金の国 水の国
一時期、めちゃくちゃ話題になっていた映画「金の国 水の国」。
ですが。
話題になっていると、なぜか観る気が起こらない天邪鬼なわたくし……。
でも、まあ、気になってはいたので、配信にあると知ってついに観てみましたよ! 正直、思っていた内容とは微妙に違ったんですけれども、かなり面白かったです。
本記事は2024年12月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
優しい世界が見える人。
作品情報
タイトル | 金の国 水の国 |
原作 | 金の国 水の国/岩本ナオ著 |
ジャンル | アニメ、ヒューマン、ファンタジー、ロマンス |
監督 | 渡邉こと乃 |
上映時間 | 116分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2023年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
金の国アルハミトと水の国バイカリ。敵対している2つの国だが、互いの国が嘘をついたことにより、サーラとナランバヤルは偽物の夫婦を演じることにした。真面目で誠実な2人は次第に距離を縮めていく。サーラの未来を案じたナランバヤルは、アルハミトとバイカリの国交を開かせようとするのだった――。
登場人物
(敬称略)
サーラ(声:浜辺美波)
金の国アルハミトの第93王女。おっとりしていて、誰にでも平等に優しい。
ナランバヤル(声:賀来賢人)
水の国バイカリの建築家ナランバヤル。お調子者な一面がありつつも、基本的には誠実で真面目、努力家。
レオポルディーネ(声:戸田恵子)
アルハミトの第1王女で、サーラの歳の離れた姉。
サラディーン(声:神谷浩史)
役者で、レオポルディーネの愛人。
映画「金の国 水の国」の感想
映画「金の国 水の国」の感想です。原作未読なので、まっさらな状態で観てみました。優しい気持ちになれるような読後感ならぬ、鑑賞後感(この場合、なんて言うんだろう?)。
美しい映像
まず、なんといっても映像の美しさがすごい。
優しい色合いで、キラキラしているのに穏やかな気持ちで観られる感じ。
本作は漫画原作の映画ですが、動く絵本を見ているかのような感覚になりましたね。わっ、センス良いー! と思いながら鑑賞。
おっとり芯の強いサーラ
おっとりしていて、人が会話しているのを見て、いつもニコニコ笑顔のサーラ。
良くも悪くもあまり王女らしくなく、自己主張が強くないタイプみたいですが、サーラの場合は決して気が弱いからというだけではないんですよね。
気高く美しい姉たちに対し、幼い頃からコンプレックスを抱えていて、人知れず傷付いてきた過去があるサーラだからこそ、これ以上自分が傷付いてしまわないように、そして他人を傷付けてしまわないようにしているんだと感じました。
だから、ここぞというときはしっかり自分の意思を貫ける。
感受性が強く、優しくて芯のある王女さまです。
サーラみたいな人がそばにいたら、きっとそれだけでなにか優しい気持ちになれるんだろうなと。
本当の悪人はゼロ
また、本当の意味での悪人はいなかったというのも、本作の魅力というか、観やすさのひとつになっていました。
まあね、観始めたときは「なに、このパパ(国王さま)……」とか「いけすかねえ野郎だぜ……」「姉たちもようやるわ……」とか、いろいろ思いながらだったんですが。
蓋を開けてみたら、みんな根っこではそれぞれの行動指針を持っていて、同じ形ではないものの、しっかり他者について思いを馳せる優しさがある。
でも、危うく激しく衝突しそうだった彼らの行動が、サーラとナランバヤルという存在によって、丸く収まっていくという……。
特に、ナランバヤルの真面目さとお茶目さ、誠実さは素敵でしたね!(サーラは言わずもがな)
これが良い『ご都合主義』
といっても、ご都合主義な部分は結構あります。
漫画原作のファンタジーなので、そこまで気にはならないんですけれども。
まず、互いの国が「国一番の美女」「国で一番の頭脳を持つ青年」を差し出し、縁談を組もうという話だったのに、「あんな格下の国、猫でも送っときゃいいんじゃね?w」「あんな格下の国、犬でも送っときゃいいんじゃね?w」と、まさかの猫と犬(実物)を送りつけ合うというなんたる無能!
こんなことがあった日にゃ、実力行使まったなし。
……なので、猫と犬を「お前の嫁だよw」「お前の夫なw」と送られたサーラとナランバヤルが、そうとは知らぬままひっそり偽物の夫婦を演じることになるわけです。
でも、こんなことになったら、いくらサーラとナランバヤルが頑張ったところで、和解するのはどう考えても無理ゲーだよなあ、普通ならね! と。むしろ、国の威厳を保つために、サーラとナランバヤルが勝手なことをしたとかなんとか、適当な理由をでっち上げて責任を取らされるまである……という現実だったらの妄想をしたりなどしました。
一部背景はリアル
でも、まあ、ご都合主義な面を除いては、意外とリアルな部分も多かった。
というか、戦争が始まるきっかけってこういうのかもしれないなと。
猫と犬の件は置いておいても、相手憎しのみの単純な理由だけで、事は起きるわけではない。今は栄えているが、実は深刻な水不足(国民にはまだ気付かれていない)で困っているアルハミトと、水は潤沢にあるが貧困に喘ぐバイカリ。
水不足を解消するには数年なんかじゃ足りないし、貧しさをどうにかするのにも到底足りない。
……なら、ある国から奪っちゃえばいいじゃん☆(それが手っ取り早い)
ってなるのも、わからないでもない(わかりたくはないが)んですよね。
このあたりが妙にリアルで、感心しました。
最高の声優陣
あとは、声優陣が最高でした。
「落ち着く声してはりますなぁ(?)」と思いながら観ていたんですけれども、エンドロールを眺めてあらびっくり。
賀来賢人さんと浜辺美波さんじゃありませんか!
しかも、特にサラディーンの声に(久々の!)トキメキを覚えていたら、なんとこちらは神谷浩史さんでした。
なにあの美声。すさまじい。
映画「金の国 水の国」が好きな人におすすめの作品
映画「金の国 水の国」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- グスコーブドリの伝記(2012)
- ペンギン・ハイウェイ(2018)
- 鹿の王 ユナと約束の旅(2020)
- メアリと魔女の花(2017)
まとめ:思っていたのと違う!でも面白い
「あらすじから想像していたのと違った! でも面白い!」というのって、映画としてとっても魅力的ですよね。良い意味で予想と異なるというか。
サーラの優しさに、鑑賞後は「自分も他人に優しくありたいな」と改めて感じましたね。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ―% AUDIENCE SCORE ―%
IMDb
6.5/10