
忌怪島/きかいじま
「忌怪島/きかいじま」の感想です。
恐怖の村シリーズでお馴染み清水崇監督によるホラー映画。現実世界とVR世界で起こる怪異という設定は◎! ただ、後半は失速してしまった印象でした。
本記事は2025年11月03日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
これは現実世界か仮想世界か――。
作品情報
あらすじ
脳科学者の片岡友彦は、VR研究チームに参加するためとある島に渡ることになる。その島は「忌怪島」と言い、古い因習めいたものが色濃く残っているのだった。チームに合流した途端、挨拶もそこそこに早速研究に取りかかる友彦だったが、仮想世界の中でシステムエラーが発生。「赤い女」が出現し――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
片岡友彦
(演:西畑大吾)
天才脳科学者。VR研究チーム「シンセカイ」に招かれ、チームに合流するため忌怪島に渡る。そこで出会った環に(環の)父親の死の真相の調査を依頼される。
園田環
(演:山本美月)
長く疎遠になっていた父親の園田哲夫が亡くなったことで、遺骨を引き取りに忌怪島にやって来る。その際、友彦と出会い、父の死の真相に関する調査を依頼することに。
深澤未央
(演:生駒里奈)
VR研究チーム「シンセカイ」のプログラマー。
山本春樹
(演:平岡祐太)
VR研究チーム「シンセカイ」のプログラマーで、井出の死後は代理チーフを務めている。
北島弘治
(演:水石亜飛夢)
VR研究チーム「シンセカイ」のプログラマー。少々気が短く、感情的になりやすい一面が目立つ。
三浦葵
(演:川添野愛)
VR研究チーム「シンセカイ」のプログラマー。
井出文子
(演:伊藤歩)
VR研究チーム「シンセカイ」のチーフだったが、不審死を遂げる。
園田哲夫
(演:大場泰正)
環の疎遠になっていた父親。井出と同様に不審死を遂げる。「シンセカイ」となんらかの関係があったことが明らかになる。
新納シゲル
(演:笹野高史)
村八分にされている孤独な老人。
金城リン
(演:當真あみ)
島の中学生。村八分にされているシゲルを気に掛けている。しかし、そのことで同級生たちにいじめられている。
南トキ
(演:吉田妙子)
島のユタ。シゲルの過去についても知っている。
映画「忌怪島/きかいじま」の感想
映画「忌怪島/きかいじま」の感想です。登場人物が多い割に個性がいまいち薄く、全員は覚えきれなかった! という印象(設定的に仕方ないのかな)。
現実世界×仮想世界での怪異
現実世界×仮想世界(VR)。
この設定はなかなか良かったと思いますね。今までにない設定で、どう料理してくれるんだろう? っていうワクワク感がありました。
仮想世界と言っても「サマーウォーズ」(2009)的なあれではなくて、島全体が仮想空間になっているという感じ。なので、新しい設定にしつつ、Jホラーでありがちな閉鎖的な雰囲気はしっかり残っていて、とても興味の惹かれるあらすじでした。
この辺が絶妙な塩梅で期待度MAX! ……と、期待値が上がりすぎてしまったのが敗因か、いまいち盛り上がりきらずに終わってしまったという印象でした。
ちなみに、先述した通り、登場人物が多く名前を覚える間もなく終わってしまったという(無念)。研究チームまるごと巻き込まれる設定だから、多くなってしまうのも仕方ないことだとは思うんですが、もう少し人数を減らせたような気がしなくもない。
映像は◎!
映像も良かったですね。
しっかり怖いし(だけど怖すぎるということはない)、ジャンプスケアも良い感じ。さすが清水崇監督作品というだけのことはあります。
仮想世界であっても、まるで現実世界にいるかのような演出になっているのが良かったです。VRの世界であるというのが過剰に強調されていないというか。これがラストの展開に生きてくるんですよね。
個人的にラストは好きでした。
天才脳科学者という設定
おおむねキャスティングも良かったです。
おおむね(!)。
いまいちだなと思ったのは、主人公の友彦を演じる西畑大吾。彼自身が駄目というんじゃなくて。彼は素敵なアイドルであり、素敵な俳優さんなんですけれども。なんというか、「天才脳科学者」という肩書きが付いてしまうとあまりに若すぎるというか。
天才と称されるからには、やっぱり経験豊富な人物じゃなきゃいけないと思うんですよね。ただ人より頭が良いというだけではないと思いますし。友彦が何歳か、明確なことはわかりませんが、西畑大吾は20代後半。友彦もそれに近いものがあるでしょう。となると、科学者としてはまだこれからというところでは? というふうに感じてしまいます。
長く海外で暮らしていて、飛び級で大学を卒業したみたいな設定があれば別ですが(天才と言うぐらいだから、実際にあるのかもですが)。個人的には40~50代ぐらいの貫禄ある人にやってもらいたかったー! そっちver.も観てみたいー! ってなってます。
まあ、VRを扱う研究者なのであえて若くしたのかなとも思いますが。「天才脳科学者」という肩書きがね、違和感(そもそも友彦は自分のことを「天才」とは言っていないというのはあるけど)。
同情できる(同情しかない)怪異
ホラー映画に登場しがちな従来の霊(怪異)は、「そりゃあこの世を恨んでも仕方ないよね」っていう背景があるのが常。だったのが、近年「ミンナのウタ」(2023)のように「こいつにはまったく同情できねぇ!」みたいな霊が登場しましたね。
「ミンナのウタ」も同じく清水崇監督によるホラー。
私としては「ミンナのウタ」にもあまりハマらなかったし、霊はそういう複雑な過去があってこそのものだと思う(執着を感じるからこそ怖い)ので、この設定も微妙だなと感じた記憶があるんですけれども。でも、新しかったのは間違いないですよね。
今作では、そこからまた「この世を恨んでも仕方ないよね」な怪異に戻っていました。というか「どう考えても恨みしかないだろ!?」みたいな絶望的な過去で、怪異ながら同情してしまいましたね。やっぱりこういうタイプの怪異のほうが怖い。
中盤~終盤にかけての失速
設定や演出、雰囲気はとても良いのに、中盤~終盤にかけての失速が目立っていたような気がします。これは勝手に期待値を上げに上げてしまっていた自分が悪いというところでもありますが。
正直、ユタのトキさんがシゲルの過去を語った場面以外、あまり記憶に残らない感じでした(だから悪くもなかったんだろうけど)。設定としては斬新でも、ホラーとしてありがちな展開が連続したというか。
残るモヤモヤ
そして、そのシゲルの過去ですが。
ネタバレは極力控えたいので詳細なことは伏せますが、トキさんが語った「シゲルの母が豹変した」というの、あれ、イマジョの魂が乗り移ったということなんでしょうかね。影響を受けたとか。
ホラー映画としてあえてモヤモヤを残したほうが良いことがあるのは承知していますが、ここだけはちゃんと説明してほしかったかなという気がします。いやしかし、この辺は「とある被害を受けた人間が取る(可能性のある)行動」という感じで、非常に苦しくなりました。被害の再演的な。
映画「忌怪島/きかいじま」が好きな人におすすめの作品
映画「忌怪島/きかいじま」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
映画「忌怪島/きかいじま」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月03日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:気軽に観られるJホラー
あまり深く考えず、気軽に観られるJホラーでした。
個人的にはいまいちハマらなかった作品ですが、怖すぎるということはないので、ホラー映画が苦手な人にも観やすいライトな映画だったと思います。
一部違和感があるところを除けば、キャスティングも豪華で実力派ぞろい。良かったです。
もしかしたら小説として文字にしたら面白いタイプの内容なんじゃないかと思う。
Rotten Tomatoes
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IMDb
4.6/10
Filmarks
2.7/5.0

