
サマーウォーズ
「サマーウォーズ」の感想です。
タイトルだけは存じていましたが、なんだかんだで観たことなかったやつ。子どもの頃、夏休みに行ったおばあちゃんちという雰囲気で、その点はとても良かったです。
ただ、個人的にはそこまでハマらなかったかなと(いや、面白いのは面白かったけど)。
本記事は2025年08月05日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
よろしくお願いしまぁぁぁぁす!
作品情報
あらすじ
数学オリンピックに出場……を逃した高校2年生の小磯健二は、憧れの先輩である篠原夏希に頼まれ、夏希の曾祖母宅へと向かった。夏希の曾祖母を含む親戚一同に会うことになった健二だが、夏希は曾祖母に、健二のことを「恋人だ」と紹介する。そのうえ、大学生であり、アメリカ留学帰りだという偽りの設定まで作り上げていた。驚く健二だったが、曾祖母に夏希のことを頼まれてしまう。その夜、謎の数字が羅列されたメールを受け取った健二は、夢中になって暗号を解読する。しかし、翌日テレビをつけると、テレビにモザイクのかかった自分らしき人物の顔が映し出されていたのだった――。
主な登場人物
(敬称略)
小磯健二
(声:神木隆之介)
高校2年生。数学オリンピックへの出場を逃した天才少年。先輩の篠原夏希にひそかに憧れている。夜に届いたメールの暗号を解読したところ、思わぬ事件に巻き込まれていくこととなる。
篠原夏希
(声:宮内ひとみ)
高校3年生で、健二の先輩。剣道部に所属。「バイト」と称し、曾祖母宅を訪ねる際に健二に恋人の振りをしてもらう。
佐久間敬
(声:横川貴大)
健二の友人で、健二同様物理部に所属。ラブマシーンと対決する際には健二をサポートする。
池沢佳主馬
(声:谷村美月)
夏希の又従弟で、中学1年生。ただのゲーマー少年に見えるが、仮想世界「OZ」では格闘(ネット)ゲームの世界的チャンピオン。
陣内栄
(声:富司純子)
夏希の曾祖母で、元教師。教え子や知人に政治家や官僚、警察官(警視総監)などがおり、その幅広い人脈を駆使し、活躍する。
陣内侘助
(声:斎藤歩)
栄の夫の隠し子。幼い頃に陣内家に引き取られ、養子になる。栄所有の山を勝手に売り、その資金で渡米、以降10年間行方知れずとなっていた。が、栄の誕生日を祝う最中に突然帰宅。天才的な頭脳の持ち主。
映画「サマーウォーズ」の感想
映画「サマーウォーズ」の感想です。面白いのは面白かったけど、登場人物にいまいち感情移入できずに終わってしまったのが残念。
夏の祖母宅を思わせる懐かしさ
本作の雰囲気はとても好きでした。
小さい頃、夏休みになると親に祖母宅に連れて行かれていたんですが、あれを思い出しました。とても懐かしい雰囲気。風鈴の音が響いてきそうですよね。縁側に座って犬と戯れながら緑茶を飲みたい感じ。
そんな古き良き日本を思わせる風景と、仮想世界「OZ(オズ)」という近未来を彷彿とさせるテクノロジーが同じ画面に映っているのはなんだか不思議な感じがしました。
若干イラッとする夏希先輩
個人的に、いまいちハマりきれなかった理由は割と明確でして。
それは、感情移入できる登場人物がほとんどいなかったから。特に夏希先輩。個人的に苦手なタイプというか、現実世界にいたら友達にはなれないだろうなと思わせる何かがあった。学校のマドンナ(アイドル?)的存在として描かれていたけど、女友達は少ないんじゃないかなと思ってしまう。自称サバサバ系に見えてしまってどうにも、という感じでした。
まず、何も言わずに後輩を曾祖母宅に連れて来て「恋人だ」と紹介するのもちょっと引くし(これに関しては何も聞かない健二も健二だけど)、連れて来ておいて割と放置なのも「健二可哀想……」ってなってしまいました。こう、陽キャの知人に遊びに誘われて行ったら知らない人たちがたくさんいて、誘われたから行っただけなのに現地で放置されるという(複数回にわたり私自身が経験した)出来事を思い出しました。切ない。でも、まったく見知らぬ人の家で普通に振る舞える健二は適応力すごいなとも。
んで、恋人として紹介した健二に、東大卒でアメリカ留学帰りっていう「なんじゃそりゃ?」な設定を付け加えたかと思えば、それは初恋の侘助おじさんの経歴と一緒だったという。これ、夏希先輩に好意を抱いていなくても結構不快じゃない? と思ってしまう。
極めつけは、健二と手を握り締め合うあのシーン。「うわああああああ!」ってなりました(笑)。健二、利用されているだけじゃない? って。侘助おじさんと栄おばあちゃんがいなくなって、縋りつける人がいなくなったから消去法で選ばれただけじゃない? って。
まあ、たまにいるよね、こういう子っていう感じではありました。
(っていうか、夏希先輩の声を務めた桜庭ななみさん、いつの間にか『宮内ひとみ』という芸名に改名していたんですね。知らなかった!)
侘助はまあわかる
夏希先輩が憧れていた侘助おじさんですが、この人は意外とまあ理解できました。共感できるかといえば、またちょっと違う話だとは思うけど。
栄おばあちゃんの夫の隠し子で、当時はそれがそれなりにあることだったかもしれないとはいえ、コンプレックスは抱いていたでしょうしね。夫は入り婿ということだから、そもそも侘助は陣内家の血を引いていないということになるし。夫はなかなかの放蕩者だったらしいので、その隠し子ともなれば周りにもいろいろ余計なことを言われたかもしれないし。
そんな環境から一度離れて、一人前になって見返したいと思うのも、認めてほしいと思うのも感情としては理解できます。栄おばあちゃんの山を勝手に売り払うという、資金繰りの方法が良くなかったよねという話で。
共感性に乏しい(身近に被害者が出ないとわからない)のも、そういう幼少期の経験からくるものなのかなと考えてしまいました。
栄おばあちゃんはすごい
っていうか、栄おばあちゃんって何者?(笑)
花札って全世界共通ゲームだっけ?
あと、あまりハマれなかった理由がもうひとつあって。
それは、花札をまったく知らなかったということ。
「こいこい!」って叫ばれても、「こいこいって何?」って思っているうちに終わってしまった(笑)。たぶん、あそこも盛り上がりシーンのひとつだったんだろうし、「花札がわからずとも『今攻めている』だとか『押されている』だとか、それだけわかっていればいい」ということだったのかもしれないけど、でもやっぱり「今、何がどうなってんの?」と思っているうちにピンチが訪れたり、勝っていたり……よくわかりませんでした。
明らかに海外アカウントっぽい人たちが「KOIKOI!!」って言いながら応援していたの、「花札はいつの間に海外のメジャーカードゲームになったんや!?」って思ってしまったし。韓国人の友人からは「韓国では花札人気だよ。お泊りしたときの夜にしたりする」と聞いたことがあったんですが(たぶん日本で言うUNOとかトランプとかみたいな感じ。一般的な考えかは不明)、欧米系の人たちが一斉に「KOIKOI!!」と叫んでいるのにはちょっと違和感がありました。
「よろしくお願いしまぁぁぁぁす!」が良い
とはいえ、健二のあのシーンはとても良かったですね。
「よろしくお願いしまぁぁぁぁす!」(ポチッ)っていうあれ。
なんであの場面で「いけ」でも「頼む」でもなく「よろしくお願いします」なんだろうと思いはしたけど、それ以前に「なんか良い!」っていう言語化できない謎の良さがありました。ちなみに、「よろしくお願いします」に対する考察を展開しているブログはいくつもあるし、口コミの中で考察している人もたくさんいるので、そういうのを読むととても面白いです。
個人的に一番好きだったのは「栄おばあちゃんの頼み事に対する返事」というもので、なるほどねえと思わずにはいられませんでした。
映画「サマーウォーズ」が好きな人におすすめの作品
映画「サマーウォーズ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 時をかける少女(2006)
- 金の国 水の国(2022)
- すずめの戸締まり(2022)
- ペンギン・ハイウェイ(2018)
まとめ:夏に観たくなる映画
正直、ツッコミどころはまあまああるし、登場人物にもほぼほぼ感情移入できずに終わってしまったんですが、どこか懐かしい雰囲気のある映画でした。先述したように、小さい頃に訪れた夏休みのおばあちゃんちを彷彿とさせるというか。
網を持って虫捕りに行きたくなる感じ(虫は苦手なのになぜかそう思う)。
今回もそうだったけど、夏になるたびに金曜ロードショーでやればいいと思う。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 81% Popcornmeter 87%
IMDb
7.4/10
Filmarks
3.9/5.0