそうになっているオム族の存続を願い、戦いに身を投じる。

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映画「ファンタスティック・プラネット」の感想

映画「ファンタスティック・プラネット」の感想です。1時間ちょっとの作品なので、ちょっとした空き時間などに気軽に観られる内容となっています。

好き嫌いに分かれそうな絵柄

正直、このタイプの絵柄は好き嫌いに分かれると思います。

個人的には、もちろん好き

いかにも海外の2Dアニメって感じでいいですね。

絵柄次第というところはあるものの、最初は違和感があるなと思ってもそのうちに慣れていく(と思う)ので無問題。

切り絵的な? いや、色鉛筆的な? あるいは絵本的な? 2Dアニメスタイルが好きな人はきっと気に入るはず!

シュールで不思議な世界観

舞台は地球ではないどこかの惑星。

正確には「イガム」という惑星らしいです。

ちなみに、子どもテールを拾ってくれたティバの父親、シン氏はテレーズ県というところの知事さん。まあ、なんかちょっと偉い人程度に覚えておけば問題ないでしょう。

この作品も映画なので、もちろん起承転結らしきものはあるんですけれども、基本的には淡々と進んでいく物語です。

本当に余所の国の歴史をアニメで観ている感じ。

淡々としていて、シュールで、でもどこか不気味な世界観。

終始漂う不穏な空気感に、いつの間にか目が離せなくなっていました

立場を変えただけなのに感じる寒気

ドラーグ族(巨人)はオム族(人類)を虐げています。

でも、たぶん悪気はない

無理に(自分たちが好きな)洋服を着せたり、首輪をつけたり、エサを頭の上から振りかけたり、少々強めに撫でたり、オム人同士を戦わせたり……。

あれ、あれれ~?

これ、人間にも覚えがありませんか?

人間も、動物たちに対して似たようなことをしていないか?

ドラーグ族の人類に対する扱いにゾッとしてしまうんですが、よくよく考えたら、ドラーグ族の立場が人間になっただけで、人間も日々同じようなことをしているんですよね。

立場を変えて見ただけなのに、自分たちがオム族側だったというだけで薄気味悪く感じられる。

上位生物に人類が管理される世界。

もしかしたら、そんな惑星がどこかに存在するのかもしれないし、遠い未来に地球がそうなるのかもしれない……そんなことを想像させる余白も面白いです。

ともかく、普段は自分たちが「する側」なのに、いざ「される側」の視点に立ってみたら「こんなの酷い!」と思うなんて、人間ってめちゃくちゃ自分勝手な生き物ですよね。

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邦画にも影響を与えた作風

この作品、なんと日本の映画界ともまったくの無関係ではありません。

というのも、日本の長編アニメーション映画を代表する「風の谷のナウシカ」にも大きな影響を与えたというんですね。

宮崎駿監督はこれを見て「日本のアニメには美術が不在である」ことを痛感するとともに、『風の谷のナウシカ』の漫画(82~94)&アニメ映画(84)の美術及びクリーチャーデザインなどの構築に多大な影響をもたらした事でもあまりにも有名な作品。

(引用元:CINEMAS+ – 『ファンタスティック・プラネット』レビュー:宮崎駿『ナウシカ』にも影響を与えたSFアニメ映画のカルト名作

確かにな、と思います。

日本のアニメってすごいとは思いますが、「(芸術的に)美しい」のとはちょっと違いますもんね

考えてみれば「ファンタスティック・プラネット」と「風の谷のナウシカ」の世界観ってどこか似ているような感じがしますし、作中でも王蟲っぽいものが出てきた気もします

NOTエンタメ

ただ内容を楽しむエンタメ作品というより、芸術性とメッセージ性が強い内容だなと感じました。

全編フランス語というのがまた、どこかアンニュイな雰囲気を漂わせることになっているんですよね。純粋に美しいと感じる。

不気味さと美しさって、見ようによっては紙一重な感じがします。

これを70年代に作ったのかと考えたら、なんかすごいものを見てしまった……! という感想になるのも当然のことかもしれませんね。

弱肉強食の世界

本作においてはドラーグ族(巨人)とオム族(人類)の対立みたいなことになっていますが、これって弱い者は強い者に虐げられがちだということ。

つまり弱肉強食の世界ですね。

強い者は弱い者を好きなように扱うけれど、基本的には理解するつもりがない。

だから、ドラーグ族のように、自分より下であるはずの存在に逆らわれて初めて「こいつら、もしや頭が良い(知性がある)のでは……?」「問題が大きくなる前に、問答無用で圧力をかけておかなければ!」みたいな考えになるんでしょう。

人間社会で起こる虐めなんかも、このような感じなのかなと思いました。

虐めっ子は虐められっ子に対して「自分とは違う(自分のほうが上だ)」と考えているから、そんなことができる……みたいな。あと、自分より下(だと思っている)人間が感じる痛みに対する感度が鈍い。

元気なときに観るのが◎

初見で観て思ったのは、

なんだか体調が悪くなりそう……

ということ。

いや、実際に具合が悪くなったわけじゃないですよ。

ただ、体調不良の時に観たら、さらに具合が悪くなりそうな作風だなと感じただけです。はい。なんというか、高熱が出たときの夢に出てきそう、みたいな。

そもそもがかなり鬱々した絵柄ですからね。ほら、ただでさえ気分が優れないときに、見るからに体調が悪そうな人が近くにいると「勘弁してくれ……」って気分になるじゃないですか。

あれと同じです。

まあ、そんな世界観だからこそ謎の中毒性があるんですけれども。

とにかく、気になった人は体調が良いときに観ましょうネ!

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映画「ファンタスティック・プラネット」が好きな人におすすめの作品

映画「ファンタスティック・プラネット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

まとめ:妙に中毒性のあるシュールな世界観

先述しましたが、このシュールな世界観はハマります。

妙な中毒性があります。

本作でメガホンを取ったというルネ・ラルー監督の他作品を観てみたくなること間違いなし。ストーリー自体はシンプルなので、内容がわかりやすいのも魅力のひとつです。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 91% AUDIENCE SCORE 87%
IMDb
7.7/10

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