
ANON アノン(字幕版)
人間の記憶が記録・検閲されるようになったら、どうなるか。
これ、便利なようでいてとても怖いことですよね。今、対話している相手にも嘘がつけなくなるんだから。上司の愚痴とか吐いたらすぐにバレるの? なんてすぐに思った私は……いや、なんかもう本当にすみませんでしたという感じでした。
本記事は2025年04月29日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
匿名性が失われた世界に、匿名の女が現れた。
作品情報
タイトル | ANON アノン |
原題 | Anon |
ジャンル | SF、サスペンス |
監督 | アンドリュー・ニコル |
上映時間 | 100分 |
製作国 | ドイツ、イギリス、アメリカ |
製作年 | 2018年 |
公開年(独) | 2018年 |
レイティング | R15+ |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
人間の記憶が記録・検閲されるようになった近未来的な世界では、犯罪がなくなった代わりに、個人のプライバシーと匿名性まで失われていた。しかし、そんな中で、この世界においてはあり得ない犯罪が発生。やがて捜査上に浮かび上がってきたのは、一切の個人情報がない女「ANON」だった――。
主な登場人物
(敬称略)
サル・フリーラン – Sal Frieland(演:クライヴ・オーウェン)
一級刑事。初の未解決事件に取り組み、奔走する。囮捜査を実施し、一切の個人情報がない女「ANON」への接触を図った。
ANON – Anon(演:アマンダ・サイフリッド)
一切の個人情報がない謎の女。「ANON」とは「匿名」を意味する名前。
チャールズ・ガッティス – Charles Gattis(演:コルム・フィオール)
サル同様、一級刑事で囮捜査のリーダー的存在。
サイラス – Cyrus(演:マーク・オブライエン)
若手刑事で、技術専門。
映画「ANON アノン」の感想
映画「ANON アノン」の感想です。便利は不便とはまさにこのこと! 匿名性が失われるって、今の時代に置き換えてみても怖いですよね。
犯罪の消滅
この作品の世界線では、個人の記憶が記録かつ検閲できるようになったことで、犯罪らしき犯罪が消え失せています。
これはすごい。
一般市民が見たもの、聞いたものを警察が検閲及び保管できるので、罪を犯したところで逮捕待ったなしなんですよね。まあ、捕まってもいいという覚悟で犯罪に手を染める輩はどうするのという疑問はいったん置いておいて。
これ、説明していたっけ?(途中から若干飽きてしまって、見逃したシーンがあるかも)
プライバシーと匿名性も消滅
ただ、人々の記憶が検閲できるようになったということは、すべてが可視化されるようになったということで、犯罪はなくなったけれども、同時に個人のプライバシーと匿名性も失われてしまいます。
劇中では、サルがANONに接触するために「恋人(婚約者だっけ?)への罪悪感から、浮気の記憶を消したい」みたいなことを言っていましたし。となると、警察だけでなく、おそらく一般市民同士でも相手の記憶が見えてしまうということですよね。見ようと思えば。
先述した通り、私はここで「えっ、じゃあ、上司の愚痴を言ったらすべてバレる可能性があるって……コト!?」と思ってしまいました(笑)。駄目駄目人間ですね。
でも、プライバシーと匿名性が失われるというのは、きっとこういうこと。
誰との会話でも、社会生活を穏便に送るには、全方面に気を使わなければいけなくなりそうで、やや神経質で小心者の気がある私としては、気疲れしてしまいそうです。
画面は邪魔そう
あと、視界に映るコンピューター的な文字の羅列はめちゃくちゃ邪魔そうでした。
目が疲れそうだし、頭も疲れそう。あんなのがずっと視界に映っていたら、頻繁にめまいを起こしそうだなあなんて。
生まれた時からあれならまだしも、大人になってからあのシステムが導入されたら、一生慣れなそうだなと思いました。
淡々とした
作品全体としては、非常に淡々としたイメージのある雰囲気でした。
喜怒哀楽が完全に失われていた。あ、やっぱり怒と哀はあった。
なので、個人的には物足りなさを感じるところだったんですが、それこそがこの作品の世界線なのかも。すべてが可視化され、秘密が一切なくなった世界では、我々が生きているこの世界の住人よりも感情が希薄になってしまうものなのかもしれないなと。
必要のないシーン(特にアレ)
さらに、もうね、必要ないように思えたシーンが多かったわけですよ。
特にアレ。男女が致しているシーン。やけにリアルだったんだけれども、物語の進行を考えても、必要性がほとんど感じられませんでした。
必要のないああいうシーンって、ちょっと下品に見せてしまったりするので、取り扱い注意な気がします。
ドラマを映画にしたような
これ、たぶん、ドラマでやったら面白いやつ。
Netflix(海外)ドラマとかにあったら、結構人気が出そうだなと感じました。映画としては盛り上がりが少ないけれども、こんな、人間の記憶が記録・検閲できる世界だなんて面白い設定、使いどころはもっとあったはずなんですよね。
正直なところ、1時間半ちょっとでも長すぎるように感じたんですが、たぶん逆だった(かもしれない)。短すぎたがゆえに、面白設定をうまく使いこなせず、退屈な印象になってしまったのだと思います。ドラマにして何回かに分けて、「人間の記憶から匿名性が失われた」がゆえのストーリーをしっかり入れ込んだら、もっと感情移入できるかも。
視界を他人に乗っ取られる
他人に自分の記憶を覗かれるというだけでも、結構な恐怖&不快感ですが。
便利は不便とよく言ったもので、中には自分の記憶を弄ってくる人間が現れたりもするわけですよね。というか、国や警察は、こういう事態がないという前提でこのシステムを運用しているのかとは思いましたけれど。
見たものを弄れるということは、つまり視界を操れるということでもある。これがものすごく怖くもあり、もう少し長く割いてほしいシーンでもありました。
安全だと思って道路に出たら、現実には普通に車が走っていて突っ込んでくるなんて、怖すぎる状況。自分の見たものが何も信じられなくなりますよね。家から一歩も出られなくなるかも。これに対するサルの対処法も、サラッと流されていて物足りなかったので、もう少し深く描写してほしいところでした。
映画「ANON アノン」が好きな人におすすめの作品
映画「ANON アノン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
まとめ:近未来的な世界観が好きなら
派手さこそないけれど、近未来的な世界観が好きならきっと好き。そんな作品でした。SF×サスペンスという感じですね。
さらに欲を言えば、登場人物の背景についてもっと掘り下げてほしいところでした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 38% Popcornmeter 35%
IMDb
6.1/10
Filmarks
3.1/5.0