
フライトプラン (字幕版)
「フライトプラン」の感想です。
ロベルト・シュヴェンケ監督の作品。聞いたことある名前だなあと思っていたら、「ダイバージェントNEO」(2015)と「ダイバージェントFINAL」(2016)を手掛けた監督さんでした(監督さんのお名前を覚えるのはどうにも苦手で、ごめんなさいという気持ち)。
主演は映画「羊たちの沈黙」(1991)で知られるジョディ・フォスターです。
本記事は2025年08月04日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
真実は母の愛か?それとも狂気か?
作品情報
タイトル | フライトプラン |
原題 | Flightplan |
ジャンル | サスペンス、ミステリー、アクション |
監督 | ロベルト・シュヴェンケ |
上映時間 | 98分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2005年 |
公開年(米) | 2005分 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
仕事でベルリンに滞在している際、事故で夫を亡くした航空機設計士のカイル。棺に入った夫を連れ、6歳の娘と共にアメリカに帰ることにしたカイルだったが、飛行機の中で仮眠を取ったところ、娘の姿が見えなくなってしまう。周囲にいたはずの人や客室乗務員に尋ねてみるものの、幼い少女を見たという人がひとりもいない。客室乗務員総出で捜索をしても目撃者は現れず、最後には「娘の搭乗記録がない」と言われてしまうのだった――。
主な登場人物
(敬称略)
カイル・プラット
(演:ジョディ・フォスター)
航空機設計士として働いている女性で、機内のデザインには詳しい。仕事先のベルリンに滞在している最中、夫が不慮の事故で死亡してしまう。亡き夫を連れ帰る飛行機の中で、幼い娘が行方不明になった。
ジュリア・プラット
(演:マーリーン・ローストン)
カイルの娘で、6歳。飛行機の中で行方不明になった。
ジーン・カーソン
(演:ピーター・サースガード)
連邦航空保安官の男性。娘を捜すためコックピットまで押し掛けたカイルを取り押さえた。以降、見張りも兼ねてカイルと行動を共にする。
マーカス・リッチ
(演:ショーン・ビーン)
カイルが搭乗していた飛行機の機長。夫を亡くしたというカイルに同情を見せるも、徐々に疑いの目を向けるようになる。
ステファニー
(演:ケイト・ビーハン)
客室乗務員のひとり。
フィオナ
(演:エリカ・クリステンセン)
客室乗務員のひとり。
映画「フライトプラン」の感想
映画「フライトプラン」の感想です。ジョディ・フォスターは相変わらず格好良い。ただ、ご都合主義な点がいくつか見受けられました。
ジョディ・フォスターはやっぱり格好良い
映画「羊たちの沈黙」(1991)で知られるジョディ・フォスター。くだんの映画でも若手FBI捜査官(実習生だったかな?)を演じていて格好良い女性の代名詞という感じがしていたんですが。
本作で彼女が演じた主人公カイルも国内外で活躍する航空機設計士でした。憧れますよね、こんなバリキャリ。私は今体よわよわ人間なので無理だろうなあと思いつつ、でもやっぱり強烈に惹きつけられます。
あんな飛行機はあるのか
っていうか、あんな飛行機見たことない。
まあ、どう見てもエコノミークラスじゃなさそうなので(笑)、本当に見たことがないだけなのか、それとも単なるフィクションなのかはわかりませんが。
本作鑑賞前、あらすじを知っていた段階では「飛行機で娘が行方不明? どうやったらあの中を行方不明に?」と思っていたんですが、あれは確かに行方不明になる。理解理解。あんなに広かったらねという感想。飛行機に詳しくない私では、到底想像が及びませんでした。自分で見たことがないからって、簡単に想像を放棄してはダメですね。
必死さ=ヒステリック?
本作では「母の愛」が強く描かれていた印象でしたが、個人的に、ここが結構興味深かったところでして。
娘がいなくなり、カイルは途端に不安になる。自分で捜しても見つからないから、周囲の人に「娘を見なかった?」と尋ねたり、客室乗務員に捜索を手伝ってもらったりする。けれど、「あなたの娘さんの搭乗記録がない」なんて言われちゃったものだから、愛がゆえにパニックになって機長と言い争ったりしちゃう。
もうカイルは必死なんですよ。
必死なんだけど、カイルが必死になればなるほど、娘への愛を叫べば叫ぶほど、相手からするとカイルがどんどん怪しい人物になっていってしまうという悪循環。見ているこちらとしては、第三者視点なので「ああ、そんなふうに反応したらますます怪しく見えちゃうよ。もっと冷静に、冷静に……」なんて居たたまれない気持ちになるけど、カイルからしたら「強く訴えてこの状況をどうにかしたい」としか思えないだろうし。
でも、そうしているうちに、いろいろな事実が明らかになってきて「え、これもしや本当に娘は一緒に乗っていなかったってこと……?」なんて思いだしてしまうんですよね。娘を誰も見ていない、カイルの夫は少し前に亡くなっている(棺を運ぶ途中)、夫の死以降睡眠薬と向精神薬を常用している。そんな中、娘の姿が見えないことでパニックになり「これは誘拐だ!」なんて暴力的に騒ぎ始めたら、警戒する人が出てきてもおかしくないよって。「この人、夫の死から立ち直れていないんだな」って。
もちろん、そんなのはある種薬を飲んでいる人たちへの偏見だと思うし、実際に服用していた経験がある身としては「それは関係ないよ……」と言いたくなるんですが、でもやっぱりそういう見方をする人たちがいるだろうことは容易に想像できます。
娘を守りたいという必死さが、逆に主人公を怪しく見せてしまう興味深いやり取りでした。
察しと視力の良さでちょっと盛り下がる
それから個人的に思ったのは、カイル、察しと視力が良すぎない? ってこと。
ここであまりネタバレらしいネタバレはしたくないので、何がとは言えませんが。とあるシーンで、遠くにあるものの文字を読み、瞬時に水面下で動いていた事態を把握するというあまりに有能すぎるカイル。まず、あの距離で正確に文字が読み取れるのってなかなかの視力だと思うし、そこから「もしかして裏でこんなやり取りが?」ってそこにある事情を完璧に察するのもすごすぎる。
ヒロインとヒーローを兼ね備えた人物と言えばまあそうなんだけど、現実味がなさすぎてちょっと盛り下がるシーンでもありました。「もしかしたらこんなこともあるのかも」というリアルさのある内容だったのに、突然「フィクションですからね!」と突き付けられた感じ。いわゆる、ご都合主義というやつ。
犯人への助言:効率悪そうだね、それ
まあ、そもそもサスペンスとして見ると穴がありまくりな設定ではあるんですよね。犯人たちのやり口が、あまりに偶然に頼りすぎているというか。一応、頑張って考えれば説明できなくもない気がするんだけど、だとしても「リターンに対するリスクがあまりに大きすぎる……」「効率が悪そう……」としか思えませんでした。
個人的に一番「えー?」って思ったのは、娘を誘拐するやり口のこと。誰かひとりにでも見られたら終わりな状況で、それはさすがに博打すぎるだろうと。犯人が自信家というか、堂々としていれば意外とバレないよということなんだとは思うけど、だとしても、これだけ大きな事件に対する「偶然だより」があまりにあまりすぎるという感じはしました。
主人公への助言:アラブ人に謝るべし
そもそも「いや、アラブ人に謝りなさいよ……」とは思いましたね(笑)。いくらなんでもとばっちりすぎるというか。口コミとかを見たら、そこに引っ掛かっている人はやっぱり多いみたい。
まあ、この辺は911以降、アラブ系の人たちに対する偏見が強まったことが顕著に表れてしまったということなんでしょうけれども。機内で、ふくよかな男性がアラブ人男性に厳しい言葉を向けていましたが、あれもアラブ人だからということでしょうね。
娘がいなくなってパニックになっていたからとはいえ、とんでもない喧嘩を吹っ掛け、挙句一言も謝らない主人公(と乗客たち)には「おいおい(汗)」と思ってしまいました。ここだけが不快だった。けど、逃げてはいけない現実としてあるのだろうなとも感じました。
映画「フライトプラン」が好きな人におすすめの作品
映画「フライトプラン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
まとめ:サスペンスとしてはちょっと微妙
正直、サスペンスとしてはツッコミどころが間々あって微妙でした。
ただ、格好良い女代表のジョディ・フォスターはやっぱり格好良いし、そういう意味では見ごたえばっちりでした。個人的には犯人がまあまあわかりやすかったかなあとは思いますが(笑)。
午後のロードショーとかで観たい感じ。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 37% Popcornmeter 48%
IMDb
6.3/10
Filmarks
3.3/5.0