
Away
「Away」の感想です。
ラトビア発の長編CGアニメーション映画。しかもセリフは一切なし! 正直、好き嫌いには分かれると思いますね。
個人的には好き寄りだったけど、「惜しい!」と思うところも間々あった印象でした。
本記事は2025年07月07日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
――黒い怪物から逃げろ!
作品情報
タイトル | Away |
原題 | Away |
ジャンル | アニメーション、ヒューマン |
監督 | ギンツ・ジルバロディス |
上映時間 | 81分 |
製作国 | ラトビア |
製作年 | 2019年 |
公開年(良) | 2019年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
パラシュートが引っ掛かり、木にぶら下がった状態で目を覚ましたとある少年。そんな少年の前に、黒い何かが現れる。それから逃げるように走り出し、途中手に入れたオートバイで目的地へ向かおうとするのだが――。
主な登場人物
(敬称略)
少年
(声:なし)
突如として目の前に現れた黒い影から逃げつつ、オートバイで目的地に向かう少年。
映画「Away」の感想
映画「Away」の感想です。一切セリフがない長編CGアニメーション映画! 不思議な雰囲気のある作品でした(好き)。
ギンツ・ジルバロディス監督
本作を手掛けたのはギンツ・ジルバロディス監督。
観始めた時点で「なんか既視感……」と思っていたんですが、ちょっと前に話題になったアニメーション映画「Flow」(2024)の監督さんだったんですね! 「Flow」自体は未見なんですが(お恥ずかしい)、ジャケットの猫ちゃんのあの感じを覚えていたので「あ、なんか見たことあるぞ」となったみたいです(笑)。
しかも、本作はなんとギンツ・ジルバロディス監督が3年半という年月をかけてたったひとりで作り上げたのだとか。ちょっと「JUNK HEAD」(2017)の堀監督を彷彿とさせるものがありますね。いや、期間も倍ぐらい長いしストップモーションだしで、あっちのほうが「狂気や……」とはなったけど。
景色の映像がとても綺麗
個人的に、キャラデザはザ・海外のCGアニメーションという感じでそこまで好きじゃなかったんですが、なんといっても砂漠だったり湖だったり夜空だったりの景色がとんでもなく綺麗でした。これだけでもグッとこの作品の世界観に惹き込まれるようだった。
本作はロードムービー的な構成になっていて、まあ、なんていうか、中盤以降でも盛り上がりがあまり感じられない? んですよね。たぶん、主人公の表情がほとんど変化しないのと、効果音が極端に少ないからだと思うんですが。
でも、景色と世界観があまりに綺麗なので、とても満足度が高かったように感じました。
あ、ちなみに、恐怖を感じて後ずさりし、主人公の足元に隠れようとする小鳥ちゃんがめちゃくちゃ可愛かったです。
BGMはちょっとしつこい
また、個人的に不満だった点と言えば、先述した通り「効果音が極端に少なかった」こと。
なんか、ずっとかかっているあのヒーリングミュージックみたいなあれ、なに? って気分になりましたね。YouTubeとかで「自律神経 整う 音楽」とかで調べると出てきそうなやつ。たまにならいいんだけど、少し静かになったかと思うとすぐにあの音楽がかかるので、途中からは「ちょっとしつこいかも」となってしまいました。
あのヒーリングミュージックを少なくして、代わりに効果音とか自然音とかを増やしてほしかったかな。
テーマは生と死
でもって、本作のテーマは(たぶん)「生と死」。
冒頭から主人公を追いかけてくる黒い物体(怪物)は「死」。中盤から現れる白い鳥は「生」。色分けとしては、黒が「死」で白が「生」ということだったんでしょうね。
これをセリフなしで「あ、そういうことだな」と思わせられるのってすごい。
中盤までは黒い怪物がただただ追いかけてくるだけなので「私たちは何を見せられているんだろう?」となるんですが、こう、わかった瞬間の「そりゃやべーわ! 逃げて、逃げて!」感が面白かったり。黒い怪物に鹿ちゃんがやられちゃった時はゾクッとしましたね。
しかも、花に囲まれていたりして、鹿の周りは平穏そのものだから余計に。
人は生まれた時から死に向かう
本作を観て、人は生まれた時から死に向かうものなんだなと改めて実感しました。当然というか、「そりゃそうでしょ」ではあるんですけど。でも、近くなったり遠くなったりはしても、死は必ず追いかけてくる。
退治したはずなのに気がついたらそこにいる黒の怪物に、そんなことを思いました。先述した鹿ちゃんのシーン。あれも「死は突然訪れるものでもある」という感じがして、ソワソワしてしまいましたね。
ちなみに、私的に一番怖かったのは橋のシーンかな。あれ、高所恐怖症にはヒュッとなる。アクション系の映画ではありがちな展開ではあるんだけど、あのあたりの芸も細かいなあという感じがしました。
好き嫌いには分かれそう
不満点がありつつも、私としては「好き!」な部類に入るアニメーション映画だったと思います。ラトビア発のアニメーション映画は初めて観ましたが、意外と良かったですね。私は日本生まれ日本育ち(一部海外暮らし)なので、日本とラトビアのアニメどちらが良いかと言われたら、それはまあ日本アニメだよねとはなるんですけど。
でも、正直、好き嫌いには分かれそうだなと思っています。
中盤まで私が感じていたように「これは何を見せられているんだろう?」がずっと続く人もいそうですし、意味がわかっても「物足りない」と感じる人も結構多そうな印象。良く言えば静かということではあるんですけどね。確かにもうちょっと盛り上がりが欲しかったところではある。
それを踏まえたうえでも、なかなか見ごたえのある作品でしたよ。上映時間も1時間ちょっとぐらいで丁度良かったです。
映画「Away」が好きな人におすすめの作品
映画「Away」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- イヌとイタリア人、お断り!(2022)
- ニモーナ(2023)
- Flow(2024)
まとめ:穏やかな気持ちになれるアニメーション
先述した通り、微妙に盛り上がりに欠ける部分はあるものの、観ているとなんだか穏やかな気持ちになれる不思議な雰囲気の映画でした。
これはたまに観たくなるタイプの映画かも。気分が荒んだときにでも。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 100% Popcornmeter 62%
IMDb
6.7/10
Filmarks
3.6/5.0