
マッド・マウス ~ミッキーとミニー~
「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」の感想です。
2023年末に「蒸気船ウィリー」(1928)の著作権保護期間が終了し、パブリックドメイン化したことに伴い公開されたホラー映画。
いろいろ酷かった(笑)。酷かったんだけど、それがもはや面白くもあって不思議な映画でした。
本記事は2025年11月25日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
あっちにもこっちにもミッキーが登場し、てんやわんや。
作品情報
| タイトル | マッド・マウス ~ミッキーとミニー~ |
| 原題 | The Mouse Trap |
| ジャンル | ホラー、B級映画 |
| 監督 | ジェイミー・ベイリー |
| 上映時間 | 94分 |
| 製作国 | カナダ |
| 製作年 | 2024年 |
| 公開年(加) | 2024年 |
| レイティング | R15+ |
| 個人的評価 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
――21歳の特別な誕生日(をもう少しで迎えるという日)。アレックスはその日もゲームセンターでアルバイトをしていたが、店長に「貸し切りの予約が入ったから残業をしてほしい」と頼まれる。給料を倍にしてくれるというので了承するも、一緒に働いていた同僚はアレックスに仕事を押しつけ帰ってしまう。億劫な気持ちでひとり働くアレックス。しかし、店長の言う「急遽入った貸し切りの予約」というのは、実は友人たちによって計画されたアレックスの誕生日パーティーだった。そんな中、パーティー会場に不吉な影が忍び寄っていて――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
アレックス・フェン
(演:ソフィ・マッキントッシュ)
ゲームセンターでアルバイトをしている女性。もう少しで21歳の誕生日を迎える。実際の誕生日はもう少し先だが、それだとサプライズにならないという理由で2週間前に誕生日を祝われることに。
レベッカ
(演:マッケンジー・ミルズ)
アレックスの友人のひとり。刑事たちに事情聴取を受けている。
ジェイナ
(演:マデリン・ケルマン)
ゲームセンターの従業員で、アレックスの同僚。デートをするためにアレックスに仕事を押しつけ、残業をすっぽかして帰宅(施錠する頃に戻ってくると約束)。
ライアン
(演:ベン・ハリス)
アレックスの幼馴染み。アレックスにアプローチをかけているが、すげなく振られている。
マーカス
(演:カラム・シウィック)
アレックスの幼馴染みで、両思い(まだ付き合ってはいない)。
マイク
(演:サイモン・フィリップス)
ゲームセンターの店長。アレックスとジェイナに残業を言い渡す。
映画「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」の感想
映画「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」の感想です。もう少し短いほうがまとまりがよかったような気はするけど、いやあ、これは酷い(笑)。
序盤からかっ飛ばす!
2023年末に「蒸気船ウィリー」(1928)の著作権が切れ、まあやりたい放題やってくれるんだろうなとは思っていましたが、序盤からかっ飛ばしすぎて爆笑。
冒頭にまさかの「スター・ウォーズ」パロディーを入れてくるとは思いませんでしたね。あの有名なオープニングテロップを使って、「本家ディズニーとは関係ないですからね」「子会社とかとも関係ないですからね!」「ついでに言えば、(「スター・ウォーズ」シリーズを手掛けた)ジョージ・ルーカス氏とも関係ないですからね!」と何度も念を押してくる(笑)。
同時に押し寄せるそこはかとない嫌な予感。
見るからにB級ホラーなミッキー。こんなに念を押してくるということはかなりヤバいんだ! と。
マスクをつけた大男
これ、パブリックドメイン化したキャラを題材に作られたB級ホラーあるあるなんですかね?
犯人がただのマスクを被った大男になるの。
映画「プー あくまのくまさん」(2023)を観た時にもまったく同じ感想を持ったのを思い出しました(笑)。「これ、プーさんちゃう……大男や……」って。しかも、本作は「プー あくまのくまさん」とは異なり、序盤でゲームセンターの店長マイクがなにやらマスク(ミッキーの頭部?)に魅入られているのがはっきり映っていますからね。
プーより大男度が高かった(?)。
瞬間移動というトンデモ技
ちなみにこのミッキー、瞬間移動というトンデモ技を使ってきます。
なので、鍵を閉めようとどこに逃げようとチートなミッキーにそんなの関係なし……なんですが、それなのに、物理攻撃はしっかり効くという。一回攻撃を受けたら、その瞬間瞬間移動で逃げればいいものを、なぜかしばらくやられっぱなしになったりするのもご愛嬌?
弱点もあるし、頑張ればちょっと勝てそうなのが面白い(笑)。
警察がポンコツ
本作は、この惨事を生き残ったレベッカに警察が事情聴取をするという体で展開していくんですが(つまり回想的な感じ。たぶん)、警察があまりに酷い(笑)というかポンコツで、ここも笑ってしまうポイントでした。
警察はどうやら、友人たちと同じように危機に陥りながらも、ただひとり軽傷(というほどの軽傷ではないけど)で生き残ったレベッカを「犯人に関係があるのでは?」と疑っている模様。
この時点でポンコツもいいところなんですが、どうやら他の生き残りはみんなショック状態で口を利けなくなっていたらしく。「連続して友達が死んだのに冷静すぎる」「本当に友達だったのか?」と言いたい放題。友達が死んでも悲しんでいる様子がない=犯人の一味と考えている。
警察が終始感情ベースで喋っていて面白かったです。「しごできです」みたいな顔をするんじゃないよ、と思ってしまった。
シーンが飛びまくる
また、場面が飛びまくるのもちょっとよくわからなかった。
特に、アレックスたちとはまた違う集団が、「一方その頃……」的な感じでミッキーの被害に遭うのですが、話の本筋には一切関係なく、いったいどんな役割を担っていたのか謎なまま。
その集団のメインキャラであるキャロルなんて、最終的に目玉を抉り出されるというとんでもない目に遭っているのにもかかわらず、「こいつらはいったいなんだったんだ……?」で終わってしまいましたからね。なんやかんやあって、アレックスたちと合流したのちに新たな展開があるのかと思いきや、本当にただミッキーに襲われるだけ。活躍も一切なし。
少し思ったのは、映画「ハロウィン」(2018)でもありましたよね。マイケル・マイヤーズの最終目標はローリーだけど、そこに行き着くまでに無関係の町の人たちを手当たり次第、気分が赴くままに手に掛けていくという流れ。
ひょっとしたら、あれに近いものを表現したかったのかなと。
それか、瞬間移動という特殊能力のすごさを改めて描きたかったとか。この辺はもうよくわからない(笑)。
なのに、個人的に一番「イテテテ!」ってなったシーンは、キャロルのくるぶし部分にガラスの破片が刺さり、それを自力で抜くシーンでした。ミッキーはもはや関係ない。
ミニーの存在
なお、本作のタイトル(邦題)は「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」。これはあまりよくなかったと思いますね。
というのも、あまりにミニーの存在感がないから。
邦題に対して原題は「The Mouse Trap」なので、これをそのままカタカナにするか「マッド・マウス」までで終わらせておけばよかったのになあと思います。
じゃないと「ミニーisどこ!?」ってなってしまう。
メタ要素もあり
あとは、B級ホラーにありがちなメタ設定やメタ発言は割と好きです。
本作でも「ホラー映画ではひとりで行動しちゃいけないんだ!」みたいなセリフがあったり、セッ……(略)に及ぼうとしたカップルが許されなかったりして、ホラーあるあるを擦っていたのは好感が持てました。まあ、擦られまくったホラーあるあるではあるので、新しさはまったくありませんでしたが。
メンバーの中に、普段映画を観ない人間がいて「君はホラー映画を観ないのか!?」というようなやり取りがあるのもあるある。直近で観た映画の中では、ニュージーランド発のB級ゾンビ映画「ゾンビ・ホロコースト」(2014)でも似たようなキャッチボールがあったと記憶しています。
著作権の丁寧な説明
「著作権保護期間の終了」及び「パブリックドメイン化」と切っても切り離せない映画である本作ですが、著作権が切れたのは「蒸気船ウィリー」のミッキーだけなんですよね。なので、現在のミッキーをパロディーにするのはNG。
このあたりの説明がしっかり劇中に入っていて笑ってしまいました。赤いズボンを履かせては駄目だとか、白黒のミッキーじゃないと駄目なんだとか。変に「なるほどねー!」と感心してしまった。
著作権に詳しくない人にも優しいパロディーホラーでした。
映画「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」が好きな人におすすめの作品
映画「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話(2022)
- ダムド・ソルジャーズ(2018)
- 川を越えた先(2013)
- ドラッグ・ゲイター(2023)
映画「マッド・マウス ~ミッキーとミニー~」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月25日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:一周回って面白い(こともあるかもしれない)
期待通り(?)冒頭から攻めに攻めているB級ホラーでした。
この調子で、パブリックドメイン化したキャラはどんどんホラー映画化してほしい。ただ、「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」のようにシリーズ化するのはいいかなという感じはしますが(笑)。
Rotten Tomatoes
Tomatometer ―% Popcornmeter 18%
IMDb
2.4/10
Filmarks
2.1/5.0


