私を野球につれてって [DVD]
「雨に唄えば」や「巴里のアメリカ人」など、有名なミュージカル作品に出演しているジーン・ケリー。
上記2作品と同様に、大人気の映画があります。
それは「私を野球につれてって」。
映画そのものを知らなくても、作中に登場する「Take Me Out To The Ball Game」という曲を聴いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。
作品情報
タイトル | 私を野球につれてって |
原題 | Take Me Out to the Ball Game |
ジャンル | ミュージカル、コメディー、ロマンス |
監督 | バスビー・バークレー |
上映時間 | 93分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1949年 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
あらすじ
オフシーズンには芸人として活動する野球選手のエディ・オブライエンとデニス・ライアン。ふたりが所属する球団が、新しいオーナーを迎えることになったのだが……。
登場人物
(敬称略)
エディ・オブライエン(演:ジーン・ケリー)
野球チーム「ウルブズ」に所属するスター選手。オフシーズンには、芸人としてステージに立っている。
デニス・ライアン(演:フランク・シナトラ)
野球チーム「ウルブズ」に所属するスター選手。オフシーズンには、エディと共に芸人として活動している。
K.C.ヒギンズ(演:エスター・ウィリアムズ)
球団「ウルブズ」の新オーナー。
シャーリー・デルウィン(演:ベティ・ギャレット)
球団「ウルブズ」とデニスの熱狂的なファン。たまに行き過ぎた行動をしてしまうこともあるが、すべては一途な愛情なため。
ナット・ゴールドバーグ(演:ジュールス・マンシン)
エディやデニスのチームメイト。ときに、エディたちと悪だくみをしたりもする。
ジョー・ローガン(演:エドワード・アーノルド)
賭けをしているギャングのボス。
映画「私を野球につれてって」の感想
ジーン・ケリーの代表作のひとつ「私を野球につれてって」。野球の内容というよりは、コメディーとロマンスに重きを置いた作品です。
ジーン・ケリーの良さが出ているミュージカル
ジーン・ケリーが好きな人なら絶対に好きです。
ダンスの中で見せる横移動と、スタイリッシュながらもちゃんとコミカルに見える面白い動きは、ミュージカルの長い歴史の中でも、ジーン・ケリーに並ぶ人はいないんじゃないでしょうか。
あのスッとした横の動きっていったいなんなんでしょうね。すごすぎる。
今回も、もちろんキレッキレです。タップダンスも最高。
ジーン・ケリーは自他共に認める完璧主義者らしいので、きっとあの隙のない動きも、本人の中で計算され尽くしたものなのでしょう。
注目すべきエスター・ウィリアムズの水泳
ヒロインとして登場するK.C.ヒギンズ役のエスター・ウィリアムズ。
作中で、彼女が水泳をするシーンがあるんですが。
めちゃくちゃ美しいフォームだな……!
と、思いきや、この俳優さん、どうやら実際に競泳選手として活躍していたのだとか。
15歳という若さでありながら全米大学選手権で世界記録を樹立し、一時はオリンピック出場も見込まれていたそうですが、これは戦争の影響で中止されたとか……とにかく、ガチで水泳をやっている人でした。
そりゃフォームも美しいわけです。
ミュージカル映画not野球映画
この作品は、ミュージカルを見たい人のためであって、野球映画を見たい人のためではありません。
逆に言えば「野球は打つ! 捕る! のほかに何をするの?」ぐらいの知識しかない人でも十分に楽しめます。必要な人数とかすら知らなくても大丈夫。
野球シーンは、出てくるには出てきますが、いたってシンプルなもの。野球映画だと思って見ると、ほとんど満足できないでしょう。
好き嫌いに分かれる恋愛要素
主人公であるエディ・オブライエンの相手はヒロイン、K.C.ヒギンズですが、このエディはなかなかの女たらしで軽薄な人間なので、恋愛要素があるといっても、結構人を選ぶ感じがしました。
まあ、これがね、例えば、駄目人間のヒーローがヒロインに出会ったことで真人間になり、自分を変えてくれたヒロインと恋に落ちる……みたいなストーリーだったら、わかるんですよ。
でも、この作品はあくまでミュージカルがメインだということなのか、単に時間が足りなかっただけなのか、ヒーローがヒロインに影響を受けたという描写もない。なんなら、K.C.ヒギンズはなぜエディみたいな人間を選んだのかちょっと謎(私だったら嫌だな)。
私はジーン・ケリーファンなので好きですが、ストーリー重視の人には微妙かもしれません。
恋愛以前に、友情を蔑ろにしている感じもあるしね。
完全にジーン・ケリーのステップとエスター・ウィリアムズの美しい水泳姿を拝むための作品と言っても過言ではありません。
でも、確かにジーン・ケリーの良さは出ている。また、恋愛に複雑な要素を持ち込んでいないだけに、ロマンスはかなりシンプルで見やすかったです。
映画「私を野球につれてって」が好きな人におすすめの作品
映画「私を野球につれてって」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 錨を上げて(1945)
- 巴里のアメリカ人(1951)
- ショウほど素敵な商売はない(1954)
- イースター・パレード(1948)
- 踊る大紐育(1949)
まとめ:ジーン・ケリーのステップを楽しみたい人に
賛否両論ありそうな内容ではありますが、ジーン・ケリーのダンスが好きな人にはおすすめの一作です。
野球のルールをまったく知らない人でも楽しめそうなシンプルなストーリーが◎! ジーン・ケリーに加え、フランク・シナトラとエスター・ウィリアムズなど、いまでは考えられないような豪華な顔ぶれがそろっています。