
フランケンシュタインの花嫁(字幕版)
「フランケンシュタインの花嫁」の感想です。
映画「フランケンシュタイン」(1931)の続編にあたる作品。監督は引き続きジェームズ・ホエール氏が務めています。
怪物がどんどん賢くなり、賢くなってもやっぱり人間にはなれない。怪物の決断含め、すべてが切なくてよかったです。
本記事は2025年12月01日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
こんなサイエンティストは嫌だ!
作品情報
| タイトル | フランケンシュタインの花嫁 |
| 原題 | Bride of Frankenstein |
| ジャンル | ホラー、SF |
| 監督 | ジェームズ・ホエール |
| 上映時間 | 75分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 製作年 | 1935年 |
| 公開年(米) | 1935年 |
| レイティング | 不明 |
| 個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
風車小屋と共に焼け落ちた怪物。前作で怪物に殺された少女の父親が、自分の目でその死を確認しようと焼け跡に近付くも、足を滑らせて地下水道に落下してしまう。そこにいたのは、なんと死んだと思われていた怪物だった。怪物は男を殺し、男を助けに来たその妻(亡き少女の母)までもを手に掛けて外に出た。一方、怪物との対決で死んだと思われていたヘンリーも実は生きていた。そんなヘンリーのもとを、科学者を名乗る男が訪ねてきて――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ヘンリー・フランケンシュタイン
(演:コリン・クライヴ)
男爵。怪物を生み出した科学者。プレトリアス博士に声を掛けられ、博士の研究を手伝うことになる。
エリザベス
(演:ヴァレリー・ホブソン)
ヘンリーの妻で、男爵夫人。これ以上研究を続けないようヘンリーを諭す。
怪物
(演:ボリス・カーロフ)
フランケンシュタインが生み出した怪物。風車が焼け落ちるのと共に死んだと思われていたが、実は生きていた。
プレトリアス博士
(演:アーネスト・セジガー)
ヘンリーを訪ね、とある研究に誘う科学者。現時点では小人の創造に成功している。
映画「フランケンシュタインの花嫁」の感想
映画「フランケンシュタインの花嫁」の感想です。花嫁isどこ……!? ってなる映画でした。正直泣きそうになった!
始まりはメアリー・シェリーから
この映画は、原作者メアリー・シェリーとバイロン卿が語らうシーンから始まります(もちろん原作者本人が出演しているわけではないけれど)。
観ている最中はこのシーンの必要性がわからなかったんですが、考えてみたら、ここで喋っていたのは「前作のあらすじ」でしたね。導入としてはなかなかよかったと思います。
ちなみに、メアリー・シェリーを演じているのはエルザ・ランチェスターという俳優さん。この方はなんと怪物の花嫁役も務めています。キャストを確認するまで気がついていなかった!
花嫁isどこ?
ストーリー的な部分を言うと、先述した通り「花嫁isどこ……!?」ってなる映画でした。
タイトルが「フランケンシュタインの花嫁」(原題でも「Bride of Frankenstein」)というぐらいだから、前作での出来事に懲りず、今回は花嫁を生み出してしまってというお話かと思っていました。花嫁を作ろう! というところまでは合っていますが、花嫁自体はほぼほぼ出てこない。
なので、ちょっと思っていたのとは違ったかも。タイトルから想像したお話と違ったというだけで、このお話もとても好きですけれど。
悲劇のモンスター(+花嫁)
人間の傲慢さで生み出されたのにもかかわらず、嫌われ者として生きることになってしまった怪物。
この嫌われ者具合に拍車がかかり、まさに悲劇のモンスターという感じになっていました。いや、前作だけでも十分悲劇的な展開が見られたんですけどね。今作ではそれ以上だった。
たぶん、怪物が明確に「友達が欲しい」と意思表示をするからですね。前作では怪物自身も何がなんだかわかっていない感じで、だからこそそこがまた悲劇的であったわけですけれど、今作では言葉を学び、感情というものを自覚し始める。そして「友達が欲しい」。
友達が欲しいだけなのに、自分と同じ存在はひとつとなく、人間は怪物だというだけで襲い掛かってくる。めちゃくちゃ切なくなりました。
なお、一番の被害者は花嫁でした。
盲目の老人との交流
劇中、怪物は盲目の老人と出会います。
孤独を抱えていた目の見えない老人は怪物を家に招き入れ、善悪や言葉を教える。それに素直に従う怪物。
これ、老人は怪物の外見がわからないから、そして自身も孤独を抱えていたからこその行動だと思うんですが、本来は怪物を生み出したヘンリーたちがすべきことだったことで、もしそうできていたら、怪物は「怪物」にならなかったんじゃないかと思えて苦しくなります。
感情を知ってしまった怪物
怪物も、今までは「何がなんだからわからない」とパニックになって暴れている感じでしたが、この老人と出会ったことにより、自分の感情に自覚的になったような気がしています。
自分は孤独を感じていると気がついてしまったというか。
老人と共に過ごし、楽しいだとかうれしいだとか、そういう感情を知ってしまったからこそ、孤独というものの存在にも気がついてしまった。
本作を観ていると、果たして「怪物」とはなんなのだろうなあ、と思います。ある意味では、人間のほうがずっと怪物らしい行動を取っていたりしますもんね。
マッドサイエンティストの登場!
前作では(いや、今作もか?)ヘンリーがヤバい研究者という印象で語られていましたが、今作を観ると、ヘンリーってまともな部類だったんだなと思わされます(笑)。言ってもヘンリーは善悪の区別はついているというか、怪物を生み出したことに対して「自分のせいだ……」「婚約者を巻き込むわけにはいかない」という気持ちでいるので。
今作には、ヘンリーのさらに上を行くヤバさを見せつけるプレトリアス博士が登場します。こいつが本当にヤバい(二度目)。いわゆるマッドサイエンティストというやつです。
すでに小人の創造には成功していて(これがめちゃくちゃ可愛い!)、今度は怪物の女性ver.を作らないかとヘンリーを訪ねてくる。ヘンリーは前作でのことがあるので断るものの、ヘンリーの大事な人エリザベスを人質に取って研究を強要する博士。
同じマッドサイエンティスト(笑)でも、ここが2人の分かれ目ですかね。研究に熱中していてもいくらかは人間らしくいるヘンリーと、研究のためなら人間としての善悪をかなぐり捨ててしまうプレトリアス博士。
この2人に対する怪物の認識もすごく切なくてね。最後なんか「あー!(涙)」ってなりました。
映画「フランケンシュタインの花嫁」が好きな人におすすめの作品
映画「フランケンシュタインの花嫁」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ヴィクター・フランケンシュタイン(2015)
- フランケンシュタイン(2025)
- フランケンシュタインの復讐(1958)
映画「フランケンシュタインの花嫁」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年12月01日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:人間の傲慢さがより浮き彫りに
序盤、メアリーが「神を模倣する者は罰せられる」と言葉にしていた通り、人間の傲慢さが前作よりさらに浮き彫りになっている映画でした。
ヘンリーってまともな奴だったんだなって不思議な感覚にもなります(笑)。
個人的には前作よりも好き!
Rotten Tomatoes
Tomatometer 98% Popcornmeter 87%
IMDb
7.8/10
Filmarks
3.6/5.0

