リッチー・リッチ (字幕版)
マコーレー・カルキンという名前にピンとこなくても、冬の時期になるとほとんど必ずと言っていいほどテレビ放送される映画「ホーム・アローン」の子役といったら、「ああ、あの子ね!」と大きく頷く人は多いのではないでしょうか。
映画「リッチー・リッチ」は、そんなマコーレー・カルキンが主演を務めたファミリー映画です。
作品情報
タイトル | リッチー・リッチ |
原題 | Richie Rich |
ジャンル | ファミリー |
監督 | ドナルド・ペトリ |
上映時間 | 95分 |
製作国 | アメリカ |
アメリカ公開年 | 1994年 |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
あらすじ
世界一の資産家・リッチ家の御曹司リッチーは、何不自由ない生活を送っていたものの、その生活に窮屈さを感じてもいた。そんなある日、リッチーの両親が飛行機事故に遭ったとの報せが入った。リッチ産業の重役の思惑により、会社の乗っ取りが計画されているようだが……。
登場人物
(敬称略)
リッチー・リッチ(演:マコーレー・カルキン)
主人公。世界一裕福な少年として知られている。英才教育を受け、何不自由なく育ってきたかのように見えるが、本人は窮屈さを感じているようで……。
ハーバート・キャドベリー(演:ジョナサン・ハイド)
リッチー専属の執事。どこに行くにもリッチーに付き従い、スケジュール管理などもしている。
ローレンス・ヴァンドー(演:ジョン・ラロケット)
リッチ産業の重役で、乗っ取りを企てている。
リチャード・リッチ(演:エドワード・ハーマン)
リッチーの父親で、リッチ産業の経営者。楽観的な一面もあるが、息子想い。
レジーナ・リッチ(演:クリスティーン・エバーソール)
リッチーの母親。楽観的な一面もあるが、息子想いでやるときにはやる。
キーンビーン教授(演:マイケル・マクシェイン)
リッチ産業の研究開発責任者で、年がら年中奇妙な発明ばかりしている。リッチーと共に一族の乗っ取りを阻止しようと動く。
グロリア(演:ステフィ・ラインバーグ)
リッチーの友人の少女。
ダイアン(演:マリアンジェラ・ピノ)
グロリアの母親。
映画「リッチー・リッチ」の感想
マコーレー・カルキンらしい一作。ハラハラしつつもクスッと笑ってしまう、家族一緒に楽しめる作品です。
ホーム・アローンのようなというよりホーム・アローン
マコーレー・カルキンの代表作といえば、映画「ホーム・アローン」ですが、本作はまるで「ホーム・アローン」のような……いや、もはや「ホーム・アローン」でした。大富豪版「ホーム・アローン」とでも言うべきか。
(物理的に)ひとりになった子どもが、悪い大人たちと戦うというおおよそのプロットがまったく一緒。
なので、「ホーム・アローン」が好きならきっと好きだと思います。
むしろ、「ホーム・アローン」が流行ったから、その流れに乗って似たような作品を出したんじゃないかと感じますね。
マコーレー・カルキンは「ホーム・アローン」のときに比べるとやや大人びていて、少し声変わりしつつあるのか、掠れた声になっていました。それを見て、大人たちは「成長しているねえ……!」と。
頭を空っぽにして見られる作品
コメディー作品の良いところは、難しいことを考えずとも、頭を空っぽにして楽しめることですよね。
両親が飛行機の墜落事故により生死不明の状態になり、会社の乗っ取りを企てる重役をこらしめる……という、意外と重たい内容ではあるんですが。
執事が良い感じにアホだったり、子どもたちだけでわちゃわちゃしていたりと、終始明るいテンポで進むので、悲壮感を覚えることはありません。それに「両親は死んでいない!」というのは、最初からリッチーがほぼ確信していることですしね。
問題はそこじゃない、と。
人によって変わる幸せの価値観
リッチー・リッチは世界でもっともお金を持っている少年です。
世界一の資産家の家に生まれ、豪邸で暮らし、専属の執事がいて、日々の生活で困ることはなにひとつない。超一流の教育が受けられるのも、リッチ家に生まれたからです。
でも、リッチーは、そこらへんで野球をしている普通の(なんならちょっと柄が悪い)子どもたちの仲間に入りたいと思っているんですね。
お金があるだけでは幸せとは言えない、という典型例。
まあ、なんとも贅沢な悩みといえばそうですが、お金に困らない代わりに、一日の予定を大人たちに徹底的に管理され、同年代の子どもたちと遊ぶことも許されず、本人を知らない大人たちは持て囃してくる……となれば、それを窮屈に感じてしまっても仕方がないことでしょう。
対して、野球をしていた子どもたちは、お金に困ることのないリッチーを羨ましいと思っています。
彼らはそう贅沢ができるような生活をしていないので、当然ですね。私はもちろん「有り余るほどお金があっていいなあ」ですけれど。
まあ、所詮、人はないものねだりということでしょう。隣の芝は青く見えるとも言う。
胸がキュッとなる描写
リッチーは、同年代の子どもたちと付き合ってこなかったので、友達の作り方がわかりません。でも、欲しいとは思っている。
その描写が健気で健気で、胸がキュッとなりました。
苦しい……!
リッチーはこれまで差別されたことなどなく、世界が違うということに実感が伴っていないから、声を掛ければ他の子どもたちだって仲間に入れてくれるし、仲良くしてくれると思っているんですよね。
でも、その他大勢の子どもたちからしたら「なんだなんだ、いけすかないお坊ちゃんが『一緒に遊んでくれ』だって?」という程度。執事を引き連れてくるような少年が、まさか自分たちと同じレベルで遊べるとは思っていない。
悪い意味で、世界が違うとはこういうことかと認識してしまうリッチーが可愛そうでした。それでも、邪険に扱われたことに対して文句ひとつ言わないのがまた健気で……。
親に構ってもらえない孤独感
リッチーの親は、もちろん息子のことを愛しています。
でも、基本的には執事任せで、どこか他人事というか放任気味。
幼いころから大人たちに囲まれてきただけあって、リッチーは人の顔色をうかがうのがクセになっているんでしょうね。そんな両親の姿勢をよくわかっている。
だから、些細なことで電話したりして気を引こうとするけれど、そのたびに「またあとにしてくれ」などと後回しにされて、より孤独感を深めていきます。
いくら執事が世話をしているといっても、親の愛情と執事の愛情はまったく別物ですからね。
このようなお話の性質上仕方ない部分もあるのでしょうが、リッチーの両親はひとり残してきた息子をそこまで心配していません。「大変なことになった!」とは思っていますが。
これならまだ、「息子を置いてきてしまった! 大丈夫かしら!?」と慌てている「ホーム・アローン」のほうが納得できます。主役が同じうえに、プロットまでほとんど同じとなると、どうしてもこの作品と比べてしまいますね。
名脇役のジョナサン・ハイド
リッチーの執事役を務めるのは、オーストラリア出身の俳優ジョナサン・ハイド。
映画「タイタニック」や「ジュマンジ」などの名作にも出演していた名脇役です。
この人の演技が超絶妙で素晴らしい。
リッチーのスケジュールを管理したり、あるときは一緒に授業に参加したりなど、一見真面目で完璧な執事なのに、どこか抜けたところがあったり、アホなところがあったりと、この人がいなければ「リッチー・リッチ」は成立しなかったでしょう。
おそらく作中でもっともリッチーに寄り添おうとしているのはこの人じゃないでしょうか。
厳しいことを言いながらも、リッチーが本音では友達が欲しいと願っていることを察していますしね。まあ、そこで空回りしてしまうというか、詰めが甘いのもこの人の魅力なんですが。
海外でも「もっと評価されるべき俳優だ」と言われているようです。
映画「リッチー・リッチ」が好きな人におすすめの作品
映画「リッチー・リッチ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ホーム・アローン(1990)
- ゲッティング・イーブン(1994)
- 赤ちゃんのおでかけ(1994)
- スパイキッズ(2001)
- わんぱくデニス(1993)
まとめ:ハッピーエンドなファミリー向け映画なら
リッチー・リッチ (字幕版)
ハッピーエンド確約のファミリー向け映画です。
誰も不幸になることがないので、安心して見ることができますよ。マコーレー・カルキンらしいクスッと笑える内容で、何も考えずに楽しめます。
頭を空っぽにして見たい人におすすめです。