映画「ダイバージェント」(2014)、「ダイバージェントNEO」(2015)、「ダイバージェントFINAL」(2016)で知られるテオ・ジェームズ主演の作品です。
一応、ディザスター・ムービーという位置付けだと思うんですが、どちらかと言うとロードムービーで、さらにテオ・ジェームス演じるウィルの成長物語という感じでした。
本記事は2025年05月01日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
――お義父さん、娘さんを僕にください!でも、その前に……。
作品情報
タイトル | すべての終わり |
原題 | How It Ends |
ジャンル | SF、アクション、サスペンス |
監督 | デヴィッド・M・ローゼンタール |
上映時間 | 113分 |
製作国 | アメリカ、カナダ |
製作年 | 2018年 |
公開年(米) | 2018年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
妊娠した恋人サラとの結婚許可を得るため、サムの実家があるシカゴを訪れた弁護士のトム。しかし、サムの両親との会食はうまくいかず、関係を悪化させてしまう。その後、サムと通話していたところ、突如として電話が途切れてしまう。異変を感じ、再びサムの両親のもとを訪れるトムだったが――。
主な登場人物
(敬称略)
ウィル – Will(演:テオ・ジェームズ)
弁護士。妊娠中の恋人サムの両親に結婚許可を得るため、単身シカゴへと向かう。サムとの通話中に異変を感じ、サムの父親と共にシアトルに向かうことに。
トム – Tom(演:フォレスト・ウィテカー)
元軍人で、サムの父親。気難しい性格で、ウィルとはうまくいっていない。シアトルでひとりぼっちの娘を救うため、ウィルと共にシアトルへ向かう。
サマンサ – Samantha(演:カット・グレアム)
通称「サム」。ウィルの恋人で妊娠中。ウィルとの通話中に電話が途切れて以降、音信不通。
リッキー – Ricki(演:グレイス・ドーヴ)
修理工の女性。
映画「すべての終わり」の感想
映画「すべての終わり」の感想です。何ひとつわからないけれど、トムとウィルのロードムービーだと思えば面白くないこともない映画。
いったい何がどうなって
まず始めに。
何がなんだかわからない映画。という印象でした。
これってディザスター・ムービーとしては結構珍しい始まりだと思うんですよね。ディザスター・ムービーと言ったら、例えば「ツイスター」(1996)だったら冒頭から竜巻だとわかるし、「ボルケーノ」(1997)は火山(溶岩)、「ジオストーム」(2017)なら異常気象だと、劇中で「何が起きているか」ぐらいはわかるものですよね。メカニズムまでは説明できずとも。
だけど、本作の場合、何もわからない。……え、何が起きているの? が、ずっと続く。ディザスターに関しては。たぶん熱波のようなものが襲いかかったようだけれど、いったい全体どういうことだってばよ!? ってなる。
シカゴからシアトルまでのロードムービー
そして、極めつけは「ディザスター」はあまり出てこないということ。
どちらかと言うと、ロードムービー系の作品でした。トムとウィルによるシアトルまでの道中、みたいな。たぶん、おそらく。「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024)のような雰囲気を目指したんじゃないかと思うんですけれども、そこまでのインパクトはなく。
少し物足りなく感じてしまいました。道中起きる出来事も、言うほどパニックという感じではなかったし。
ちなみに、ディザスターもののパニック具合で一番好きなのは「デイ・アフター・トゥモロー」(2004)です。なんだろう。ディザスター・ムービーの混沌とした空間って、大勢の人が出てきてこそだと思うんですよね。本作で足りなかったのは、もしかしたら人かも。
トムとウィルの成長
気難しい性格のトムと、少々短絡的で感情的な面があるウィル。
この2人は水と油です。
娘可愛さに気難しいことをトムが言えば、感情的になりやすいウィルは簡単に反発するし。元軍人で血の気が多いトムは、そんなウィルにさらに強く当たってしまう。それのループ。もうどうすりゃええねんっていうぐらい、相性が悪い2人。
ですが、そんな2人が共に長旅をすることに。
最初は絶対にうまくいくわけないと思うんですが、目的が同じであるだけに、互いに少しずつ譲歩しなければならない状況になるんですよね。これは今まで、この2人にはできていなかったことです。「サムと結婚したい」「サムをお前なんかにくれてやるものか」みたいな自己主張をするばかりで、相手の言い分は「なんか腹立つことを言われた!」程度にしか認識していなかったんじゃないのかと。
それが、共にシアトルに向かうことになって初めて、2人の距離が近付き始めます。
普段厳しい人(本作ではトム)に「よくやった」とか褒められたら、そりゃあうれしくてたまらないよねえ。状況が状況なだけに、ウィルが特別喜んでいる感じはしないけど、そういうことの積み重ねがウィルの頑なな心をひとつずつ解していったのかなと思います。トムとまともに対話ができるようになるぐらいまで。
リッキーは必要だったのか
ただ、中盤あたりから登場する女性修理工のリッキーの必要性はいまいち謎だった。
なんのために出てきたキャラだったのか。
強いて言うなら、もうひとりのウィル的な存在だったのかもしれないけれど。サムを迎えに行くために、多少手荒な真似をしなければならないこともしばしばな状況。
でも、ウィルはそもそもが弁護士で、暴力的な真似はしたくない人であるはずなんですよね。やらなきゃいけないからやった。たとえ本音では話し合いで解決したくとも。やらなきゃやられるから。自分をぶちのめすつもりで襲いかかってくる相手に「話せばわかる」が通じないことは理解できるから。
そこに現れたリッキーが明確に「嫌だ」を突きつける。リッキーはウィルの本心を語るための存在だったと考えられなくもないですね。
終盤での展開
というか、終盤の展開もちょっと謎が多かったです。
極力ネタバレは控えたいので、何がとは申しませんが。たぶん、観た人にはわかるはず。あの男の人はいったいなんだったのって。
やっぱり、全体的にもう少し説明がほしかったですね。
続編を希望したい所存
なので、ぜひ続編を希望したいところ。
物足りないというか、消化不良な感じがしてしまって、いまいちハマりきれませんでした。せっかくテオ・ジェームズが出ているというのにもったいない。
続編でこのディザスターの謎に触れてくれたら、そこでやっと本作が映えてくると思いますけれどね。
映画「すべての終わり」が好きな人におすすめの作品
映画「すべての終わり」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- グリーンランド―地球最後の2日間―(2020)
- 終わらない週末(2023)
- ノック 終末の訪問者(2023)
まとめ:SFよりロードムービー好きさんに
SF映画というより、ロードムービー好きさんにおすすめしたい作品でした。
トムとウィルの距離が近付き、徐々に互いをリスペクトし始める描写が非常に自然で良かったです。トムは血の気が多いだけで悪人ではないし、ウィルもすぐ感情的になってしまうだけで、トムを尊重しようという気持ちがないわけじゃない。
この2人の成長を見守る映画という感じがしました。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 17% Popcornmeter 17%
IMDb
5.1/10
Filmarks
2.5/5.0