
レディ・オア・ノット (字幕版)
「レディ・オア・ノット」。
ブラックコメディー的な、爽快感のあるスリラーでした。血が飛び交うし、めちゃくちゃ不謹慎ではある(子どもが殴られたりする)ので、人は選ぶかなと。
ただ、個人的にはめっちゃ好き。花嫁ちゃんが強いネ!
本記事は2025年05月15日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
大富豪のご子息と結婚したら、いつの間にかデスゲーム。
作品情報
タイトル | レディ・オア・ノット |
原題 | Ready or Not |
ジャンル | スリラー、コメディー、アクション |
監督 | マット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレット |
上映時間 | 95分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2019年 |
公開年(米) | 2019年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
名家の子息アレックスと結婚することになったグレース。グレースは、結婚式を挙げるため、アレックスの生家であるル・ドマス家を訪れ、アレックスの親族と顔を合わせることになっていた。アレックスからは親族について「変なところがある」とは聞かされていたものの、あまり気にしてはいなかった。しかし、結婚式の日の夜、ル・ドマス家に代々伝わる「ゲーム」が執り行われる。呆れながらも、普通の「かくれんぼ」だと思って逃げ始めるグレースだが――。
主な登場人物
(敬称略)
グレース – Grace(演:サマラ・ウィーヴィング)
結婚するにあたり、名家ル・ドマス家を訪れた花嫁。ゲームのことは聞かされていなかったが、結果的に参加することになり、とんでもないことに巻き込まれていく。
アレックス・ル・ドマス – Alex Le Domas(演:マーク・オブライエン)
グレースをル・ドマス家に連れてきた花婿。ル・ドマス家の伝統的なしきたりが嫌で、家から逃げ出した過去を持つ。今回は、グレースを一族の人間として認めてもらうため、渋々家に連れ帰ってくる。
ダニエル・ル・ドマス – Daniel Le Domas(演:アダム・ブロディ)
アレックスの兄。グレースへの同情と家族からの圧力の板挟みになる。
チャリティ・ル・ドマス – Charity Le Domas(演:エリス・レヴェスク)
ダニエルの妻。結婚前にゲームのことを聞かされていたものの、自ら進んで参加した過去を持つ。
エミリー・ル・ドマス – Emilie Le Domas(演:メラニー・スクロファーノ)
アレックスの妹。武器を扱うのが下手で、頻繁に的を外す。コメディー担当はこの人。
トニー・ル・ドマス – Tony Le Domas(演:ヘンリー・ツェーニー)
アレックスらの父親で、ル・ドマス家の現当主。
ベッキー・ル・ドマス – Becky Le Domas(演:アンディ・マクダウェル)
アレックスらの母親で、グレースのことは気に入っていた。母としての愛情が強い。
ヘレン・ル・ドマス – Helene Le Domas(演:ニッキー・グァダーニ)
アレックスらの伯母。過去に夫をゲームで失っている。
映画「レディ・オア・ノット」の感想
映画「レディ・オア・ノット」の感想です。はー、過激! なんていったって超不謹慎なので、観ているうちになぜかこちらにも不謹慎さが伝染してきます。
マーク・オブライエンが格好良すぎる
まず、マーク・オブライエンが格好良すぎました。
いえ、キャラのことは関係なくてですね、本作でのビジュアルが最高! 清潔感があって、爽やかで、正統派イケメンという感じでした。
正直、今まで完全にノーマークだったというか、さほど関心がない俳優さんだったんですが、今回でがらりと変わりましたね。ちょっと彼が出演している作品をチェックしてみようと思う。
音楽の使い方が好き
劇中で使われていた音楽も好きでした。
もう、レコードっていうのがまず良いんだよな。あの「ジジ……ジジ……」みたいな音が、不穏さを一層のこと際立てている。
そして、デスゲームという状況に似合わない陽気で明るい音楽。
映画「ザ・ハント」(2020)とかでもそうでしたが(あ、たぶん「ザ・ハント」が好きな人は、本作もきっと好き)、スリラー×場違いな音楽って情緒がぐちゃぐちゃになる感じがして良い。「ザ・ハント」の格闘シーン×クラシック音楽みたいな。
コメディー担当はエミリー氏
ちなみに、本作には(ブラック)コメディー要素も散りばめられていました。
コメディー担当を担うのは、アレックスの妹であるエミリー! もうこの人、本当にドジっ子ちゃん☆ って感じで、武器の扱いが下手くそなんです。別に使い慣れているわけじゃないので、当然と言えば当然なんですが、下手なら下手なりの扱い方ってあるじゃないですか。なのに、このエミリーちゃん、下手なのにまったく躊躇いがない。
無関係な人が死んでいくのは、基本的にこの人のせいです(笑)。
めっちゃ不謹慎なのに、そこでなぜか笑ってしまう。本人も「なんでよ!」と嘆いているので、こちらとしても「本当にな!」と。
「結婚は墓場だ」
結婚式前、アレックスが「結婚は墓場だ」みたいなことを冗談めかして言われる描写があるんですが……いや、まさか本当に墓場にしようとするとは思わないじゃん? よく言われているやつかと思うじゃん?
というか、「かくれんぼ」の可能性があるとわかっていたのだとしたら、あの言葉をどんな気持ちで言ったのか気になるところ。アレックスのように、単純に「まさか(「かくれんぼ」のカードが)出るとは思わなかった」ということなのか、超絶不謹慎なジョークだったのか。後者なら、だいぶレベル高い……。
結婚するということ
でも、結婚って、改めて考えてみると他人と家族になるということですもんね。
そうなると当然、その他人の家族とも付き合わなければならなくなる。昔に比べると、今は親戚付き合いなんかも減っているのかもしれないけど、やっぱりゼロにはできなかったりすると思いますし。
そういうちょっと億劫なことも含めて結婚(まあ、義理の家族が大好き! みたいな例が私の身近にいるので、「億劫」「面倒」と感じる人ばかりじゃないのでしょうけど)。
本作は、義理の家族になるということは、多少嫌なことや納得できないことでも、受け入れなければならないときがある。ただ、そうすることで、義理の家族に受け入れてもらえるかは別問題。と、そういうことを(かなり遠回しに!)描写しているようにも感じられました。
不謹慎さの伝染
余談ですが、この不謹慎さ、伝染します。
グレースが勇敢に戦って、武器を手に叫んだ時の「あー!」という叫び声。怒りや恐怖、いろんな感情がごちゃ混ぜになって、とにかく雄叫びを上げたという感じだったんですが、その声が震えていて、「あ、ビブラートかかってる……綺麗……」と不謹慎なことにフフッとなってしまいました。
で、そのすぐあとに「いや、グレースは本気で叫んでいるわけだから、ここで笑うのは不謹慎では?」とハッとするという。
ル・ドマス家の人々の躊躇い
そして、面白いなと感じたのは、ル・ドマス家の人々にも躊躇いの感情があること(エミリーはちょっとわからん)。
ル・ドマス家の人々のほとんどは、まず悪魔との契約自体半信半疑なんですよね。「契約を守らなかったために、誰々が死んだ」とは聞かされていても、それが本当なのかいまいちわかっていない。特に若者たちは疑いの目で見ている。だから、できれば「花嫁を仕留めるのは自分の仕事であってほしくない」という感じ(やっぱりエミリーはちょっとわからん)。
躊躇いながらも、一族の同調圧力的に「やらなきゃ」と思っている(思わされている)ように見えて、興味深かったです。他のスリラー作品とはちょっと違うなと感じたところ。
子は親(大人)の背を見て育つ
そんな大人たちの様子を見ていた子ども。
子どもは素直ですから、大人たちの行動に従います。従うというか、それが「善」である、つまりやっていいことなんだ、今やるべきことなんだと理解する。
……恐ろしいですねえ。
こういう家で育った子どもが、どんな大人になるのか。果たして世間の常識と出合ったとき、正常な感覚でいられるのか。
この家のしきたりが嫌で一度は逃げ出したアレックスも、なんだかんだで愛する花嫁を連れて戻って来てしまったわけですしね。「(「かくれんぼ」を)引き当てるとは思わなかった」と言うと、リスク管理が下手すぎるだろうと思わないでもないですが、結局は生まれ育ったこの家の伝統に、アレックスもまた囚われていたということなのかもしれません。
悪魔は何がしたかったのか
あと、この悪魔は何がしたかったのか。
本作のメインはゲームなので、まったく、全然気にしていなかったのですが、ラストにあった一瞬の演出で突然考えさせられるようになりました。
まず思ったのは「こいつ、もしや花嫁の味方か?」ということ。花嫁がいなければ、次代の人間を生み出してくれる人間もいなくなり、家が存続していくこともなくなるわけで、「契約のことばかり考えて、花嫁を蔑ろにする奴は許さん!」みたいな。命のやり取りが(たぶん)ない他のカードとは違い、「かくれんぼ」を引き当てたときのみ、ゲームを始めなければ意外と大丈夫だったんじゃないか、なんて考えました。
が、終盤の展開を考えると、やっぱり家を滅ぼすのが目的なのかしらね。
まあ、相手は悪魔だし、人間の倫理観に当て嵌めて考えること自体間違っているような気もする。でもやっぱり、気になる!
映画「レディ・オア・ノット」が好きな人におすすめの作品
映画「レディ・オア・ノット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- バイオレント・ナイト(2022)
- ティル・デス(2021)
- ザ・スイッチ(2020)
- ハウス・バウンド(2014)
まとめ:戦う花嫁ちゃんに爽快感
私だったら、一瞬でポックリ逝ってしまいそうなトンデモ状況ですが、グレースという花嫁は一歩も二歩も違います。強気に勝ちに行く!
……けれど、恐怖心がなくなったわけじゃないらしいというのも本作の魅力のひとつでした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 89% Popcornmeter 78%
IMDb
6.8/10
Filmarks
3.5/5.0