先日の記事で紹介した「54字の物語 参」。>>>短編集「54字の物語 参(氏田雄介編著/武田侑大絵)」みんなでつくる作品?想像膨らむ54字の物語
「参」とあることからもわかるとおり、シリーズものです。
本記事では、「参」に続く「54字の物語 史(=歴史)」を紹介します。
あらすじ
はじめに
たった54文字で作るストーリー。それが「54字の物語」。シリーズ第4巻となる『54字の物語 史』では、日本史における重要な出来事や人物に、空想を織り交ぜた90編の物語を収録しています。1~3巻と同じように物語として楽しめるだけでなく、日本史の勉強にも役立つ本です。ところで、「どうして歴史を勉強しなくちゃいけないんだろう?」と思ったことはありませんか? 「過去の出来事なのに」「将来使わない」など、意見はさまざまあるかもしれませんが、じつは歴史を学ぶことは、私たちの生きる今や未来を考えるのに重要なのです。
過去から学んだことを、現在に活かすこともできるはず。「どうして歴史を勉強するの?」という疑問だって、日本の長い歴史の中で過去何人もが考え、それぞれ答えを出してきたことでしょう。(引用元:「54字の物語 史」はじめに P003)
こんな人におすすめ!
- 歴史が苦手……
- いや、逆に歴史が大好き!
- 試験勉強としての歴史は苦手だけど、雑学には興味ある!
- 物書きになる練習がしたい
「54字の物語 史」を読んだ感想
「意味がわかるとゾッとする」がテーマだった「54字の物語 参」に対して、「日本史」をテーマに据え置いた「54字の物語 史」。歴史に興味がある人もない人も、すべからく楽しめる一冊となっています。
【1】歴史の勉強に最適
歴史の教科書を読みこんだりノートを整理したりするだけではなかなか歴史に興味が持てない。そんな経験がある人は多いのではないでしょうか?
でも、必修科目として勉強しなければならない。
そんな義務感が生じればなおさら、苦手意識が強くなるというものです。
「54字の物語 史」には歴史をテーマにさまざまな物語が収録されていますが、文字どおり、物語としての色が強いのであまり勉強をしている感覚にはなりません。ゆえに、読んでいるだけで自然と日本史の知識が身に付くんですね。
たとえば、
平清盛によって栄華を誇る平家。「平家でなければ人ではない」とまで言われているらしいが、ドウシテワカッタンダ?
(引用元:「54字の物語 史」P059)
こんな話。
ど、どういうこと……? というあなた。
そこは、想像力を働かせてくださいね!
「平家にあらずんば人にあらず(=平家でなければ人ではない)」とは平家が栄華を誇った時代の有名な文言ですが、そこに「ドウシテワカッタンダ?」。つまり、本当に人でない“モノ”が混じっていたということです。
そして、次のページには平清盛の解説が。何をして、どんな人だったのか――そして、この物語の意味は――と、物語としても十分楽しめます。
【2】古代史~近代史までを網羅
長い長い日本の歴史ですが、本書は一冊で古代史(縄文)~近代史(令和)までを網羅しているのが特徴です。
もちろんすべて事細かにというわけにはいかないので、おおまかな流れに沿っているだけ。とはいえ、歴史が苦手な人にとっては興味のきっかけになること間違いなしです。
興味を持つ ⇒ 自ら勉強したくなる
こんな素敵な連鎖を作り出してくれます。
【3】ちょこちょこ雑学混じりで面白い
人名や出来事、年号を単に暗記しようと思うと、それこそ勉強が作業になってしまって、億劫に感じられるもの。ところが、本書の場合、至るところに雑学が散りばめられているので楽しく読むことができます。
たとえば、こんな感じ。
「もう若くないから、最近の流行りの歌にはついていけないなあ」そうぼやく先輩のお気に入りは『万葉集』だそうだ。
(引用元:「54字の物語 史」P041)
「歌=万葉集に掲載されている詩」ということですが、解説の一部にこうあります。
「万」葉集という名前ですが、歌の数は約4500首。感情をストレートに力強く表現した歌が多いのも特徴です。
(引用元:「54字の物語 史」P042)
歴史に興味が持てないなら、雑学から入ってみるのもアリですよ。
【4】物書きのアイデア出し練習にもうってつけ!
「54字の物語 参」の巻末では「文字数の調整の仕方」が解説されていると書きました。それでは「54字の物語 史」ではどうなのかというと――。
「不正解を考えることで物語(アイデア)を捻出する方法」
これについて丁寧に説明されています。
Twitterやブログ執筆に、というより、物書き全般に使えるテクニックのひとつですね。物書きをはじめると必ずと言っていいほどぶち当たる「アイデアが出てこない」という壁を突き破りたい人は、ぜひ一度読んでみることをおすすめします。
54字で試験勉強にもお役立ち!
たった54字の中に収められた史実に基づいたストーリー。
ただの物語として、あるいは歴史の試験勉強として楽しめるものばかりです。
歴史の教科書で勉強するのはなんだか味気ないし、興味が持てない。歴史は好きだけれど、雑学のほうがもっと好き。文字を追うだけの試験勉強に飽きてしまった。物を書くことに興味がある。
幅広い目的に合わせて使える便利な一冊となっています。
※本記事の情報は2020年11月時点のものです。