――登場人物、全員美人。
菜々緒さんはじめ、井上真央さんや蓮佛美沙子さん、貫地谷しほりさん、谷村美月さん、宮地真緒さんなど、豪華俳優陣が勢ぞろいしているだけでなく、もれなく全員美人という特典付きです。
それなのに全員演技派!
ハラハラドキドキする展開こそないものの、終始ミステリアスな雰囲気で進行していく物語にあっという間に惹き込まれてしまうのがこの「白ゆき姫殺人事件」です。
あらすじ
誰もが認める美人OLが惨殺された。この不可解な殺人事件を巡って、一人の女に疑惑の目が集まる。同期入社の地味な女性【城野美姫】。
テレビのワイドショー取材により、美姫の同僚・同級生・家族・故郷の人々がさまざまな【噂】を語り始める。過熱するテレビ報道、炎上するネット、噂が噂を呼ぶ口コミの恐怖。
果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも…!?(引用元:松竹「白ゆき姫殺人事件」)
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こんな人におすすめ!
- 現在進行形でSNS(特にTwitter)を利用している
- 職場の人間関係はシンプルなように見えて複雑だ(特に女性)
- 女性ならではの嫉妬やいじめに遭遇したことがある
- ワイドショーはときに無責任すぎると思う
- 自分の都合が良いように解釈する人間がまわりにいる
スタッフ・キャスト
- 監督:
– 中村義洋 - 原作:
– 湊かなえ - キャスト:
– 井上真央 ⇒ 城野美姫 役
– 綾野剛 ⇒ 赤星雄治 役
– 菜々緒 ⇒ 三木典子 役
– 金子ノブアキ ⇒ 篠山聡史 役
– 小野恵令奈 ⇒ 満島栄美 役
– 谷村美月 ⇒ 前谷みのり 役
– 染谷将太 ⇒ 長谷川 役
– 秋野暢子 ⇒ 城野皐月(美姫の母)役
– ダンカン ⇒ 城野光三郎(美姫の父)役
– 山下容莉枝 ⇒ 八塚絹子 役
– TSUKEMEN ⇒ 芹沢ブラザーズ 役
– 宮地真緒 ⇒ 間山先輩 役
– 朝倉あき ⇒ 平塚 役
– 大東俊介 ⇒ 江藤慎吾 役
– 蓮佛美沙子 ⇒ 狩野里沙子 役
– 貫地谷しほり ⇒ 谷村夕子 役
– 生瀬勝久 ⇒ 水谷 役
【ネタバレなし】「白ゆき姫殺人事件」を観た感想
特に職場(あるいは学校)における女性同士の人間関係の複雑さを実感したことがある人は、少なくないのではないでしょうか? 目立てば叩かれ、目立たなくとも叩かれる。ゴシップ好きが必ずどこかには存在していて、あることないこと自己解釈で言いふらす。それがときに人を追い詰めるという意識などなく――そこにはどこか、既視感を覚えるものがあります。
【1】湊かなえ原作にしては割とライトタッチ
「告白」や「リバース」「贖罪」など、湊かなえさんの本が映画化、あるいはドラマ化された作品はたくさんあります。テーマはさまざま。でも、このどれもに共通しているのは、たとえば「人間が持つ無意識の(無邪気な)悪」だったり「過去からのトラウマ」だったりと、「本来人間とはどういうものか」という部分を絶妙に表現しているところです。
湊かなえさんは性悪説派なんでしょうかね。映像化された作品を観る限りでは、どの作品にもだいたい鬱蒼とした雰囲気がただよっています。
もちろんこの「白ゆき姫殺人事件」もそのうちのひとつ。ただし、湊かなえさん原作の作品としては、割とライトなタッチで描かれているのではないかなと思います。
【2】職場の人間関係はいつも円滑とは限らない

会社の人間関係がどうもうまくいかなくて……なんか、いろんな人からどんどん仕事押し付けられてる気がする。なにがいけなかったんだろう……。
こんなこと、ありませんか?
中小企業であろうと、大企業であろうと、その人数にかかわらず人間関係というのはどこにいても生まれるものです。うまくいっていると感じられるときもあれば、なにをしても空回りをしてしまうとき、もしくは駄目なときって必ずありますよね。
そこに恋愛事情が絡んでくればなおさらです。
あらすじにもあるとおり、作中では、名前とは裏腹に地味な見た目の城野美姫は殺人犯として祭り上げられ、他方、華やかで美しい三木典子は憐れな被害者として扱われます。
真実はネタバレになるのでさておき、「これがもし逆だったら?」「城野美姫がもっとパッと明るい性格だったら?」「三木典子の性格が悪いと証言する人がいたなら?」そしてもっと「人間関係が円滑な職場にいたら?」もしかしたら他の誰かに疑いの目が向いていたのかもしれませんね。
【3】無視できないSNSの危険性
本作で特に注視したいのは、SNSを気軽に利用することの危険性です。
テレビ局で契約社員として働くやる気のない赤星雄治ですが、今回の件を受けて自ら城野美姫にかかわる人たちへの取材を敢行します。
それと同時に、当事者たちしか知り得ない情報をSNSにポンポンと載せていくんです。
でも、これが怖い。
フォロワー数などたいしていないにもかかわらず、事件の情報を載せていくだけで膨大な数のイイネとリツイート。承認欲求が高い人であれば、こんなチャンスはないですよね。
中には脅しめいたコメントが来ることもありますが、赤星がリプライするのはすべて自分にとって都合の良いコメントばかりです。
そしてSNSの恐怖はまさにここから。
話が一転二転していくたびに、エンターテインメント感覚で楽しんでいた匿名の人たちは手のひらを返したように赤星へも攻撃してくるようになる。
SNSは使い道によっては、ときに人を追い詰める飛び道具にもなりえます。
【4】メディアの切り取り報道で悪者が決まる
昨今でもときに話題に上がるメディアの過剰な切り取り報道。
お昼のワイドショーなんかを見ていると、特に芸能人のゴシップや社会問題においては数分ほどでまとめられていることがほとんどですよね。
確かに、時間制限を考えればすべてを報道するのは無理でしょう。
でも、中には悪意しか感じない報道の仕方をするメディアがあるのも事実。赤星の番組制作も、まさにこのやり口でした。
もっとも、本人にそのつもりがあったかどうかはわかりません。赤星の楽観的で軽薄な性格上、なにも考えていなかったのかもしれません。
面白ければいい。盛り上がればいい。
そんな報道がたったひとりの人間に疑惑の目を向けさせ、追い詰めていく――城野美姫は、本当はどんな人間だったんでしょうか?
【5】すべての記憶が正しいかはわからない
生きていれば人間、誰しも過去の記憶がありますよね。
良い記憶も、悪い記憶も。
でもそれが必ずしも正しいと、誰がいえるでしょうか? 嘘をついているわけではないにしても、全員が全員同じ思いを共有しているわけではありません。
根暗で、地味で、社交的とは程遠く、かといって不愛想なわけでもない。なにを考えているかいまいちよくわからない。恋愛に疎いが一途。優しくて良い子。
やり玉に挙げられた美姫の社内での、近所での、あるいは学生時代の仲間内でのイメージです。
どの記憶が正しく、どの記憶が美化されていて、どの記憶が捏造されたものなんでしょうか。人間の記憶とは、実にあやふやで頼りないものですね。
いつだって自分の都合が良いように書き換えてしまえるんですから。
【6】正義感も一歩間違えれば凶器に
いきすぎた正義感は、凶器になりえます。
それこそ、SNSが良い例です。
「これはいわないほうがいいんじゃないですか?」「そんな発言をして、○○な人が傷付くとは思わなかったんですか?」「そんなひどい人だとは思いませんでした」
自身を正義だと疑わない人ほど、他人に向けて容易に残酷な言葉を吐きかけます。「この人は悪いことを言っている。だから攻撃してもいい対象なんだ」と。
でもその正義はほかでもない、その人自身のものです。
正義を盾にすれば、拳を振りかざしていいというわけではないですよね。
メディアの誘導により、疑惑の目が集まった美姫。「城野美姫は悪者だ。だから叩いて良し」まだ詳細がわかっていないにもかかわらず、メディアに触発されたSNSの住人たちは城野を責め立てる無責任な言葉を羅列します。
個人的にはラストシーンが良い味出してるなと思いましたね。メディアにはそういった一面もある。結局は他人事、エンターテインメントでしかないのだと。
己の都合が良いように解釈するのが人間
結局は、自分の都合が良いように記憶を美化していくのが人間の性ということなのかもしれませんね。
たとえば中学校で仲が悪かった、あるいはいじめの主犯格だったクラスメイトが、成人式で再会した途端、まるで気の置けない仲だったかのように話しかけてくるというのはよくある話です。
挙句の果て、「あのころは楽しかったよね」「いろいろしたよね」なんていかにも懐かしそうに話すものだから困りもの。
人間はそうして、己の解釈とともに生きていくものなんでしょう。「白ゆき姫殺人事件」はそんな誰しもが経験するであろう複雑かつシンプルな人間模様を見事に描いた作品です。
※上記の情報は2020年11月時点のものです。

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