
ワン・バトル・アフター・アナザー
映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」の感想です。
レオナルド・ディカプリオ主演のアクションスリラー映画。
ショーン・ペンが変態軍人役をしていて「ひえー!」ってなりました(笑)。「I am Sam アイ・アム・サム」(2001)のときからわかっていましたが、すさまじい演技力です。

映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」の見どころは……
- レオナルド・ディカプリオの盛大なダメパパっぷり。
- 母性、父性と言うけど結局は人によるよねというところ。
- 今までの概念を覆される静かなカーチェイス。
本記事は2026年02月20日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
| タイトル | ワン・バトル・アフター・アナザー |
| 原題 | One Battle After Another |
| ジャンル | アクション、スリラー、ヒューマン |
| 監督 | ポール・トーマス・アンダーソン |
| 上映時間 | 162分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 製作年 | 2025年 |
| 公開年(米) | 2025年 |
| レイティング | PG12 |
| 好きレベル | ★★★★☆ |
あらすじ
かつて、革命家として活動していたボブは、現在は一児の父親として地味な生活を送っていた。娘の母親はおらず、父ひとり、子ひとりの生活である。しかし、そんなある日、とある軍人がボブと娘ウィラを狙っていることが発覚。追いかけてきた軍人たちからそれぞれ逃亡することになるが、ウィラと離ればなれになってしまったボブは、ウィラを追いかける。一方でウィラは、執拗に自分を追い回す軍人と対峙することになり――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ボブ・ファーガソン
(演:レオナルド・ディカプリオ)
元の名は「パット・カルフーン」。名の知れた革命家だったが、恋人の妊娠を機に穏やかな生活を望むようになる。娘を守るため、厳しいルールを設けながら身を隠している。
ウィラ・ファーガソン
(演:チェイス・インフィニティ)
元の名は「シャーリーン」。ボブの娘で、優等生。母親のことは英雄だったと聞かされている。
スティーブン・J・ロックジョー
(演:ショーン・ペン)
ボブが所属していた革命グループを追いかける軍人。ボブたちを追い詰めるためなら手段は厭わない。とある理由からウィラの命を狙う。
セルヒオ・サン=カルロス
(演:ベニチオ・デル・トロ)
通称「センセイ」。空手道場のセンセイで、移民たちを支援している。革命グループの元メンバーでもあり、ボブたちにも手を貸す。
ペルフィディア・ビバリーヒルズ
(演:テヤナ・テイラー)
革命グループの元メンバー。革命家として活動するうち、ボブと恋人関係になる。妊娠を機に穏やかな生活を望むようになったボブに不満を持ち、生まれたばかりの娘を置いて家を出た。のちに、軍に捕まり、革命グループを裏切り逃走。
デアンドラ
(演:レジーナ・ホール)
ボブの革命グループの仲間。軍の動きをいち早く察知し、ウィラを連れて逃げる。
映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」の感想
映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」の感想です。長尺映画なのに、飽きる瞬間がまったくなかった。すごい!
変態軍人ロックジョー
まず、本作で一番印象に残るのは、間違いなくスティーブン・J・ロックジョーというとんでもなくやべー軍人(笑)。それはもう、登場シーンからやばくて、何がやばいかって、いや、それを言うならボブの恋人ペルフィディアもだいぶやばいんだけど(支離滅裂)。
……とにかく、公式に「変態軍人」と言わしめるやばさ(?)ですからね。
序盤からかなりかっ飛ばしていました。
なお、ロックジョーを演じているのはショーン・ペン。映画「I am Sam アイ・アム・サム」(2001)のイメージが強かったので「キモすぎィ!」(※褒め言葉)ってなりましたね。
本作を観る前は、公式サイトを軽く確認した程度だったこともあり、なんとなく「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024)みたいな雰囲気なんじゃないかと思っていたんですが、完全に間違っていました。どちらも好きだけど、本作の方が圧倒的に変態味が強い。それもこれもロックジョーの存在があるから。
ダメパパの追跡
というか、こんなにダメダメなヒーローも珍しいんじゃないでしょうか。
そもそも、この主人公をヒーローと呼んでいいのかもわからないダメダメっぷり。基本的には外野の助けがないと何もできないし、革命グループで定められた合言葉も忘れて「(薬で)ハイになってて忘れちゃった!」とか泣き言を言う始末。
元仲間のデアンドラは、父親を心配する娘ウィラに対して「彼は訓練を受けているから大丈夫」と言っていたし、事実そう信じていたのだと思うけど、どう考えても訓練を受けていたような動きではなかった(笑)。結局、逃げる途中に木から落ちて軍に捕獲されるという致命的なミスをしていますしね。
もっとも、合言葉が長すぎるというのはある(笑)。こういうブラックジョーク的なものを適度に挟んでくれるおかげで、緊張と緩和がうまい具合に働いて、なかなかの長尺であるにもかかわらずずっと楽しく観られました。
最強のウィラ
そして、ボブがなかなかのダメパパっぷりを発揮する一方で、娘のウィラはめちゃくちゃ強かったです。
というのも、娘を心配して必死で追いかけるボブですが、よくある映画のように娘のピンチに駆けつける! というのでもなく、結局いろいろと間に合わないんですよね。そのあいだ、ウィラはひたすらひとりで戦っている。ボブが木から落ちたり車から転げ落ちたりしているその瞬間にも(踏んだり蹴ったり!)。
ボブってあれだと思う。さして有能ではないけどみんなに愛されるおバカさんタイプ。
こういう人、現実世界でもたまにいるなあと思いつつ見ていました。「それ、何してんの!?」って言いたくなることをたびたびするんだけど、なぜだか憎めないし、面倒を見たくなってしまう人ね。
そんな人を父親に持ったからこそのあのウィラなのかな。16、17歳ぐらいということになっていたけど、それにしてはだいぶしっかりしていますもんね。あの年齢で携帯を持たせない(実際には持っていたけど)とか、厳しい家庭独自ルールがあるとか、年頃の娘的にはそれだけで父親と険悪な雰囲気になりそうなものですが、父親を嫌っているふうでなかったのはボブのあの雰囲気があるからだと思う。
本当に、ウィラはよく戦いました。自分だったら途中で諦めてしまったかもな、と思います。
地味ながらもよくできたカーチェイス
そのウィラですが、あのカーチェイスシーンはとても好きでした。
ただ道を走るだけ。車で追いかけっこをするだけ。
これだけなんですが、カーチェイスといえばド派手なアクション! みたいなイメージをぶち壊されました。これ、新たなカーチェイスの形じゃないか? と。
本作のカーチェイスは、長い一本道をただ静かに走るだけなのにめちゃくちゃドキドキする。
ボブの革命家仲間ディアントラ役のレジーナ・ホールは「あんなにエキサイティングなカーチェイスを撮れるのはポールだけ。3台の車だけ、しかも車線変更すらしない」と、圧巻の描写について語った。
これですよ。
道の凹凸? いわゆるチンさむロード的な道がずっと続いていて(3Dで観たわけでもないのにフワッとした)、時にバックミラーの視界が悪くなる感じがたまりませんでした。
母性と父性
また、母性と父性についても描かれていたように思います。
いわゆる、母性神話とかいうものがありますよね。女性は子を持つと自然と母性が生まれ、子に無償の愛を捧げることができるようになるというやつ(ざっくり)。それはまあ、あれだよね。人によるよ、という描き方だったような気がします。
ウィラの母親ペルフィディアはそういうタイプの女性ではなかった。うっかり子ができなければ、母親になるつもりもなかったでしょう。
その点、ボブは違った。
ペルフィディアが妊娠すると徐々に父性的なものが芽生え、穏やかな生活を望むようになった。これ、一見するとボブがまともで、ペルフィディアがひどい女性であるかのように思えるんだけど(事実夫と子どもを見捨てていますし、ひどいのはひどい)、妊娠した途端、夫に「妊娠している自覚がない」的なことを言われたら、はあ? ってなる気持ちもわからなくもない。
そんな自分にけっこう衝撃を受けて、改めて考えたのですけど。
今までは一緒になって危険なこともやってきたのに、妊娠した途端、自分の体を大事にしろと言われるのって、当然のようでいて、けれども突き詰めて考えると、自分の体の価値が変わったということにほかなりません。妊娠していようがいまいが、自分自身の価値が変わるはずもないのに、他人はそうは見ない。
妊娠していなければ危険なことをしてもいいけど、妊娠したのだからやめろというのは、本人からすると、やっぱり納得しがたい部分もあるのかなと思う。自分が子の入れ物として見られているような、そんな気になっても不思議じゃない。当然だろ! ひとりの体ではないのだから! 子を優先すべきだ! というのは、やっぱり母性神話につながる部分でもあると思いますし。
この場合なら、ボブは妊娠前でも「あなたのことが大事だから、危険なことはやめてほしい」と言うべきだったんですよね。まあ、そうなると、今度は革命家としてどうなのということになりますし、ペルフィディアの目にも止まらなかったでしょうけど(笑)。
「子に嫉妬している」というのは、劇中のペルフィディアの言葉ですが、個人的に感じたのは、ペルフィディアは嫉妬しているというのともまた違って、単純に子の付属品として見られるのが嫌だったんじゃないかということ。ペルフィディアはどう考えても自己主張の強いタイプだし、子ができたことを理由に「やりたいことを控えなさい」と言われ続けたらそりゃあブチ切れるでしょうと思いますね。
その「やりたいこと」が危険を伴った革命なので、だいぶ問題ありですけど。
ご都合主義も主人公補正もなし
あとは、そうですね。
基本的には、ご都合主義も主人公補正もありませんでした。
主人公のボブはなんかいろいろと間に合っていないし(でも頑張ってはいる)、ここぞというときにウィラの母親が現れたりもしないし、仲間が軍に捕まるとボブたちの情報をペラッちゃったりもするし。唯一、それっぽい描写があったのは、ロックジョーの雇った殺し屋のウィラに対する行動だけど、あれも結局ウィラを助けるというところまでは行っていないですしね。
ウィラがボブに言った「あなたは誰?」という疑問に対する、ボブの「パパだよ」。これがすべてな映画で、答えはシンプルでいいんだなとぐっと来た映画でした。
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- エディントンへようこそ(2025)
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映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年02月20日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
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まとめ:思っていたのとは違ったけど面白い
思っていた内容とは若干違いましたけど、かなり面白かったです。
レオさま演じる主人公ボブのダメダメっぷりがまた可愛くもあり、健気でもある。親としての情の芽生えは男女関係なく、強い人は強いし、中にはそうでない人もいるというリアルさもありました。
とても強い娘ちゃんの存在も良かったですね!
Rotten Tomatoes
Tomatometer 94% Popcornmeter 85%
IMDb
7.7/10
Filmarks
4.0/5.0

