
ショウタイムセブン
「ショウタイムセブン」。
阿部寛さん主演のサスペンス映画です。
原作である韓国映画は未見なので、本作を観た限りの感想を述べていきたいと思います。正直、個人的にはあまり刺さらない内容でした。
キャストはとても好きだったんだけど。
本記事は2025年06月02日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
際限なく生まれる承認欲求か、正義感か(それともただのサイコパス)。
作品情報
タイトル | ショウタイムセブン |
原作 | 映画「テロ、ライブ」(韓国) |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 渡辺一貴 |
上映時間 | 98分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2025年 |
公開年 | 2025年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
かつて「ショウタイム7」という人気番組のキャスターをしていた折本だが、現在は左遷され、一ラジオ番組のパーソナリティーとして活動していた。そんなある日、折本がパーソナリティーを務めるラジオ番組に、「ウスバカゲロウ」を名乗る男から一本の電話がかかってくる。「火力発電所を爆破する」と――。
主な登場人物
(敬称略)
折本眞之輔
(演:阿部寛)
ラジオ番組「トピック・トピック」のパーソナリティー。かつては人気番組「ショウタイム7」のキャスターを務めていたが、左遷されてしまった。
安積征哉
(演:竜星涼)
現在の「ショウタイム7」のキャスター。
結城千晴
(演:生見愛瑠)
安積と共に「ショウタイム7」のキャスターを務めている。
伊東さくら
(演:井川遥)
折本の元相棒。かつては折本と共に、スクープを得るために奔走していた人物。今回の爆破事件では、実際に現場まで赴き情報を伝える。
東海林剛史
(演:吉田鋼太郎)
テレビ番組「ショウタイムセブン」のプロデューサー。
映画「ショウタイムセブン」の感想
映画「ショウタイムセブン」の感想です。……たぶん、原作は面白いんじゃないかなあという印象でした。ただ、キャストは良い!(何度目?)
キャストが最高!
まず、個人的に感じた本作における最大の魅力は、なんといってもキャスティングでしたね。これが本当に素晴らしかった。内容があまり刺さらなかった分、もうこれがすべてをカバーしていた。
もうね、阿部寛さんがまずすごいんだ、これが。
犯人と電話越しに話すシーンなんて、ほぼほぼ一人演技なわけでしょう? なのに、「これは……ずっと観ていられる……」となる。格好良いんだよなあ。
また、公開直前まで秘密にされていたシークレットゲストも「ああ、いいね!」って。受話器越しの声だけじゃ誰かわからなかったけど、誰か判明した状態で改めて声を聞くと、もうそれ以外には聞こえないマジック。
不必要なキャラもいる
ただ、個人的に不必要だと思ったキャラが約一名。
……それは、「ショウタイム7」のメインキャスターのひとり結城千晴。
爆発沙汰に気を失ったかと思えば、良いところで目を覚ました途端、いらんことを口走りまくる! こういうタイプの作品だと、イラッとする人の一人や二人いるものですが、この人はもうレベルが違う(笑)。
犯人や折本だけならず、視聴者までもをイラッとさせるような言葉ばかり吐くくせに、その言葉が必要かというと、まったく、全然! 必要ないものばかりなんですよねえ。「はあ? 意味わかんない(失笑)」みたいなことを、相槌のような感じで挟むだけなので、「今、それいるぅ?」ってなる。言い方も絶妙に腹立たしいんですよね。っていうか、情報番組(ニュース?)のメインキャスターという立ち位置なのに、反応がいちいちお馬鹿さんっぽい。
あ、もちろん演者さんは悪くないのですよ! ちっとも!
……本当にあのキャラ、何?
井川遥さん演じる伊東をあの位置に置いても良かったんじゃないかなあ。
キャラ設定を作り込んでほしかった
そして、正直、登場人物たちのことがいまいちよくわからなかった。
言動が一貫していないというか、いろんなことが突然すぎて、いちいち「!?!?」ってなる。例えば、折本の後釜に座った安積とかがその代表例なんだけど。
たぶん、雰囲気から察するに、昔は折本に憧れていたけど、いろんな噂や情報を聞いていくうちに尊敬の念が失われていったという感じかな。それで、そんな折本を蹴落とすように自分が「ショウタイム7」のメインキャスターになったものだから、自覚があるのかないのか、密かに優越感を覚えていたところ、この爆弾騒ぎが起き、一部スタッフが「折本さん、折本さん!」みたいな感じになったので、「今のキャスターは俺なのに!」と嫉妬やら劣等感やらが爆発した……と。
こういう背景はなんとなく想像できるんだけど、ちょっと悔しそうにしていたところから、突然狂ったような行動をし始めたので、これはもうびっくりしちゃう。「ちょ、え、急にどした!?」って(笑)。このあたりは、もう少し段階を踏んでほしいところ。
それから、折本のことも。
この人の行動原理は、承認欲求なのか、正義感なのか、それともただのサイコパスなのか。結果として、どれにせよ「こいつ、頭おかしいな……」とはなるんだけど、ちょっとチグハグな感じがしてしまった。
さらに欲を言うなら、かつての相棒だった伊東とのエピソードも挟んでほしかったというか。相棒だったという過去を、ほとんど活かしきれていなかったなあ。そのため、伊東が折本を庇うくだりもあまり説得力が感じられなかった。残念。
コメディー要素が中途半端
個人的に、吉田鋼太郎さんの「舞台演劇か!?」っていう大袈裟なコメディーシーンは結構好きなんですが。
本作の吉田鋼太郎さんは、映画「トリック劇場版 ラストステージ」(2013)と被るものがあったね。好きです。ああいうの。
だからこそ思ってしまう。
……もっとそれを活かしてほしかった! って。
なんていうか、コメディー要素に非常に中途半端な印象を持ちました。「トリック」みたいに要所要所に散りばめられているわけでもなく、突然吉田鋼太郎さんの面白(迫真の)演技がちょろっと入るだけなので、「いったい、今のは何……?」という気分になる。先述しましたが、これも役者さんが悪いわけではないのだ。
むしろ、吉田鋼太郎さんのあの演技はもっと見たいから、序盤からちょいちょい入れておいてほしかった! そうしたら、変に浮くこともなかったんじゃないかと思いますね。
突き刺さる「あなたもそうでしょ?」
ただ、本作にはグサッと刺さるところもありました。
所詮、あなたも他人事でしょう? そうやって、人の不幸を消費してきたでしょう? って問いかけられているような。
日々、取り沙汰されるいろんなニュース。移り変わりが激しく、SNSでは(私も含め)みんな無責任に意見を言う。所詮、それは他人事だから。もっと衝撃的なニュースがあればすぐに忘れてしまえるほどの興味しかないから。
そういう意味では、この作品、すごかった。
「ね、あなたも同じでしょ? 同じだよね? 今、同じことやってたよね?」っていう圧を感じた。ラストのネタバレは極力控えたいので、明確なことは書きませんが、あの瞬間、我々は視聴者のひとりになっていた。「あなたも今、問われていますよ」って。
……怖いねえ。
映画「ショウタイムセブン」が好きな人におすすめの作品
映画「ショウタイムセブン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 22年目の告白―私が殺人犯です―(2017)
- 新幹線大爆破(2025)
- テロ、ライブ(2013)
まとめ:全体的に惜しい……
全体的に「惜しい!」が続いた作品でした。
個人的に、韓国映画のサスペンスは割と好きなので、そちらのほうを観てみたい気もする。
ただ、キャストはとても良い。シークレットゲストも「おおっ!」って感じでしたしね。なにより阿部寛さんが最高すぎます。もう本当、ずっと見ていられる。
日々流れるニュースとの向き合い方を、今一度考えさせられました。
Rotten Tomatoes
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IMDb
5.8/10
Filmarks
3.3/5.0