
RRR
もうね、素晴らしい。
細かいことは言わない(あとで言うけど)。ただただ素晴らしい。
そんな映画に出合ったのは久しぶりでした。高速ダンスのシーンには思わずうっとりしてしまったね。
本記事は2025年04月30日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
ナートゥをご存じか?
作品情報
タイトル | RRR |
原題 | RRR |
ジャンル | アクション、ファンタジー |
監督 | S・S・ラージャマウリ |
上映時間 | 187分 |
製作国 | インド |
製作年 | 2022年 |
公開年(印) | 2022年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
舞台は1920年のイギリス領インド帝国。ゴーンド族に生まれたビームは、英国軍に攫われた一人の少女を助けに向かった。日々、少女奪還の準備を進める中、ビームはラーマと呼ばれる男と出会い、兄弟のような絆を築いていく。しかし、実はこのラーマは警察官で――。
主な登場人物
(敬称略)
コムラム・ビーム – Komaram Bheem(演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)
ゴーンド族の男。英国軍に攫われた妹マッリを救うため、日々準備をしている。
A・ラーマ・ラージュ – A. Rama Raju(演:ラーム・チャラン)
大義名分を掲げ、英国政府の警察になった男。ひょんなことからビームに出会い、兄弟のような絆を築いていく。
ジェニファー – Jennifer(演:オリヴィア・モリス)
通称「ジェニー」。総督の姪。
スコット・バクストン – Scott Buxton(演:レイ・スティーヴンソン)
イギリス領インド帝国の総督。
映画「RRR」の感想
映画「RRR」の感想です。おじさん2人が踊る高速ダンスがめちゃくちゃ格好良い(映像も格好良い)。
キレッキレのダンス!
本作で印象的なシーンはいくつもあったんですが、その中のひとつが、ビームとラーマが一緒にダンスを踊るところ。
これですね。
ナートゥダンス。
見てください、おじさん2人のキレッキレのダンスを。
正直、イギリス人の男性にビームが馬鹿にされて、ラーマによる「見せてやろうぜ!」からのこれだったので、インド人の立場的にあまりに不利というか、リアルだったらクスクス嘲笑されるのがオチなのではとドキドキしてしまったんですが。
ちゃんとすごかった。
このパーティーに集まっているのは、イギリス人の中でも特に裕福な方々(たぶん)。ナートゥダンスを踊ったことにより、パーティーに参加していた方々が紳士淑女の仮面をかなぐり捨てていましたね。特に淑女。地面に寝転がったりしていて、開放感ー! って感じだった。
スコット・バクストン総督の謎
ちなみに、本当に小さな疑問なんですけれども、このタイミングで騎士爵(ナイト)を得たスコット・バクストン総督ってもともとは貴族じゃなかったんですかね。というか、騎士爵だとしても、準貴族(厳密には貴族ではない)のイメージがあったけれど。
それなのに、総督という重要な肩書きを得ているのがちょっぴり不思議でした。
軍人として騎士爵を授けられたという理解をしましたが、だとしても、軍の中で出世をするなら生家がそれなりの立場であるか、もしくは相当に裕福かのどちらかなのかなと想像(妄想)。生家が爵位持ち(貴族)だけれど、自分は家を継げない次男以下とか? と、生い立ちまで想像(妄想)してしまいました。
あ、ちなみにイギリスの当時の貴族文化に明るいわけではないので、単なる感想&疑問です。
ジェニファーというお嬢さま
そして、ビームと出会い、なんやかんや良い雰囲気になるジェニファーお嬢さまですが。
スコット・バクストン総督とは叔父と姪という関係でしたね。でも、特に好意は抱いていなそう。それどころか、総督とその妻が攫ってきたインド人少女のマッリへの扱いには同情しているようでした。慈悲深く、優しい。
でも、個人的には「すごく良い人!」とあまり思えなかった。
むしろ、ちょっと苦手かもとすら思ってしまいました。
というのも、このジェニファー。実は、インド人がイギリス人にどれほど虐げられているか理解していないのではないかと思ってしまう描写が多数あったから。
例えば、車がパンクして(これはまあ、ラーマの仕業なのだけど)、ビームとラーマに躊躇いなく話し掛けるところ。普通、いけます? イギリス人が酷く虐げている相手ですよ。しかも、自分は女で相手は男2人。自分はドレスなんかを着ていて、見るからに裕福な家の娘だし。
私なら、報復されたらどうしようってまず思っちゃうけどなあ。
ジェニファー×ビーム
それに、優しいように見せかけて、白人至上主義が染みついている感じもした。いや、白人至上主義というか、英語至上主義?
英語がまったくわからず、相手の名前すら聞き取れないビームに対して、人の良さそうな顔をして、頑なに「普通の」英語を話し続ける。そこに気遣いみたいなものが感じられない。ビームのほうは、明らかに「どうしよう」という感じだったのに。
インド人を虐げているイギリス人ならこの対応も理解できなくはないけれど、ジェニファーは「私は優しい人間よ」という顔をして出てくるからなお質が悪いと思ってしまいました。他のイギリス人に比べたらマシと言うだけで、決して本当の意味で優しくはないよなと。
ただ、これはもしかしたら、自分が海外で長く暮らしていた経験があるからこその感想かも。
というのも、英語ネイティブの中には、このジェニファーみたいな態度を取る人が結構な割合でいるような気がするんですよね。別に悪気はないし、フレンドリーに接してくれてはいるんだけど、相手が英語話者でないことをすぐに忘れてしまう……みたいな。
で、相手が理解していないことに気がつくと、それをどうにか頑張って説明しようとするのでなく「ああ、じゃあいいわ」と平気で言ってきたりする(まあ、この時は自分が外国人として海外暮らしをしている立場だったので、もっともだと思って必死に勉強したんですが)。
当時は「お国柄かな」とか「日本人だったらもっと相手のことを気にするだろうけど、そこは文化も違うし」などと自分を納得させていたけれど、やっぱり根底には「英語は話せて然るべき」という英語No.1の考えがあるような気がしています。
個人的には、ジェニファーにもそれに近いものを感じました。言い方は悪いかもしれないけれど、ナチュラルに差別意識のある世間知らずなお嬢さまという感じ。
モデルは実在する人物
ちなみに、主人公のビームとラーマ。
この2人は歴史上に実在した人物です。
といっても、ストーリー自体はフィクションで(当然か)この2人が実際に出会うことはなかったそう。
本作は「この2人の人物がもし出会ったら?」という大胆な発想から誕生し、それをテルグ映画界の2大スターNTR Jr.とラーム・チャランの初共演作として実現させた作品。
と、こういうことのようでした。確かにこの2人の人物が出会ったら、すごいことになりそうですね(笑)。
現代イギリス人はどう見るのか
あとね、これ、とっても気になったのが、果たしてこの映画を現代イギリス人はどう思うのか? ということ。
だって、めちゃくちゃわかりやすくイギリス軍が悪者なんですもの。
舞台が遠い昔のこととは言え、自分の国が悪者になっていたら複雑なんじゃないかな。しかも、この時代のイギリスは実際にまあまあなことをやっているので、ここら辺の描写は完全にフィクションとも言い難いし。
歴史的に見ると、日本にもちょっとアレな部分はあるけれども、だからと言って他国の映画で「ぜーんぶ悪者!」みたいな感じで母国が出てきたら、正直ちょっと微妙な気持ちになるかもなあ、なんて。うう、気になる。イギリス人に聞いてみたいところ。
大迫力の映像
本作は、映像もとても綺麗でした。
大迫力。
さすがボリウッド! とか思っていたら、本作はボリウッド映画ではないらしい(インド映画好きな人、ごめんなさい)。インド映画全般を指すのかと勘違いしておりました。
ボリウッドはムンバイを中心に製作されたヒンディー語映画の総称で、テルグ語(トリウッド)映画の『RRR』はボリウッド映画ではない。
こういうことなんですね!?
知らなかった……! ひとつ勉強になりました。インド映画好きさんの前で無知による恥を掻く前に知れて良かった。気をつけます。
あ、映像に関しては、動物たちがバーン! と飛び出てくるシーンが好きでした。大好物。
映画「RRR」が好きな人におすすめの作品
映画「RRR」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 女神は二度微笑む(2012)
- SALAAR/サラール(2023)
- バーフバリ 伝説誕生(2015)
- バーフバリ 王の帰還(2017)
まとめ:ワクワクしすぎる3時間
インド映画は総じて長時間な印象が強かったんですけれども、本作の長さも3時間ほどありました。
でも、まったく退屈しなかった。すごい。
ストーリーもよくできているし、映像もダイナミックで迫力満点。きっと映画館で観ていたら、もっとワクワクできたんだろうなあと思いました。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 96% Popcornmeter 94%
IMDb
7.8/10
Filmarks
4.4/5.0