
マローボーン家の掟(字幕版)
映画「マローボーン家の掟」の感想です。
一言、めちゃくちゃ好き。
……なんですが、邦題はちょっと失敗しているかも? な映画でした。劇中、強調されている掟という掟はなかった(これかな? というのはあるけど)。
でも、美しくも切ない物語で、とても良かったです。

映画「マローボーン家の掟」の見どころは……
- ファンタジー感のある美しい風景。
- 美しくも切ないきょうだいたちの絆。
- ミア・ゴス×アニャ・テイラー=ジョイ。
- 可愛すぎるサム(尊い)。
本記事は2026年02月28日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
| タイトル | マローボーン家の掟 |
| 原題 | Marrowbone |
| ジャンル | ホラー、ヒューマン、サスペンス |
| 監督 | セルヒオ・G・サンチェス |
| 上映時間 | 111分 |
| 製作国 | スペイン、アメリカ |
| 製作年 | 2017年 |
| 公開年(西) | 2017年 |
| レイティング | G |
| 好きレベル | ★★★★★ |
あらすじ
ローズは子どもたちを連れ、アメリカ北東部の森の中にある生家へと戻って来た。イギリスから人目につかない場所へと引っ越してきたのは、問題のある夫から身を隠すためだ。しかし、ローズは体が弱く、長男のジャックにすべてを託すと亡くなってしまう。ジャック、ジェーン、ビリー、サムのきょうだいは、母親を失いながらも強く生きていこうとするが、そこに父親が現れて――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ローズ・マローボーン
(演:ニコラ・ハリソン)
4きょうだいの母親。犯罪者の夫から身を隠すため、子どもたちを連れてアメリカの生家へと戻って来たが、体が長旅に耐えられず病に倒れる。ジャックにすべてを託し、亡くなった。
ジャック・マローボーン
(演:ジョージ・マッケイ)
長男。母親の言葉を忠実に守り、きょうだいで逞しく生きていこうとする。アリーに好意を抱いている。
ジェーン・マローボーン
(演:ミア・ゴス)
長女。母親に言われたとおり、サムの母親代わりとして面倒を見る。
ビリー・マローボーン
(演:チャーリー・ヒートン)
次男。ジャックよりやや感情的な部分が目立つが、行動力があり、勇敢。
サム・マローボーン
(演:マシュー・スタッグ)
三男。幼くして母親を亡くし、寂しく思っている。
アリー
(演:アニャ・テイラー=ジョイ)
マローボーン家の近所にある農場の娘で、図書館で働いている。ジャックに好意を抱いている。
ポーター
(演:カイル・ソーラー)
マローボーン家を担当する弁護士。アリーに好意を抱いている。
映画「マローボーン家の掟」の感想
映画「マローボーン家の掟」の感想です。ミア・ゴス×アニャ・テイラー=ジョイというなかなか豪華なキャスティングでした。
仕掛けは想像できる
正直、本作は「ネタバレ厳禁!」で観たほうが良い映画のひとつではあるのでしょうが、ネタ(仕掛け)を予想できるかできないかで言ったらわりとわかりやすいほうなんじゃないかと思いますね。中盤あたりから「ああ、そういうことね」となりますし。
でも、ネタを確信した状態で観てもかなり面白かったですよ。私の場合はネタバレを食らった状態で観たけど、それでもめちゃくちゃ感情移入しました。
個人的に好きだったのは、終盤にアリーが「ビリー!」って叫ぶところ。
ミア・ゴス×アニャ・テイラー=ジョイ
そう言えば、キャストも豪華でしたね(今思えば)。
映画「X エックス」(2022)のミア・ゴスと「マッドマックス:フュリオサ」(2024)のアニャ・テイラー=ジョイ。
あと、私は初めて知ったのですけれど、サム役のマシュー・スタッグくんがめちゃくちゃ可愛かったです。ミア・ゴス演じる姉のジェーンの投げキッスを真似するところなんてもうね、「うぎゃー!(悶)」ってなりましたよ。尊い。
美しい風景
それから、冒頭から終始風景が美しかった。
本作ではアメリカ東北部の森の中という設定になっていましたが、イメージとしてはイギリスの田舎町みたいな。「エノーラ・ホームズの事件簿」(2020)みたいな雰囲気(風景の雰囲気だけね)が、徐々に「パンズ・ラビリンス」(2006)のように美しくもダークな世界観になっていった感じでした。
序盤、「アリーが仲間になった」ときょうだい+アリーで遊ぶシーンなんか、もうほとんどファンタジー映画でしたもんね。このシーンがあったから、終盤の展開が効いてくる。
母親も罪深い
これ、けっこう母親も罪深いことをしたなと感じてしまいました。
やべー父親から逃げるため、イギリスからアメリカ(の生家)へと逃げてくるのは良い。でも、自分が息絶えるときに「(ジャックが)21歳になるまでは姿を隠しているように」と、「きょうだいのことをよろしく」と言い残してしまった。この瞬間、ああ、呪いだなあって思ったんですよ。
ジェーンにも「サムの母親代わりに……」みたいなことを言っていて、これも呪いだなと。
全員が未成年の状態で母親がいなくなれば、きょうだいたちはそれぞれ離ればなれになってしまう。それはわかるけど、でも、みんな一緒という状態を守るために、この子たちはさまざまな権利を手放さなければならなくなった。弁護士のポーター氏が「サムなんて学校にも行っていない」と心配していたように。
すべては結果論で、天秤にかけてどちらが良いと言えるわけじゃないけど、でも彼らのことをもう少し気に掛けてあげる大人がそばにいれば、何か違ったかもしれないとは思ってしまいます。
母親にしても、罪深くはあれど、凶悪な夫から逃げるためにはこれ以外思いつかなかったのだろうと理解できるから、なおのこと切なくなりますね。
徐々に歪んでいく世界
あとは、本作の徐々に世界が歪んでいく感じが好きでしたね。
最初は「離ればなれにならないよう、母親がいなくなったことを必死に隠そうとしている子どもたち」でしかないんだけど、中盤あたりから「ん? これは……」という描写が出てくる。
最後に突然「これはこういうことでしたー!」とネタを明かされるのではなく、徐々にそういう「違和感のある描写」が入ってくるからこそ、そういうことだったらどうしよう、一番嫌なパターンだわ、と不安感が高まっていく。
で、結局「やっぱりそういう話か……(絶望)」とはなるんだけど、それだけの単純な話でもなくて、希望はあるものの今後の選択次第でどうにでもなりそうな展開へとつながっていくのが、感心したところでもありました。心の傷や精神的トラウマってそういうことだよねって。
アリーがいてくれて良かった。
掟とはいったい
ただ、邦題になっている「マローボーン家の掟」ですが、これはちょっと謎で。
掟という掟は特に出てきませんでした。
考えられるのは「(ジャックが)21歳になるまで身を隠せ」とか「次男以下のきょうだいは外に出るな」とか、たぶんそういうこと? と思っていたけど、それだけでもないっぽい。
具体的には、
- この屋敷を離れてはいけない。
- 鏡を覗いてはならない。
- 屋根裏部屋に近付いてはならない。
- 血で汚された箱に触れてはならない。
- “何か”に見つかったら砦に避難しなくてはならない。
ということらしく、これを聞いてもなお「そうなの?」としか思えない(笑)。
この5つの掟が劇中でハッキリ語られることはないし、「“何か”に見つかったら~」とかいうのなんて、「何かいるかも!」な状況になったときに、ジャックが「砦に行くんだ!」とみんなを引き連れて砦(という名のテント)に避難していた描写があったぐらい。正直、この描写で「これも掟のひとつかあ」とはならなかったかな。
「鏡を覗いてはならない」とかも、サムが異様に鏡を怖がったり、かけられていたはずの布がずり落ちていると、都度ジャックが直していたりする描写がある程度で、明確にルールとして定められているわけではないんですよね(記憶が正しければ)。
「この屋敷を離れてはいけない」に関しては、ジャックはアリーと砂浜デートをしたりしているし、町まで買い物に行ったりもするので、基準がちょっとわからないですし。
掟とは? となります。
とはいえ、映画の内容としては最高でした!
映画「マローボーン家の掟」が好きな人におすすめの作品
映画「マローボーン家の掟」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- プレゼンス 存在(2024)
- HERE 時を越えて(2024)
- ウルフマン(2025)
- ザリガニの鳴くところ(2022)
映画「マローボーン家の掟」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年02月28日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:苦しく切ないのに美しい
内容的に致し方ないことではあるんですが、基本的にずっと苦しくて切ない雰囲気が続きます。が、そこにはなぜか美しさもあって、すさまじいバランス感覚で作られているなと感じました。
先述したように、母親の選択もなかなかに罪深いのに、でも、ほかにどうしようもなかったのだろうと想像できてしまうからこそ、歯がゆさを感じる。あなたたちは悪くないよ、と言ってあげたくなります。
これはとても好きな映画。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 49% Popcornmeter 71%
IMDb
6.7/10
Filmarks
3.8/5.0

